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日本では、DMEは、これ迄スプレー噴射剤用等としてしか使用されておらず、エネルギー(燃料)として消費の実績はありません。
このため、DMEを燃料として実用化した場合の環境、保安への影響、ハンドリング等の法整備、その他の技術的課題について事前に調査し、対応しておくことが必要です。
平成13年8月、経済産業省石油流通課は「DME検討会報告書」をまとめ、LPガス業界としてもDME導入の意義は大きいとし、供給、流通、利用それぞれにおける可能性、保安・技術的課題等について検討を行い、導入に向けての考え方等をとりまとめ、次の課題を示しました。

(1)DME燃料の安全性の確認
DMEは物性的にLPガスに類似しているが、DMEに対する法規制、技術基準について検討するためには、様々な条件下での安全性の評価が必要である。
また、DMEとLPガスを混合しての使用を想定した検討や環境への影響等の評価を行う必要がある。
(2)燃料用DMEのスペック検討
DMEのスペックは、利用のみならず、流通においても問題がないかどうか、十分な検討が必要であり、スペックを確立し、国際規格として提案していくことが必要である。
(3)LPガスインフラの転用実証
天然ガスからDMEを製造し、日本に輸入するには、製造から輸入、更には国内流通に至るインフラを整備することが必要ですが、それらを整備するには膨大な初期投資が必要である。
LPガスは供給量の約75%が海外から輸入され、その流通はオーシャンタンカー(外航船)で全国の海岸にある輸入基地に、更にコースタルタンカー(内航船)で二次基地に運搬されます。
内陸では、タンクローリ(約6000台)により充填所(約2600箇所)、自動車用スタンド(約1900箇所)等にて運搬し、全国津々浦々まで供給できるLPガスインフラ網が整備されています。
DMEはLPガスと物性等が類似しており、現状のLPガスインフラに必要な変更を施すだけで、DME用として使用出来る可能性があります。
このため、DMEの流通においては全国に配備された既存のLPガスの流通インフラ網を活用することが最も経済的であり、短時間で導入に対応できることから、LPガスのインフラについて、構成、使用部材などの実態調査やDMEを流通させる場合の条件等の調査を行うことが必要である。
そして、現状の設備部材の材料評価を行い、DMEによる影響を調査するとともに、最終的には、実際のLPガスインフラを使用して、貯蔵・輸送・供給に係るフィールドテストを実施して、転用可能性の検証を行うことが必要である。
(4)利用技術の開発
DMEの利用分野は、一般民生用、工業用、発電用、自動車用、都市ガス用、燃料電池用と、多岐にわたると考えられる。それぞれの利用機器について技術的課題の検討を行い、解決したものから、逐次実証試験を行っていくことが必要である。又、それぞれの利用機器へのDME燃料供給の最適設計、実証試験も必要である。
(5)法規制の整備
DMEの製造、流通、利用の各分野にわたる十分な技術的検討を踏まえ、法制面の基盤整備を進めていく必要がある。なお、検討に当たっては、DME、LPガス、天然ガスを一貫したガス体エネルギーと考え、保安等の規制の整合化を図っていくことが必要である。
(6)導入支援策の整備
DMEの導入を円滑に進めていくため、DMEの新エネルギーとしての位置付けを明確にするとともに、導入初期における導入支援策の的確な実施が重要であり、流通インフラ転換に対する支援、各種利用分野の導入に対する支援等が必要である。
これらの課題に対して、これまで国の支援を受けて取り組まれた技術開発事業、および取組中の事業は、およそ以下の通りです。
安全に関する技術開発、LPガスインフラ転用実証試験研究、DME燃料の標準スペックの確立研究を始め、DME利用技術開発まで、実に多くの実用化のための技術開発に取り組んできています。