LPGC WEB通信  Vol.7 2014.10.10発行 

LPガスの日にちなんで、東京オリンピック聖火…こぼれ話

 50年前の東京オリンピックの聖火にまつわるこぼれ話をご紹介いたしたいと思います。
一つは「閉会式の時、国立競技場の聖火が消えない……」、二つ目は「江の島ヨットハーバ
ーの聖火が消える……」、三つ目は「聖火台は毎日どのくらいのLPガスを使う?」です。

「聖火台への点火は大成功……」
 東京オリンピックは昭和39年10月10日(土)~24日(土)の15日間にわたって
開催されましたが、10日の開会式での聖火は寸分の狂いもなく点火されたことは、ご存じ
だと思います。最終聖火ランナーは広島県出身の坂井義則氏です。

 
秋晴れの下、開会式で聖火台に点火した坂井義則氏(日本オリンピック委員会、ホームページより)。


「閉会式の時、国立競技場の聖火が消えない……」
 24日の閉会式・入場は国別に整列した行進とはならず、各国選手入り混じっての和気あ
いあいの入場行進となりました。このスタイルはその後の閉会式で「東京方式」として定着
いたしました。この裏方にいたのが聖火台のLPガス担当の方々。
 その一人である故・武田光司氏(旧日本石油ガス)の語るところによると、
 「納火のため、係りの方の合図でバルブを閉止したのですが、聖火が消えないんです」
 「もっとも、配管中の残圧により、ちょっとの間はメラメラと炎が残るということは分か
っていましたが、いつまで残り火が続くのか……恐らく10秒以上ではないでしょうか。大
変焦りました」
 「しかし、後日お聞きしたところによると、その名残を惜しむように消えていく聖火が大
変良かったということでした。また、実況中継でもアナウンサーの方がこの納火のシーンを
感動的に伝えられたようです。終わったときは、肩の荷が下りて、本当にほっといたしまし
た」


納火直前の聖火(日本テレビ)。編集部で当時のフィルムを
点検したところ、消火まで14~15秒でした。



「江の島ヨットハーバーの聖火が消える……」
 「国立競技場の他、ヨット競技の会場となった江の島ヨットハーバーの聖火台もLPガス
が使われていました」
 「開催中のある日、江の島まで配送するときのこと、国立競技場への配送と勘違いして、
出荷基地・川崎から空港西(羽田)、そして東京方面へと首都高に入ってしまいました。首
都高は、オリンピック開催直前の7月に、空港西 → 鈴ヶ森 → 神田橋 → 代々木 → 初台間
が開通したのですが、大半のドライバーは高速道路そのものを知らない時代でした」
 「気が付いたときは都内中心。このままでは、絶対に間に合わない……江の島の聖火が消
えてしまう。慌てて係りの方に連絡をしたところ、間もなくパトカーが到着。特例としてパ
トカーの先導で、無事、江の島に到着いたしました」
 「当たり前ですが、パトカー先導で配送したのは全員一生に一度の経験。もちろん聖火が
消えることはありませんでしたが、一生分の冷や汗をかきました」(前述の武田氏談)
 なお、東京オリンピックでは、代々木の選手村の聖火にもLPガスが使われていたとのこ
とです(LPガスは垣見油化(東京都千代田区)が供給)。



赤々と灯る江の島の聖火台。当時は海岸の近くにおかれた。
支柱左横はパラレルに設備された調整器に見えるのだが……



今も江の島ヨットハーバーに記念碑として残る聖火台。


「聖火台は毎日どのくらいのLPガスを使う?」
 東京オリンピック直前の1964年7月に発行された「LPガス・データ必携」(株)産報
によれば、国立競技場の聖火台のLPガス供給設備は、500kg容器×6本、120kg
/hの気化器(ベーパーライザー)と二段減圧設備となっています。
 供給設備は気化器を除いて2系列で構成されています。気化器が不調の場合は、500
kg容器の気相系から供給するような設計となっています。供給されたLPガスはプロパン、
供給圧力は中圧調整器で0.7kg/㎝2、低圧調整器で350~450㎜H2Oです。
 一方バーナーは、ブンゼンタイプの二重バーナーで、燃焼量は外輪バーナー80kg/h、
内輪バーナー40kg/hの合計120kg/hです。実に24号エコジョーズ約38台分に
相当しています。定格で燃焼させた場合、毎日約3トン(120kg/h×24h/日=28
80kg/日)のLPガスが消費されることになります。
 LPガスの在庫日数は約1日間ということで、綱渡り的な配送をチーム一丸となって達成
したということのようです。



聖火台のトップには焼け石が充填されている。

国立競技場・聖火台LPガスバーナー図面(LPガス・データ必携、1964年7月、(株)産報)。


国立競技場・LPガス供給設備図(LPガス・データ必携、1964年7月、(株)産報)。


10月10日「LPガスの日」とは
 LPガスの普及と促進を図ることを目的に、一般社団法人全国LPガス協会が制定。LP
ガスは天然ガスとともに二酸化炭素の排出量が少なく、環境に優しいエネルギーとして注目
されている。日付は1964年(昭和39年)10月10日に東京オリンピックが開催され
たとき、国立競技場の聖火がLPガスで点火されたことと、10と10が火で調理している
ときの音「ジュージュー」と読める語呂合わせから(日本記念日協会のホームページから)。

 (総務部/大森栄治)