LPGC WEB通信  Vol.5  2014.08.11発行 

 お客様に聞く LPガスのイメージ、オール電化から学ぶこと
 経済産業省からの委託事業として、平成25年度石油ガス消費者実態調査を行いました。
全国の家庭用消費者(LPガス消費者およびオール電化住宅在住者)10,000万件強、
業務用消費者2,400件弱を対象として意識調査を実施いたしました。
 今回は、その一部をダイジェスト版にてご報告いたします。
 詳細は、10月17日(金)に開催する第24回「LPGC研究成果等発表会」でご報告
する予定です。発表会の内容および受講の申し込みにつきましては、本号に掲載された記事
をご覧ください。

 (家庭用)エネルギーを選択するうえで重視する点
 家庭用消費者がエネルギーを選択する際に重視する点について、
 〇「価格」を重視する割合が80.3%と最も高く
 〇次に73.9%の消費者が「安全性」を重視
しています。最も重視する点については、全体では、
 〇「価格」が37.8%と最も高く
 〇次に「安全性」が28.7%
となっています。また続いて半数以上が、省エネ性や供給の安定性を重視していることがわ
かります。


図1 エネルギーを選択する際に重視する点(複数回答・単一回答)

家庭用消費者が重視するのは価格・安全性・安定性 

 さらに最も重視する点について年代別に見ると、
 〇「価格」と「安全性」は、60歳代ではほぼ同じですが
 〇70歳以上では「安全性」を最も重視する割合が「価格」を上回り、40.5%
となっています。また、年代が下がるにつれエネルギーの選択について重視することは「特
にない」となっています。

 図2 回答者年代別 エネルギーを選択する際に最も重視する点

家庭用消費者は年齢とともに安全性を重視



 (家庭用)各種エネルギーとそのイメージ
 「環境」「安全性」「安定性」「災害時の対応力」「価格」の5項目について、そのイメ
ージに該当すると思われるエネルギーは何かを聞きました。
 その結果、災害時の対応力を除いた4項目で電気が支持される割合が最も高いという結果
となりました。一方LPガスは、「災害に強い・災害時の復旧が早い」という項目について
は33.9%と支持されていますが、他の項目については電気と比べて肯定的なイメージが
低い傾向が見受けられます。
 また本調査では、アンケートとは別に消費者に対しヒアリングを実施しています。
 LPガスに対して、その名称【プロパンガス】や【容器の外観】【供給方法】などについ
て否定的な声が多数あり、LPガスに対するマイナスイメージにつながっていることが明
かになりました。

家庭用消費者は「災害に強い・災害時の復旧が早い」を評価

家庭用消費者はプロパンガスという名称や容器の外観等に否定的

図3 イメージごとに該当するエネルギー 


 (家庭用)オール電化に対するイメージ
 オール電化住宅に住む消費者へのアンケートで、オール電化にした理由では、
 〇「他のエネルギーよりも安全・安心」という安全性や
 〇「光熱費が安くなる」という経済性
など実用的な理由を上げる声が多いことが分かりました。
 また、オール電化住宅にしようと思った理由(住む前のオール電化住宅の魅力)よりも、
総じて住んだ後の評価が高く、住みやすく、おしゃれで快適な暮らしになった、健康的、故
障が少ないなど、多くのメリットを感じる消費者が多いことも調査結果から読み取ることが
出来ます。
オール電化の強みは「安全・安心」「光熱費が安い」とのイメージ

さらに「おしゃれ」「快適」「健康的」「故障が少ない」を評価

図4 オール電化住宅に住む前後の比較(複数回答)


 
 (家庭用)オール電化に対する満足度
 現在オール電化住宅に居住している家庭用消費者は、非常に満足度が高く、全体では
92.3%が「今後もオール電化の住宅に住みたい」と回答しています。
 一方、「今後はオール電化の住宅に住みたくない」という回答もわずかながらありました。
しかし、実際にやめるとなると、初期投資の問題や追加工事費用の発生など、費用対効果の
観点からやめられないという回答が多いこともわかりました。
 こうしたことからオール電化の高い満足度と、やめることに対する障壁から、一度オール
電化にしてしまうと、LPガスなど他のエネルギーに再度変更することは、大変困難である
と考えられます。


オール電化継続は9割以上、他エネルギーへの転換には大半が否定的

 
図5 オール電化住宅の継続意向

 図6 オール電化をやめない理由(複数回答、一部抜粋)


 (家庭用)LPガス販売店を変更しない消費者の理由
 LPガス販売店の変更経験がないLPガス消費者にその理由を聞いたところ、
 〇「何となく/特に理由はない」と回答した割合が33.1%と最も高い
 〇特に、年代が下がるにつれ「何となく/特に理由はない」の割合が増加
しています。
 また、4人に一人は「販売店とは長い付き合いなので」という回答でした。
 一方、価格や保安、サービスなど、LPガス販売店の取り組みを認めた上で変更しないと
いう理由は、どれも10%に満たないという結果となり、敢えて言うならば、消極的な理由
から変更しないのではないかと考えられます。

図7 回答者年代別 LPガス販売店を変更しない理由(複数回答)

 家庭用消費者にとって、LPガスは電気と比べて肯定的なイメージが低い傾向が見受けら
れる一方で、電気に対するイメージ、信頼性は、東日本大震災の後も高い水準にあります。
 LPガスが家庭用消費者に選ばれるエネルギーとなるためには、安全に、安定的に、低価
格でLPガスを提供することはもちろんですが、家庭用消費者にとってマイナスとなってい
るLPガスのイメージそのものを払拭していく必要があると言えます。


販売店を変えない理由は「長年の付き合い」と「何となく」

LPガスの否定的なイメージを根本的に変える必要がある


 (業務用)災害時におけるエネルギー源の確保
 災害時におけるLPガスの優位性(早期復旧と避難所などでの有効利用)について、業務
用消費者に聞きました。「知っている」または「聞いたことはある」と答えた認知度は、ど
ちらも50%以上でした。
図8 災害時のLPガス優位性認知度


 また、災害時にLPガスの復旧速度が早いことに対する認知度は、従業員数が多くなるに
従って高くなっていくとの結果が得られました。


 図9 従業員数別 災害時のLPガス復旧速度認知度


 しかし、こうした状況であるにも関わらず、企業の災害に対する備えとしてのLPガスへ
の変更の検討については、「話題にもならなかった」との回答が75%以上ありました。

 
図10 災害に備えLPガスへ変更の検討有無


規模の大きな業務用消費者ほど「復旧の速いLPガス」を認識している

しかし、具体的なLPガス活用・変更は、ほどんど検討していない

 業務用消費者において一つのポイントとなるものが従業員数による認知度の違いです。他
の調査結果でも小規模な業務用消費者ほど持っている情報が少なく、大規模になるほど多く
の情報を持っているとの傾向が見られました。
 この傾向は、大規模な業務用消費者はエネルギー専任の担当者がいる一方で、小規模な業
務用消費者は別の業務と兼務、もしくは専任の担当者がいないという状況に起因しているの
ではないかと思われます。従って、
 〇小規模な業務用消費者に対しては、徹底的な情報提供を行い、ニーズを発掘
 〇大規模な業務用消費者に対しては、ニーズを実現するための具体的な提案
することが、重要であると思われます。
 これらをうまく使い分けることで、業務用消費者との良好な取引関係を築くことが出来ま
す。結果として、LPガスの需要拡大にもつながっていくのではないかと考えます。


小規模需要家に対しては、徹底的な情報提供とニーズの発掘

大規模需要家に対しては、ニーズを実現させるための具体的な提案

(技術開発部/小山)