LPGC WEB通信  Vol.10  2015.01.05発行 

第27回WLPGAフォーラム報告 part.2

 平成26年10月27日~30日にマイアミで開催されました、第27回WLPGAフォ
ーラムの概要報告part.2です。当センターからは松澤理事長と岩田が参加いたしました。
 Part.1は先月の12月号で概要をご報告いたしましたので、併せてご一読ください。



 フォーラム(続き)

6.10月29日「セッション3―形勢逆転~トップに留まれ」

=写真、左から順に=
①司会:リック・ロルダン(全米プロパンガス協会、米国) 
 世界のLPGマーケットで現在進行中の基本的変化をいかに捉えるかが生き残りの鍵とな
 る。シェールガスの急進が引き金となり、しばし計画されていたいくつかの重要なインフ
 ラが2年以内に稼動する。
②ジョン・スティーン(セイジ・ミッドストリーム、米国) 
 「米国西海岸の輸出港」について概要を述べた。
③ホセ・ラモン・アランゴ(パナマ運河庁、パナマ)
 「パナマ運河の拡幅の現況」について概要を述べた。
④マイケル・スローン(ICF・インターナショナル、米国) 
 「米国輸出:米国シェールガス革命に応える米国と世界のプロパンマーケット」について、
 現況を述べた。

【以上の3人のプレゼンのまとめ】
 米西海岸に設置されるLPGターミナルは、米国内のマーケットに相当の影響をもち、ひ
いては世界のマーケットにも影響を与える。目前に迫った変化を示すパナマ運河の拡張と相
まってモントベルビューの輸出キャパを増やす。西海岸に開港するターミナルはアジアマー
ケット向けLPGの代替ルートとなる。航海日数短縮はガルフのインフラと比べて高コスト
を相殺する。パナマ運河の拡張はガルフ玉の大量輸送を有利にする。原油価格と連動するN
GLとは異なるモントベルビュー価格は、結局LPGを魅力あるものにしよう。

⑤キンボール・チェン(WLPGA理事長、米国) 
 「クッキング・フォー・ライフ-10億人の新顧客潜在マーケット」
 LPG業界は社会・経済・規制変更に合わせる課題に直面すると同時に、既存と未来の顧
 客にとって頼りになるパートナーであり続ける責任の担保にも直面する。その中には何十
 億人かのために調理用にクリーンな燃料として使用する新規のLPG顧客が含まれる。



7.10月29日「円卓会議―価格とは」

=写真、左から順に=
①司会:ニック・ブラック(全米プロパンガス協会、米国) 
 マイケル・スローンの発言「プロパンは最も価値をもつマーケットに流入する」に言及し
 た。
②佐藤雅一(ENEOSグローブ、日本) 
 CPはナフサ価格に連動し、CPとモントベルビューの価格差は縮まろう。



③アン・ケラー(ウッドマッケンジー、米国)
 潤沢な北米の供給で「関連企業は前進」を続けるだろうが、製品を配送するインフラに投
 資せねばならない。「機会を捉える今がその時である」。
④パク・タリョーノ(プルタミナ、インドネシア)
 プルタミナはLPGの大消費者・輸入者であり、2007年より5500万世帯を灯油か
 らLPGに転換した。世帯収入と燃料費は燃料転換の2大要素だ。 
⑤マーク・プライト(フローガス・グループ、英国)
 小売企業で「いい成功経験がある。でもなぜ売るのが難しいのか?」価格も乱高下が課題
 であり、LPG価格の世界的基準価格が必要だ。
⑥マイケル・スローン(IFC、米国)
 モントベルビューはLPG価格設定でさらに重要な役割を担うが、予測は難しい。「コン
 サルタントは同じことを言うのでベンチマークになるのは近いのではないか」


8.10月29日
「セッション4―スマートマーケティングー認識は力」
①司会:ブレント・ショット(スワンソン・ラッセル、米国)
 LPG業界を賢い宣伝、マーケティング、コミュニケーションで変えられるかがこのセッ
 ションの眼目である。
②ミシェーレ・ヴィロロボス(ミヴィスタ・コンサルティング、米国)  
 「効果的ビジネス・マーケティングの洞察の閃光」と題して、低コストでいかに創造的に
 するか…そのコツを示した。 
③エリック・ハーン(エルガス、オーストラリア)
 「差別化を図るブログとコンテンツ・マーケティング」と題して、ブログとコンテントを
 使うマーケティングで差別化について述べた。
④エルキュメント・ポラット(アイガス、トルコ) 
 「認知マネジメントと持続可能コミュニケーション」と題して、オートガスに2つのレベ
 ルのブランド化をした実例を説明した。
⑤タバハラ・ベルテリ・コスタ(ウルトラガス、ブラジル)
 「ブラジルLPGマーケットの市場革新」について、ブラジルの革新的マーケティングの
 事例を見せた。




9.10月29日「セッション5―未来はここから始まる」

=写真、左から順に=
①司会:セルジオ・バンデリア・デ・メロ(シンディガス、ブラジル)
②カリンダ・マグロワル(スイッチ・SA、ハイチ)  
 「ハイチのクリーン調理の壁を破る」について実例を述べた。
③ジャヴィア・アリツテグイ(レプソル、スペイン)と
④ポール・フィットカー(AVLパワートレイン・エンジニアリング、米国)の共同発表
 「LPG液直接噴射」について発表。
⑤オリヴィェ・レヴァロワ(カーボン・クリア、英国) 
 「カーボン金融とLPG開発促進の時期と方法」について述べた。
⑥パオロ・ディッタ(リクイガス、ブラジル)
 「ブラジルLPGの拡大と配送―経済・社会的チャレンジ」について。
⑦シェイラ・オパラオチャ(エネルギア、オランダ) 
 「LPGは女性にとってエクセプショナル・エネルギー」について。
⑧アンドリュー・ビルズ(オリジン・エナジー、オーストラリア)
 「LPGは太平洋島嶼のエクセプショナル・エネルギー」について。

【このセッションのポイント】
  このセッションはエネルギーと気候変動の問題、また、一人でも多くの女性をLPGの
 サプライチェーンに取り込むというLPGの未来にとっての世界的な課題に向けて、業界
 が果たす貢献を軸として展開した。
  LPG業界の未来を形成するいくつかのプロジェクト、ダーファーのカーボンクレジッ
 トからスペインで開発されたオートガスエンジンの新噴射システム、また、太平洋諸島に
 存在する潜在的マーケットなどの立脚点を網羅し、参加者に業界としての世界的見地を熟
 考させるものとなった。
 「本日のプレゼンテーションはこの業界が本当に世界的なものであり、明るい未来をもつ
 デモンストレーションの1つである」との言葉が印象に残った。



 GTC(世界技術会議)
1.10月30日「セッション1―操作技術」
=写真、左から順に=
①司会:グレッグ・カー(PERC、米国)
②ネイル・レスリー(ガス・テクノロジー・インスティチュート、米国)  
 「LPGのビル内直接使用の環境利益」について概要を延べた。
③山田芳穂(新コスモス電機、日本)
 「ガス警報器の開発:LPG安全使用に不可欠」についての説明を行った。

④ケレム・カダイフチオグル(アイガス、トルコ) 
 「LPG充填作業の自動監視システム」について。
⑤シェルビー・アーマン(タッチスター、米国)
 「コスト対役立ち報告・プラニング」について。
⑥ラーズ・サル(コーサン・クリスプラント、デンマーク) 
 「安全・業務アップの全自動包装判読」について説明を行った。


2.10月30日「セッション2―応用技術」


=写真、左から順に=
①司会:ポーラ・ウィルソン(アメリガス、米国)
②アン・フュードナー(コーラー・パワーシステム、米国) 
 「可動レンタル発電機市場へプロパン利用」について。
③マーク・ウオールズ(サウスウェスト・リサーチ・インスティチュート、米国)
 「GDIエンジンへのLPG液直接噴射」について解説された。
④デーユップ・リー(仁荷大学校、韓国) 
 「D2テストサイクルにおける11㍑L336馬力 ディーゼル軽油・LPG二重燃料技術」
 について。
⑤アンドレア・フォグリエッティ(カヴァーニャ・グループ、イタリア)
 「ENERKIT:小型エンジン用LPGシステム」について概要を述べた。
⑥クリス・ドケリー(ヤンマー・アメリカ、米国)
 「LPG仕様ヒートポンプの技術的発展」について概要を述べた。


 3.10月30日「優秀技術表彰」
 恒例により、前回のロンドン大会で優秀技術賞を受賞した方々の表彰式が執り行われまし
た。左からアメリガスのマレク・ガブリス氏、伊藤グループのネイル・オームロッド氏の両
氏、右はWLPGAロッコールCEO兼専務理事です。




 展示ブース
 展示会では世界各国から116の企業・団体等が出展いたしました。日本からは3社が出展
し、期間中多くの見学者で賑わいました。
  ○伊藤グループ(I・T・O)
  ○新コスモス電機
  ○ヤンマー


伊藤グループ(I・T・O)の展示ブース

 
新コスモス電機の展示ブース


ヤンマーの展示ブース


 世界オートガスサミット
1.10月30日「パート1―オートガスで車両を満タンに」


=写真、左から順に=
①司会:ワリング・ネイルセン(エルガス、オーストラリア)
②バート・ヴァン・エーレ(プリンズ・オートガスシステム、オランダ) 
 「プリンズの直接噴射技術-現在と未来」について語った。
③ジョー・トンプソン(ルーシュ・クリーンテク、米国)
 「車両運行者用LPG車の開発」について。
④トム・アームストロング(シセンセンクルップ・エレベーター・アメリカ、米国)
 3千台以上のLPガス車(サービスカー)を保有する同社から「LPGは最高の自動車燃
 料」と題した講演が行われた。



2.10月30日「パート2―車両で未来を満杯に」


=写真、左から順に=
①司会:スチュアート・ウェイディ(ブロッサム・ガス、米国)
②ワリング・ネイルセン(エルガス、オーストラリア)
③エリック・ジョンソン(アトランティック・コンサルティング、スイス)
④トム・アームストロング(シセンセンクラップ・エレベーター・アメリカ、米国)
⑤スヤシュ・グプタ(インド・オート・LPG・コーリション、インド)
⑥ジンサン・パク(SKガス、韓国)
 特に、来年の1月28日~29日に開催される「WLPGAオートガスサミット in
Seoul」の案内が行われました。



 クロージング
 WLPGAフォーラムは、慣例により南北アメリカ地域 → アジア大洋州地域 → 欧州アフ
リカ地域の順で開催されます。次回以降は下記のとおりの開催が予定されています。
 2015年9月28日~10月 2日 シンガポール(アジア大洋州地域)
 2016年9月25日~ 9月29日 イスタンブール(欧州アフリカ地域)


(調査研究部/岩田 稔)