LPGC WEB通信  Vol.9  2014.09.10発行 

エネルギー競合時代に生き残る、販売事業者のあり方
 過疎地・島しょ部における販売事業者の経営実態について焦点を当て、今後のさらなる高
齢化、世帯減時代での販売事業者のあり方について、既に対応している事業者の実例から考
察してみました。この事業は経済産業省の委託事業「平成25年度石油ガス流通・販売業経
営実態調査」として実施したものです。
 今回掲載するのは、10月17日(金)に開催する第24回LPGC研究成果等発表会で
ご報告する内容のプロローグです。発表会において本号の詳細を報告いたしますので、是非
会場までお越しください。
 発表会の内容および受講の申し込みにつきましては、本号に掲載された記事をご覧くださ
い。


 島しょ部販売事業者の経営実態

1.経営者の年齢

  経営者の平均年齢は65.6歳、全国平均を2.4歳上回っており、少し上の年齢層と
 なります。

2.得意先の消費量
(1)単位消費量
  家庭用で113㎏/戸・年と全国平均の65%、家庭業務用で174㎏/戸・年と半分強
  に留まっています。
(2)得意先の消費量分布
  5㎥未満が3/4を占めており、全国平均の56.6%と比較して消費量が少ない得意
  先が多いことが分かります。

3.配送状況
(1)自配率
  96%を超え、全国平均の6割強を大きく上回ります。
  ⇒ 仕入先の配送網が行き渡っていない
(2)容器容量別設置比率
  20kg未満が2/3と全国平均の4割強を上回っており、小型容器が主体です。
4.島しょ部への輸送
(1)運賃の小売価格転嫁
  85%は事業者が船会社等へ支払っていますが、小売価格への転嫁は50%と低くなっ
  ています。
(2)行政による運賃補助事業
  東京都、北海道、高知県宿毛市、鹿児島県三島村の4行政が実施しており、その他の島
 しょ部のLPガス販売では、事業者等による地元行政へのアプローチ次第では補助の可能
 性があるかも知れません。

5.仕入価格、小売価格
  仕入価格は全国平均より21.3円/kg高く、小売価格も5㎥当たり319円高く販売
 しています。しかしながら基本料金は23円安いという結果でした。

6.決算状況
  LPガス部門の営業損益は全国平均より良い状況ですが、会社全体の経常損益は全国平
  均より赤字事業者比率が高く、高収益の事業者比率が低いところから、兼業他部門が経
  営の足を引っ張っているともいえましょう。


【LPガス部門営業損益】
【会社全体経常損益】
7.存廃意向
 全国平均と違いは認められません。

8.廃業理由
 後継者問題が多く、全国のような同業他社や電化の影響は認められません。

9.譲渡希望先
 「特に決めていない」が42.9%、「僻地のため引き継ぐ事業者がいない」が28.6
 %と全国とはかなり異なる様相を呈しています。
 特に決めていないということは引き継ぐ事業者が思い当たらないから決めていないと考え
 られます。本土側の仕入先、有力販売事業者等にとって島しょ部は配送網が行き届いてな
 く、保安面の要求事項が満たせない可能性があり、廃業時の安定供給継続に問題を抱えて
 いると思われます


 過疎地販売事業者の経営実態

1.経営者の年齢
 全国平均(63.2歳)と変わらない63.3歳でした。

2.得意先の消費量
(1)単位消費量
  家庭用で全国平均の2/3に相当する115kg/年、家庭業務用で約半分の148kg/年
  に留まっています。
(2)得意先の消費量分布
  5㎥未満が3/4以上を占めており、全国平均と比較してかなり消費量が少ない得意先
  が多いようです。

3.配送状況
(1)自配率
  全国平均とほぼ変わらない2/3です。
  ⇒ 仕入先の配送網の範囲内である
(2)容器容量別設置比率
  20kg未満が7割以上と全国平均の4割強を大きく上回っており、小型容器が主体と
  なっています。
(3)シングル設置率
  全国平均の20%をやや下回る17.5%で、これはツイン100%の事業者比率が高
  いことを意味しています。この点については配送が困難になる冬場において、軒先在庫
  を増やして越冬するためのツイン設置が多くなり、シングル設置率を引き下げているも
  のと思われます。

4.仕入価格、小売価格
 仕入価格は全国平均より6.6円/kg高く、小売価格も5㎥当たり513円高く販売して
 います。かつ基本料金も91円高いという結果となっています。

5.決算状況
 LPガス部門はかなり良い決算状況であり、会社全体でも全国平均と遜色無い経営状況で
 あることが分かります。
【LPガス部門営業損益】
 
【会社全体経常損益】 
6.存廃意向
 全国平均より継続意向が高いという結果となっています。



 まとめ

 以上のように、島しょ部販売事業者と過疎地販売事業者の間では、経営状況に違いが認めら
れました。
 まず島しょ部事業者において、事業継続が困難になった場合、得意先への安定供給が妨げ
られる可能性があることが明らかになりました。このことから、行政も含めた島しょ部販売
事業者の延命対策が必要であると考えられます。
 過疎地事業者で注目すべきところは、仕入価格は全国平均よりやや高かったものの、基本
料金を含めた小売価格が平均レベルに形成されていたことでした。また現地ヒヤリング調査
の結果より、島しょ部では基本料金の徴収率が低く、過疎地では非常に高いということも分
かりました。このことも経営状態に大きく影響を与えているものと考えられます。
 それでは、なぜ過疎地では小売価格が平均レベルで形成されているのでしょうか?
 この解析につきましては、10月17日の第24回LPGC研究成果等発表会でお話しい
たしたいと思います。皆様方の奮ってのご参加をお待ちしております。

(調査研究部/八鍬)