LPGC WEB通信  Vol.17  2015.08.10発行 

LPガス小売価格の透明化・低廉化に向けて販売事業者の経営実態
及び事業者のあり方について

 小売価格の透明化・低廉化に向けて販売事業者の経営実態及び事業者のあり方について既に
対応している事業者様の具体例も交えて考察いたしました。
 この事業は経済産業省の委託事業【平成26年度石油ガス流通・販売業経営実態調査】とし
て実施したものです。
 この度掲載する内容は、10月9日(金)に当センターが開催致します第25回LPGC研
究成果発表会での報告内容のプロローグです。
 発表会では詳細を報告致しますので、是非会場までお越しください。
 発表会の内容および受講の申込みにつきましては、本号に掲載された記事をご覧ください。



 販売事業者の経営実態について

1.販売事業者の概要




2.販売の概要





 小売価格

1.価格について
 
 小売価格の平均を戸建て住宅向け、マンション・アパート等集合住宅向け別に求めました。
 いずれも集合住宅向けの方が高く、その理由として戸建住宅に比べて初期投資を要し、そ
の分を基本料金に上乗せされていると推測されますが、5㎥・10㎥での値差は基本料金値
差以上であり、従量料金においても初期投資分が充当されていることが伺えます。
 このような考え方は、一般消費者にとって受け入れられ難いと思われます。



2.価格改訂について

 小売価格を改訂する際の根拠についてまとめました。




 家庭用では「市場に追従して改訂する」が最も高く、次いでの根拠「仕入れ価格に変動が
生じた場合にその都度改訂する」の順ですが双方の差は大きくありません。
 一方 業務用においては「仕入れ価格に変動が生じた場合にその都度改訂する」が最も高く、
順位が逆転しています。
 また「得意先との交渉により決定する」が3番目となっており、得意先毎の対応がなされ
ていることが伺えます。
 家庭用・業務用共に、他エネルギー料金で採用されている「原料費調整制度を採用してい
る」事業者は10%~11%台に留まっています。



3.改訂時の周知方法について





 「新料金表を配布する」が最も多く採られている方法です。「ホームページで開示する」
は1%に満たなかった結果です。
 「検針表や請求書(納品書)に変更後の料金を記載する」の場合で単に値上(値下)額の
みを記載した場合には 全体像が理解されない事もあり、消費者側から見て不十分な案内もし
くは不満の残る通知となるでしょう。
 業務用において「口頭で説明する」が2番目にあるのは、家庭用に比べて確実に伝えてい
るものと思われます。
 わずかとは云え、「特に周知しない」に数値が存在することは残念な結果です。



4.料金体系について
各販売事業者が使用する料金表の数について尋ねました。



平均で家庭用が8.3種類、業務用が8.1種類でした。
次いで、得意先戸数別に見た場合です。


 得意先戸数が多い事業者ほど料金表の種類が増していくことが読み取れます。
 但し、得意先5,000戸以上の販売事業者でも、料金表が一種類の事業者が4.6%存在し
 その事業者の経営方針によるものと思われます。



5.小売価格の開示
 小売価格の開示状況について尋ねましたところ、家庭用95,1%・業務用94,0%の事業者が
「開示している」との回答でした。




 然しながら、小売価格の具体的な開示方法を尋ねたところ次の通りでした。


「全得意先に料金表を配布する」が一番多い結果でした。
「一部の得意先に料金表を配布する」が家庭用で16.8%あり、開示については不十分だと思
われます。
「全く開示していない」家庭用4.9%と合せれば21.7%が不十分と云う事になります。(業
務用では21.4%)
開示していない事業者にその理由を尋ねたところ、以下のような内容に集約されました。




一方でホームページ(HP)にて小売価格を開示している事業者も存在し、その中から伺っ
た事例を紹介します。
今後 ご予定されている事業者の参考になれば幸いです。
HPでの開示に踏み切った理由として、次のようなご意見がありました。



その効果として次のような事例がありました。



6.低廉化
今後のエネルギー間競合時代に向けて、小売価格の低廉化についてどのように考えているか
を尋ねました。




「今後の検討課題」との回答が6割を超えています。
 家庭用では「低廉化済」の回答が8,1%で、「低廉化意向無し」(11,1%)よりも低い結果
だったのに対して 業務用では「低廉化済」(13,2%)が「低廉化意向無し」(10,8%)を上
回っており、家庭用よりも低廉化が進んでいると思われます。
 このことは前項(小売価格改定の根拠)にて、業務用では「仕入れ価格に変動が生じた場合
にその都度改訂する」が第一位と ある事から見てもよくわかります。

「低廉化意向無し」の中から低廉化しない理由として、次のようなものが多くありました。





 まとめ

 現段階において比率においてはわずかな中、小売料金を 「ホームページで開示」(0.9%)
している事業者がある反面 「全く開示していない」(4.9%)との状況があります。(家庭用
開示方法) また低廉化への意向については6割以上の事業者が「今後の検討課題」とする中で
も、17.2%の「低廉化意向あり」 と回答されています。(家庭用低廉化意向)
 その17.2%の事業者が今後 料金の透明化・低廉化に向けて第一歩を踏み出される事を願っ
て止みません。
 詳しい解析につきましては、10月9日(金)イイノホールでの第25回LPGC研究成果
等発表会にて お話しさせていただきます。お忙しい時期と存じますが、皆様方のご参加をお待
ち申し上げます。


(調査研究部/村上仁司)