LPGC WEB通信  Vol.25  2016.04.11発行 

LPガス国際セミナー2016 開催報告

 LPガス国際セミナー2016は芝の東京プリンスホテルにて、3月3日(木)~3月4
日(金)の2日間にわたり、開催されました。今月号では海外の発表者のそれぞれについて
講演内容をご紹介します。


1.基調講演 ポーテン&パートナーズ社 (英国)マネジング・コンサルタント
 
  マイケル・パナス 氏
  LPG過渡期のマーケット 成長・挑戦・展望」





【略歴】
ポーテン&パートナーズにLPGコンサルタントとして2007年入社。
Angelicoussisグループや Chartworldといったギリシャの船会社と
仕事の経験がある。ポーテンでは各種グロ-バルLPGプロダクト、
シッピングプロジェクト、コンサルティングに従事。ギリシャのエ
ーゲ大学でシッピング・貿易・輸送の学位、ヨーク大学でプロジェ
クト評価・金融・投資の修士号を受けている。
講演内容】
●原油価格下落がマーケット認識を変化させた。原油の価格は2016~2017年ぐらいには40
 ~45ドルまで回復する。2020年には50ドルあるいは60ドルを超えることで、大体は意見
 が一致する。
●米国天然ガス価格(ヘンリーハブ)はWTIの低水準を追従、欧州のナフサはモントベルビ
 ューのエタンとのスプレッド(乖離)拡大により、2012~14年、クラッカーにはかなり
 の投資機会が欧州で見られたが、足元の状況が変わり、将来はエタンのクラッキング(エ
 タンの炭素分解でエチレンを製造する)増強はあまり見込めない。
●LPガスは副産物なので、石油・天然ガスの供給がLPガスに影響を与える。
●マーケットで変わったのは、2,150万トンの2015年の米国輸出能力である。米国は2015
 年に倍増、中東は堅調に伸び、その他の地域は横ばいであった。
●新規のLPG供給を吸収するのは、アジアである。中国とインドで2014年比6百万トン輸
 入が増加した。中国、インド、インドネシアで需要が増加、アジアは国際貿易のバランス
 を取る。
●シッピング需給がフレートを高レベルなものとしている。2005-2013年は平均$44/tだ
 ったが、2014-2015年は平均$92/tだった。予測では2016年はVLGCの需給はマイナス
 に、2017年は最悪の年になり、2019年には戻る見込み。1年間の傭船契約、ターミナル
 フィーがガロン当り13セントではなく、9セントでターミナルフィーとなれば、アービト
 ラージ(利ざやを求めての裁定取引)ができる。
●米国の輸出は2020年までの世界の供給の伸びを決定する。2016年に追加されるターミナ
 ル能力増強(エンタープライズ拡張、マーカス・フック拡張 オクシとフィリップス66開
 始)がこの伸びの原因である。新PDH(プロパンの脱水素化でプロピレンを製造する装
 置)、スチームクラッキング(原料となる炭化水素は、スチームと共に無触媒の熱分解反
 応(スチームクラッキング)でエチレン、プロピレン、ブタジエン、熱分解ガソリンなど
 の多くの成分が生成される)、エタン需給で小売りが重要な役割をする。輸出量でブタン
 が比率を上げるかもしれない。欧州ではブタンは余剰であるが、アジアはブタンがタイト
 である。
●他に輸出能力が増えるとすれば中東。イランは2014年320万トンだったが、100~200万
 トン位増加の見込み。カタール、アブダビ、サウジ、クウェートで2020年までの増分は
 100万トン足らずである。ロシアはウスチルガの出荷能力が2017~2018年までに150万
 トンから240万トンに増える。アンゴラのプロジェクトは1年以内に始まる。豪州も2017
 ~2018年に200~300万トン追加の供給がある。
●2012~2015年にスチームクラッキングの柔軟性がかなり増えてその消費が増えている。
 特に欧州が顕著である。中国のPDHも需要を押し上げている。LPガスの限界生産はアジア
 ・欧州でのスチームクラッカーの需要による。
●中国:PDHの稼働率と、インド:小売り需要と補助金と輸入インフラ制約が需要を決め
 る。
●挑戦1:LPG価格/プラントは、エチレン生産のフィードストックとして使用に影響され
 る。2.プロパン/プロピレン格差がPDH操業を決める。3.PDHは、意図的プロピレ
 ン需要がどうなるかによる。
●プロパンとブタンの市場は経済性が違う。アメリカの輸出はほとんどがプロパンである。
 欧州はラージバルクをスチームクラッカー用に輸入するが、アジアではPDHが吸収する。
●西(欧州・米国)はプロパンがかなり余っており、プロパンが西から東へ動く。
●米国のLPG価格は、冬の気温、小売りの価格、スチームクラッキング(無触媒の熱分解
 反応)のエコノミックスという国内経済の影響を受ける。またエタンのマーケットが非常
 に大きな役割を果たす。価格を見て予想を立てる必要がある。
●海運は、米国のLPG輸出、輸出先がシッピングの需要/トン・マイルを決定する。米→アジ
 ア2015年8-9百万トン2020年15-17百万トン。
●フリート2016年47隻のVLGC、2017年プラス25~26隻。マーケットは結構バランスが取
 れる。
 LPGマーケットはかってないほど変化しやすい。2016~2019年に関しては不確実性と不
 透明性があり、牽引役(ドライバー)が何かを認識し、リスクを緩和して安全なユーザー
 になろうとすることが重要である。


2.経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課企画官
   田久保 憲彦 氏
  「日本のLPガス政策について」


 

 
【講演内容】
●供給の多様化が進み、米国産シェール随伴LPガスの調達が増加し2013年10%が2014年に
 は17%まで上がってきている。大手3社で輸入の8割を占めるようになった。
●日本の備蓄制度は、国家備蓄と民間備蓄の2本立てで成り立っており、国家備蓄について
 は150万トンの備蓄体制を目指し、民間備蓄については輸入業者に対して輸入量の50日分
 の備蓄義務を義務付けている。
●LPガスは2400万世帯、5割弱の家庭が使用している。タクシー22万台も使用している。
 家庭用は全世帯の43%と非常に多くを占めている。2014年需要は1500万トン、前年比
 3.6%の減少。
●LPガスは最後の砦。最終需要者に対する可搬性、貯蔵性、容易性に利点があり、平時の国
 民生活、産業生活を支えるとともに、緊急時にも貢献できること、非常にクリーンなエネ
 ルギーである。
●今年4月からは電気の分野で自由化され、来年4月からは都市ガスの分野で自由化される。
 都市ガスと電気が自由化されるということで、今後、LPガスが両者との自由競争の時代を
 迎えるという情勢になる。ここに来て、オール電化が進んでおり、全所帯の10%強がオー
 ル電化されている。
●小売価格は最高値を付けた2014年8月以降下がってはいるが、下落は限定的。電気・都市
 ガスに対抗してLPガスが消費者から選ばれるためには料金の透明化を進め価格競争力をつ
 けることが重要である。
●FRP容器の普及。保安の確保と流通面の課題がある。従来容器に比べ約半分の重さで、残
 量も目視でき、安全性も優れている。錆びないしファッショナブルである。但し、FRP容
 器は15年を過ぎたら使用できない。消費者が不安を感じたら販売業者が早急に駆けつける
 ことができるかという課題もある。政府が予算付けして課題克服に向けた取り組み方法を
 措置する予定である。
●国内のLPガス産業の強靭化のため安全性を確保するための機器類、技術、ノウハウを急速
 に需要が増加しているアジアに展開していくことが有効である。
●また優れた技術・サービスをパッケージ化してLPガス供給サービス事業として高付加価値
 につなげていくという視点も重要である。
●エネファーム、LPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて自家発電と給
 湯ができる。エネルギー効率が非常に高く、家庭における省エネルギーとCO₂排出量を低
 減することが可能。ただ価格が160万円と高く、補助金を出しても高値感は否めなく単体
 の価格をいかに下げていくか工夫をしている。


3.日本LPガス協会 会長
   増田 宰 氏
  「成長を続けるLPガス市場~新時代に引き継ぐものと新たな挑戦」




 【講演内容】
●「引き継がれるもの」 日本のLPガスの歴史は1929年に始まる。1961年に輸入を開始し
 て以来、急速に需要が増え大きな市場として発展を遂げた。
●初期の段階では事故も発生したが、徹底した保安技術と品質管理に努め、今では消費者の
 安全に対する信頼を得ている。「保安技術」と「品質管理」が引き継ぐべき財産である。
●「世界のLPガス情勢」:世界の需給は2018年には3億トンを超える。シェール随伴LPガス
 の生産量の増加に伴い、アメリカのシェアが飛躍的に伸び、2014年には世界最大の輸出国
 となり、全世界の輸出量のうち17%を占めるまでになった。
●価格は石油価格の下落が進み、これに合わせてLPガスも低廉化が進む。2014年6~9月は
 熱量等価で原油価格の80%と割安で推移したが、直近では大幅に割高となって、厳しい環
 境にさらされている。
●「日本のLPガス需給」:輸入・石油精製・石油化学の構成比は大きく変化していない。輸
 入でアメリカが大きくシェアを伸ばし、2015年では20%を超える実績となっている。
 「エネルギーリスク評価指標」では調達の多様化が進捗していると評価されている。需要
 は漸減傾向で、2014年1500万トン。
●「エネルギー環境の変化」:「長期エネルギー見通し」で、LPガスは2030年でも3%を堅
 持する。2015年6月「電力・都市ガスの小売全面自由化法案」が成立し、エネルギー産業
 は大きな変革期を迎えている。
●「需要拡大への取り組み」:「LPガス産業の中長期展望」の改訂を行い、2030年度の目標
 として総需要1970万トンと設定した。これによりCO₂は1030万トン削減できる。産業用
 2014年では288.3万トンだが2030年には620万トンまで増やす。コジェネレーション等の
 普及と燃料転換の推移により新たに300万トン需要を掘り起こし、既存トレンドは2013年
 対比で6%の増加を見込み、322万トンの需要とし、計620万トンを目指す。
●LPガスは「LNGと同等の環境性」「分散型エネルギーの利点」を生かすことで、都市ガス
 のパイプライン範囲外のエリアを中心に、需要拡大のポテンシャルを秘めている。
●「メッセージ」:産ガス国には、安定した供給体制、他のエネルギーと比べて安定して競
 争力のある価格設定をぜひお願いしたい。それを背景に消費国は、エネルギー間競争を勝
 ち抜いて需要創出につなげ、LPガスの素晴らしさを広め、人々の暮らしを豊かにするとと
 もに地球環境への貢献にも努める。



4. 世界LPガス協会 (フランス)オートガス・マネジャー
   セシル・ヌリガット 氏
  「成熟マーケットのオートガス発展と視点」
 





【略歴】2016年1月からWLPGAのオートガスマネジャーとして
支持活動を通して世界のオートガスの促進責任者就任予定。前
職はEU環境・気候・エネルギー政策にかかわる種々の案件の権
利擁護やコミュニケーションのキャンペーンに従事した。欧州
大学院大学(ベルギー ブルッヘ)卒、フランスの大学で政治学
修士を取得。
【講演内容】
●オートガス需要の伸びは目覚ましい。1994年から2011年の需要の伸び率50%、2014年
 には2600万トンとなり、50%の伸びを見せている。2010年から2014年まで26%消費量
 増加。
●車両は、2014年2,500万台(10年で倍増)、スタンド数73,000か所、韓国・ロシア・ト
 ルコ・タイ・ポーランド・イタリアの6国で、世界需要の半分を占める。
●EU環境政策:2015年パリにおける新世界気候協定COP21の規則333は、2021年までに
 95gCO₂/Kmを上限に、さらに2014~2015年から導入されているEuro6で汚染物質の
 排出が厳しい基準によって制限される。
●燃料品質目標2009年に主規制が採用され、6%脱炭素を2020年までに実施、LPガスは目
 標より17%も低い値、2020目標達成に向けて、LPガスの販売量を増加させる好機である。
●欧州と世界レベルでの厳しい気候・空気品質は、排気ガス削減の意欲的な法制化に繫がる。
●【ケーススタディ】米国:ポートランドのLPガス通学バスの例、公共調達という世界があ
 り、市の公立学校のスクールバス全体が対象。トルコ:オートガス自家車2004年16%→
 2014年42%、燃料事業者が啓蒙キャンペーンを行い、オートガスに対する人々の認識を変
 えた。英国:既存の車を改造してオートガス車にする動きがある。産業界で認証自動車工場
 をつくった。公認オートガス搭載車のネットワークで改造が進んだ。独:2006年政府が発
 表した2018までの長期のLPG税制優遇策で市民がLPガスに切り替えようということにな
 った。イタリア:低排ガスゾーンの設定(ローマとミラノ)は、LPガス車にかなり優遇策
 がある。
●一般市民の認識:改造する場合はその信頼性を確保する。ガソリンあるいはディーゼル燃
 料との価格差も非常に大切な要素。需要側のいろいろな施策、そして政府からのインセン
 ティブも必要であり、長期的に奨励策が続くのかどうかで安心して改造できる。スタンド
 網の整備、大手自動車メーカーがLPガス車を製造することも必要。
●LPガス供給は伸び続け、価格は安く据え置くことで、気候中心の環境政策から空気の品質
 を重視する政策への転換もあり、世界と欧州の好ましい政策環境は、LPガス車にとって有
 利。電気自動車は特効薬だが今のところ限界がある
●イタリアではDOEM:Delayed (遅れた)OEM(カーメーカー)という取り組みがある。
 新車で未登録の車にLPガスやCNG燃料システムを搭載し、メーカーがバイフュエル、ガソ
 リンとLPガスの両方が使える、あるいはガソリンとCNGが直接使える車として売るという
 考え方が出ている。
●傾向とビジネスチャンス:オートガスはキープレーヤーである。
●オートガスは成熟マーケットでも新興マーケットでも成長維持。政府の政策が不可欠であ
 る。OEM/キットのメーカーと燃料マーケターが重要な役割。日本は適切なインセンティ
 ブと投資があれば伸長する。オートガスは、環境問題と石油依存解消に取り組む機会であ
 る。



5.シブール社 (ロシア)セールス・イグゼクティブ
   アレクセイ・マルコフ 氏
  「ロシアのLPG産業とロシアLPGの日本向け可能性」




【略歴】シブールで炭化水素部門の販売員をしている。2011年
に入社しオーストリアのウィーン支店のLPG、ペンタン、ナフサ、
貿易のセールス部隊を率いている。前は6年間BPに勤務。その前
にはロシアとイギリスの合弁企業TNK-BPに勤務していた、石
油・ガス産業で17年の経験をもつ。オスロのノルウェー・シッピ
ング・アカデミーで貿易と海上経済を学び、モスクワ商科大学で国
際経済関係の学士を得ている。

【講演内容】
●シブールはロシア最大のLPガス生産会社で石化企業でもある。ロシア国内に26生産サイト
 25,000人以上の従業員、75か国に1,400の大手顧客をもつ。売り上げに占める地域別の割
 合は、49%がロシア、36%がヨーロッパである。
●ロシアは西シベリアに480億bblの原油埋蔵量 22兆m3のガス埋蔵量をもつ。
●シブールは西シベリアに9つのうち7つのガス処理プラントを有し、APG(石油随伴ガ
 ス)処理能力230億m3を随伴ガス処理、トボリスクにNGL処理全体で8百万トンの処理
 施設うち6.6百万トンをもつ。パイプライン・ネットワークは2,995Kmあり、6路線の内
 4路線が原料供給とエネルギー供給。 
●シブール投資委員会はトボリスクにおけるガス分留装置6.6mtpaを8mtpaへと拡張するこ
 とに合意。
●ユズノプリオフスキーにガスプロムネフチと合同で9億m3の随伴ガス処理装置、液体回収
 95%のプラントを設置する。
●トボリスクにおける併沸のメタノールクリーニング装置設置で、LPガスの質向上(2015
 年)を図った。
●ウスチルガ積み替え基地能力拡張で、輸送能力がLPガスは1.5mmtpaから 2.4mmtpaへ、
 軽油留分は2.5mmtpa から2.8mmtpaへ増強された。
●加圧LPG船5000m3バルト海仕様2隻を投入した。ウスチルガ輸送基地拡張後に、さら
 にハンディサイズ2隻がフリートに加入した。
●ロシアのLPガス生産は、世界の4.7%(13.5百万t)だが、生産の半分は輸出で、今後、
 2016年生産14.3百万t(輸出6.6百万t)、2017年15.6百万t(7.5百万t)、2018年
 17.0百万t(8.8百万t)を見込む。2015年は13.5百万t(6.0百万t)で、家庭業務用
 4.0百万t 石化用3.5百万t(2015年)である。
●西シベリアからマーケットまで4000Km、日本アジア太平洋マーケットまで6000Kmで
 ある。北極海経由で代替ルートの可能性はある。
●ウスチルガから北極海回りで北東アジアまで24-26日、スエズ経由だと34-36日である。
 北極海回りは短いが砕氷船やアーククラス船が必要となる。
●ロシア北極海のヤマルLNGプロジェクトは、2020年2,500万トン、2025年3,000万トン
 を見込んでいる。
●アムール地区のガスプロム・シブール共同投資でガス処理能力480億m3(メタン・エタン
 ・プロパン・ブタン・ペンタンヘキサン分留)とヘリウム6000万m3を生産できる。
●極東の陸上・海上基地 ワニノ基地(サハリン)から2百万トンを極東・日本へ届けること
 が可能になる。ロシア・中国国境に2000千TPA 内蒙古 1000千TPAの施設を設置
 する。


6.フォーナックス・ケミカル社 (中国)LPGアナリスト&オペレーション
   フィオナ・ツゥー 氏
  「中国のPDH」





【略歴】上海の復旦大学国際経済学と国際トレードを専攻。その
後、米国フィラデルフィアにてファイナンスの修士号取得。現在
はICIS産業アナリストからの転籍で中国のLPG輸出入とPDHを守
備範囲としている。
 【講演内容】
●中国のPDH(プロパンの脱水素化でプロピレンを製造する装置) Bohai(渤海)
 600,000T/Y、 Haiyue(海越) 600,000T/Y 、SATELLITE(浙江衛星) 450,000T/Y、
 SANYUAN(浙江三圓) 450,000T/Y、 YANGZIJIANG(東華) 660,000T/Y、
 WANHUA(煙台)750,000T/Y、で現在3,510,000T/Yの能力。Haiwei 500,000T/Y
 とSOFT PACKAGING(ソフトパッケイジング)660,000T/Yが稼働すると
 合計4,670,000T/Y。
●SANYUANは、1994年150,000t二軸延伸ポリプロピレンを製造開始し、2004年580,000t
 ポリプロピレン製造能力をもつ。
●Tianjin Bohaiは2013年9月開始で600,000t製造能力をもつ。技術:ルーマス方式(高価、
 プロパンの質に対して柔軟、複雑で地元エンジニアは配管をつなぐことぐらいしか出来な
 い)。
●Zhejiang SATELLITEは2014年8月製造開始450,000Kt、技術:UOP方式(新しい技術で
 PDHの中でこの触媒について循環を可能にしている)。
●HAIYUEは、2014年8月製造開始600,000t、技術:ルーマス方式。
●WANHUAは2015年8月製造開始750,000t、技術UOP方式。
●Oriental Energyは2015年5月製造開始660,000t、技術UOP方式。
●PDH450,000Tで建設に36か月かかる。実際はそれより長くかかる。
 理由1.ローカルのエンジニアリング会社の元々の設計に原因あり。
   2.建設作業員の離職率が高い
   3.質の高い作業員を留めるのが難しい
   4.専門家と呼べない作業員もかなりいる。
●中国はLPガス輸入で、2015年12百万トンとなった。日本を抜いて世界一の海上輸入国と
 なった。輸出は1.44百万トンである、プロパン8.5百万トン、ブタン3.5百万トン。価格は
 原油リンクで輸入価格に影響される。春節休日(1月半ばにはほとんどの工場が閉鎖する)
 に影響を受ける。
●PDHは、2013年末1基、2014年末4基、2015年末6基となり、プロパンとブタンの輸入
 数量差が拡大した。
●主要輸入業者:オリエンタル1.75百万トン、チャイナガス1.5百万トン、サイアムガス
 1.4百万トン、JOVO1.3百万トン、ボーハイ1.25百万トン他である。
●プロピレンマーケット:中国のプロピレン輸入は、2011年175万トン、2014年304.8万ト
 ン、2015年277.1百万トン。 多くのPDHは自前のポリプロピレンプラントを持っている。
 ほとんどが例外なくポリプロピレンプラントをまず建設、その上で、このポリプロピレン
 プラントの能力を増やす中で、プロピレンが足りないから、もっと輸入するということに
 なった。
●プロピレン輸入価格:2014年1月$1,500/T、1Qは$1400を超えるも、9月より急落、
 2014年12月$750/T、2015年1月$800/T、2Qは$1000/Tを超えるも。7月より下落
 し10月より横ばい、2015年12月 $800/Tであった。プロピレンの価格が下がるとPDH
 のマージンがマイナスになり問題が生ずる。ポリプロピレンの価格がかなり下がりプロピ
 レンの価格が崩壊することもあった。


7.プルタミナ (インドネシア)シニアVP 統合サプライ・チェーン 
   ダニエル・プルバ 氏
  「インドネシアのLPG 挑戦とビジネスチャンス」




【略歴】メカニカル・エンジニアリング修士号 2013年8月~2014
年4月プルタミナ社ガスディレクトレートのVPエンジニアリングとプ
ロジェクト・マネジメント2014年5月~2014年12月ディレクター兼
COO PTバダクNGL 2015年1月~2015年9月VP統合サプライ・チ
ェーン 2015年10月~現在 シニアVP統合サプライチェーン イン
ドネシアガスソサイアティ(IGS)の事務局長でもある。
【講演内容】
●人口2億5500万人、1.2%人口増加、島の数1万7000、2015-2016年経済成長4~5%であ
 る。 
●人口は、ジャワとスマトラで78.8%占有する。(全体255百万人)
●プルタミナ製油所は6製油所で、1,031MBCDの能力を有する。
●プルタミナは、SS:5,155、ガスP/L:1,624Km、LPガス充填所:557、LPガス基地:21
 がある。
●LPガス消費量は、2011年4.2百万トン、2012年5.1百万トン、2013年5.3百万トン、
 2014年6.0百万トン、2015年6.4百万トン、この5年間で50%増加。2016年7.4百万トン、
 2019年9.3百万トンと予測。年平均伸び率11%、 国内供給は200万トン台である。
●LPガス供給(輸入-予測)は、2015年は4百万トンを輸入。2016年4.73百万トン、2017
 年5.83百万トン、2018年6.63百万トン、2019年7.24百万トンと予測。
●サプライソースは、中東92.7%、アフリカ4.3%、東南・東アジア1%、豪州2.1%である。
●消費量の87%は補助金の対象の引き取り(LPガス3Kg容器)。13%は非補助金対象での引
 き取りである。
●輸入インフラは、タンジュン・ウバン:陸上貯蔵能力88,800トン、スマンカ湾:3VLGC
 フローティング基地、カルブト:3VLGC フローティング基地がある。
●国内供給の減は輸入とバランスする。LPガス需要の伸びは2019年まで±5-7%、国内受入
 れ基地は既存フローティング施設を陸上のオペレーションと取り換える必要がある。
●計画:タンジュンセコン基地の改善 東ジャワと西ジャワに基地建設 ボンタンとアルン
 の基地の有効利用が課題である。
●LPガス仕様に関する政府の規制のやり方と、生産側で保証してくれるスペックとにずれが
 あって、この問題を解決しなければならない。
●政府の事業として、低所得地域で燃料として使われている灯油からの切り替えを進めてい
 る。100%LPガスに置き換えようとしている。 



8.タスウィーク (カタール)イグゼクティブ・ダイレクター・プラニング 
   アブドゥラジズ・アル・ミーヤ氏
  「カタールからLPGは新マーケットへ」





【略歴】米国タルサ大学化学工学士、フランスのインスティチュ
ート・フランセ・ドゥ・ペトロで石油経済・管理のマスター。20
03年カタール・ペトロリアム入社。オフショア生産部門にてオフ
ショア設備の生産監督に従事した。その後、3年間生産計画を担当
した。タスウィークには2009年コンデンセートのマーケット・ア
ナリストとして入社し、2011年マーケット・アナリシス・ダイレ
クターに昇進。2015年5月より、プラニングのエグゼクティブ・
ダイレクターで戦略と予測立案の責任者である。
【講演内容】
●カタールのLPガス輸出先は、2008年は米国1%、アラビア湾5%、欧州2%、東南アジア・
 豪州6%、南アジア2%だったが、2015年は北東アジア44%、東南アジア・豪州18%、南ア
 ジア37 %、2008~2015年に7000万トンを輸出。南アジア・東南アジアが拡大、この傾
 向は続く。
●中期的には少なくとも5年間は安定的供給、大幅供給増は計画も見込みもない。石化プロジ
 ェクトは棚上げ、プロパン・ブタン比率は60:40でブタンはタイトになろう。
●プロパンの需給バランスは、アジアに150万トン供給不足、需要が拡大。米国からの供給の
 伸び100万トンは可能。これ以上の伸びが必要。アジア市場は不足状態が続く。ブタンの需
 給バランスは、アジアは70万トン供給不足、これも需要が拡大するが、米国の季節的な輸出
 制約があり、よりタイト。 
●プロパン消費別では、プロパン全体の需要の伸びの85%は石化分野で起こり、それゆえ石
 化プロジェクトの収益性がポイント。 
●ブタン消費別では、ブタン全体の55%の需要の伸びは石化分野で起こり、45%は家庭・業
 務用で起きる。石化は乱高下がありベースロードの需要とはいえない。家庭業務用は長期で
 見ればゆっくりとしているが確実。
●プロパンは石化原料としてナフサと競合するが、経済性、原料の柔軟性にボラティリティが
 あるため、必ずしもプロパンに軍配があがることはなく、プロパンの価格乱高下が続くこと
 となる。
●PDH:マージンがどうなるかがポイント。2015年の最後の四半期にマージンが下がり、足
 元回復しているかもしれないが、かなりサイクルがあり、プロパン価格の乱高下につなが
 る。
●かなり長期にLPガス価格は安定していたが、安定期は乱高下価格時代を生んだ。世界マーケ
 ットと十分結びついている供給ソースは乱高下を鎮める。
●CPは近年熱量等価で原油を下回っている。AG(中東)価格は、マーケットダイナミクスに
 対応し競合的である。
●カタールのメリットは、アジアまでの輸送期間が短いこと。輸送期間が短い方が安心で頼れ
 る供給となる。
●米国モントベルビュー価格+コスト(ターミナルフィー等)とFEIの価格を比較しても、ほ
 とんどアービトラージ(利ざやを求めての裁定取引)がなくなっている状態。米国LPガス
 がどこへ向かうかがキーとなる。
●結論:1.LPガスは速やかにバランス保つ、ブタンはタイトのままでプロパンはアービトラ
      ージで両側に揺れる。
    2.石化需要はプロパンとブタンに重要だがプロパンにこそ決定的。
    3.出荷設備拡張が米国で成されているが、モントベルビュー価格の顕著で維持可能
      な連関がないと、どこにこの供給増加分が向かうかがわからない。
    4.LPガストレードはアービトラージが開く/閉じる機会と結びついているため、長
      期の輸送期間や異常気象が供給の安定に影響。
    5.増幅する乱高下は石化の経済性により今後もみられる。
    6.ブタンは南アジア需要と米国供給制約でタイト、すなわちプレミアムを生む。
    7.プロパン余剰は、競合価格を設定して対応の用意があるAG(中東)供給者の行
      動により、極東で帳消しになる。
●中東産ガス国、特にカタールの持っているメリットは、バイヤーとセルラーのやり取りのフ
 レキシビリティを提供できること。アジアのベースロードとして今後もお客様の要望に責任
 ある形でタイムリーにお応えする。


9.ローレンツェン・ステムコ(ノルウェー)ガス・デパートメント ダイレクター
   アンダース・ラリム 氏
  「将来のLPGシッピングマーケット」





【略歴】イタリアのペルージャ大学で歴史・文学の学士号取得。
王立ノルウェー海軍大学卒。ウェスティンホテルの受付を経て、
石油ブローカーとしてキャリアを始めた。ジョアキム・グリーク、
ノルセイ、NSO、ファーンレー各社の要職を歴任し1997年
ローレンツェン・ステムコ社に入社。
【講演内容】
●2000年に原油、VLCCをやっていたところからLPガス部門に配置変換となり、資料を読んだ
 り、権威者や企業に見通しを学んだが、その予測はほとんど当たっていなかった。予測とい
 うものはかなり気を付ける必要がある。想定外のことが常に起こる。
●予測の挿話:歴史から学べ、フェニキアで最初に青銅によりシッピングブームが起こった
 が、鉄の出現で青銅の需要がほとんどゼロになってフェニキア人の船はやることがなくなっ
 てしまった。
●フレートを予測するには、ルートを予測せねばならす、船がどこへ向かうか、どこから、何
 を、どう運ぶのかをを知る必要がある。そんなものをどう予測しろというのか。
●増えるLPガスの供給はどこへ行きつくのか ブラジル一人当たり20%使用増加は24隻のV
 LGCに相当し、中国一人当たり20%使用増加は38隻に相当する。
●2012年にはLPガスの純輸出国になると言われたインドでは、2012年660万トンを輸入し
 た。消費を支えるインフラがつくれなかったからと言われているが、この予測は難しい。
●2016年を予測するつもりはない。原油価格の予想は難しいと思う。物がどこへ行くのか当
 てるのは難しい。
●2016年のありうるサプライズ:
 1.原油は2016年$30/バレル以下に止まる。
 2.米国天然ガス生産は右肩下がりになる。
 3.一部の人は米国LNG輸出プロジェクトが延期か廃棄となると認めた。
 4.米国議会で気候変動の超党派的支持が起こる。
 5.世界の原油生産が下落する。
●未来は何をもたらすか。新造船の登場:船体が飛行機の翼のようなWind Shipが登場する。
 この船は上昇力より前進力を生む。
●どちらへ向かうかヒントはない。
●自信はいつも正しいことからは生ぜず、間違うことを恐れないことから生じる。自分の直観
 を信じるしかない。



10.韓国LPガス協会(韓国)イグゼクティブ・ダイレクター
   ジュンドゥ・フ― 氏 
  「韓国のLPG産業」




【略歴】1989年SK入社。以来20年に渡りSKエネルギーにて主に
マーケティングと石油・LPG戦略に従事。2010-2014年SKガスマ
ーケティング部長(韓国供給35%シェア)。2015年よりKLPGAの
VPとして政府との窓口、オートガス、建設機械、ノンロード機器等
R&Dの担当をしている。
【講演内容】
●2005年から2015年の間にエネルギー消費量は25%増えた。1億7,000万TOE(石油換算ト
 ン)から2億1,200TOEに増えた。LPガスは4%を占めている。
●韓国のLPガス需要は、2009年までは毎年4%伸長した。2009年以降3%減り続けている。
●LPガス車の台数は、2,410千台(世界4位)、オートガス消費量3,780千トン(世界1
 位)。
●2010年以降、LPガス車は7%で減り続けている。RV車は55%も激減した。
●LPガス車に有利な点:
 1.燃料税制政策(ガソリン:軽油:LPガスの相対的な価格比率を100:85:50としたこ
   と)
 2. LPガス車のOEMモデルが18モデルあること
 3. オートガススタンドが2,000以上あること。不利な点:LPガス車の利用規制(税制の
   収支変化、燃料需給、利益相反などを問題視し、政府が使用制限を設けていること)
   -これが最近のLPガス車減の最大の要因。
●LPガスタクシーマーケットの維持:2010~2013年にタクシー業界よりLPガス価格が高い
 ことから、ディーゼル車、CNG車にも補助を要求した。
●LPガス車の11%がタクシーであるが、消費量では40%のシェアを占める。これを維持する
 ことが重要である。
●政府はタクシー燃料の政策を変えた。一度ディーゼルの補助を決めたが、環境・健康リスク
 のため規制を厳しくした。
●政府の厳しい規制で、ディーゼルタクシーはまだ市販されていない。
●規制緩和:政府は2017年より5年以上所有されているLPガス中古車を大衆が買えるように決
 めた。これはLPG車数向上(3万台/年)に影響を与えよう。
●韓国LPガス協会は、メーカーとLPDI(LPガス直接噴射)システムを開発している。ルノ
 ーサムスンは、協会のサポートで2015年トロイダルタンク装備のLPガス車を発売。
●韓国LPガス協会は、隙間市場を開拓、フォークリフト、発電機、GHP、ボート等にLPガス
 を使用するよう活動。
●PR活動として、ラジオ、LPガス車展示、プレスカンファレンス、オートガスサミットを開
 催し普及に努めている。
●まとめ:シェールガスと税制で競合的立場を維持し、オートガスとアプリケーションの先進
 技術に投資を喚起し、LPガス車の利用規制の禁止、新マーケットを開発する。


11.サウジアラムコ (サウジアラビア)マーケティング・アシスタントLPGセールス
  ・マーケティング、原油販売マーケティング・デパートメント サウジ・アラビアン
  ・オイル・カンパニー
   アリ・E・アラム 氏
  「サウジ・アラムコのLPG輸出「継続する旅」」





【略歴】2011年大阪の関西大学卒。専攻は化学とマテリアル・エン
ジニアリング。マーケティング・コーディネーターとしてCOSMDに
勤務し、CP推薦レポートに加えLPGターム・スポット販売、マーケッ
トアナリシスとスタディズを専門にした。他には5年間OSPAS基地と
ガス部にて経験を積んだ。ラビーグ2プログラム実施部で韓国とラビ
ーグで詳細なデザインと建設フェーズを担当した。
 【講演内容】
●サウジアアラムコは、災害援助プログラム等で皆さん(日本)のパートナー。いつでも支
 援をする用意がある。
●LPガスは、ほぼ全量が東に向かっている。
●2014~2015年にはアラビアンライト価格は49%下がり、LPガス価格は、CFR日本は
 42%、サウジアラムコCPも47%下がった。
●サウジはCPを堅持しているが、2011~2015年までアラブライトの熱量等価比で100%
 を割っている。
●サウジアラビアの国内消費が増えることもあって、この2年ほど輸出に関してはブタン偏
 重になっている。2015年ではプロパン:ブタンは40%:60%となっている。
●シェイバNGLプロジェクトが立ち上がることもあり、追加で100万トン、1年間当たりの
 LPガス輸出余力が出て来る。
●2016年ターム契約は750万トンをコミット、2015年680万トンから増量している。2016
 年以降も同様に数量を維持できる。
●ヤンブー・運賃調整は、ヤンブー積みの客にフェアでありたいとの願いから、調整システ
 ムを取り入れ、2015年最高の$22.50/トンに達している。
●LPガスビジネス全体に目を配り、市場変化に応じます。パートナー及び顧客の皆さまとの
 関係がビジネスの核であり、「信頼」をベースにした輸出戦略を推進していきたい。



12.クウェート国営石油(クウェート)マネジャー ナフサ・モーガス・LPG販売
    カーレド・アル・サバ― 氏
   「KPCのLPG展望」





【略歴】1987年から1992年南加大学石油工学士 同修士 1992年
原油部門セールス 1998年ロンドン駐在で全製品シニアセールス
2003年欧州事務所課長補佐 2005年海運部チームリーダー チャー
タリング 2009年マネジャーバンカー 2013より現職
【講演内容】
●KPCは1980年に設立、国内外の石油製品販売を担う。国際市場では製品と原油のマーケ
 ティング、販売、輸送など戦略的方向を企画する。
●クウェートの原油埋蔵量は2,600億バレル、ガス埋蔵量は290兆立方フィートである。
●LPガス生産は2010年以降400万トン台であったが、2016年は500万トン、2020には600
 万トンへ増加する。
●輸出先別は、日本40%、韓国23%、インド21%、中国10%、東南アジア6%である。
●契約の形態はFOBとCFRであり、前者が66%、後者が34%である。
●LPガスタンカーは4隻所有している、戦略的な計画の中ではあと3隻増やすことを考えてい
 る。
●CFPというクリーン燃料プロジェクト(保有2製油所の改修)を始めた。
●国内消費は4%であったが、Al-Zourの製油所に隣接の統合石化プラントが建設され、LPガ
 スで稼働するのでLPガス消費が増える。2019年完成予定である。
●1984年以来、海外の製油所、石化への投資をKPI(クエート国際石油)を通じて行ってい
 る。20万バレル/日のベトナムの製油所である。それにSKアドバンスPDHのプラントであ
 る。
●施設改善:LPガストレイン1,2&3で500MMSCFD、LPガストレイン4は2016年稼働、
 LPガストレイン5は2015年7月建設開始、LPガストレイン4&5はガス処理施設80
 5MMSCFDとコンデンセート106MBPDの能力を保有する。
●価値提供:KPCは世界の出先を通じて顧客と直接連絡を取る。操業の柔軟性をもった頼れ
 るサプライヤーとみられている。 
●LPガスマーケット展望:パナマ運河拡張により東西裁定取引が加速し、ビジネス好機到来。
 ただそれほど大きな変化はないだろう。インド、中国、インドネシアの家庭用、石化用、
 業務用、オートガス用すべてで新規需要が期待できる。
●LPガスは、重油、ナフサとの価格面で競争優位が非常に大切である。環境適合性とともに
 優位性、燃焼性をもつLPガスは、新分野利用により好機がもたらされる。



13.パナマ運河庁(パナマ)液体バルク部門リーダー
    ホセ・ラモン・アランゴ 氏
   「パナマ運河拡張: 新環境でのビジネスチャンス」





【略歴】サンタマリア・ラ・アンティグアガ大学でビジネス・ア
ドミニスレーション、パナマ大学ロースクールから海事発展学の
修士を得る。エラスムス大学で上級海事経済学とロジ学、ノース
ウェスタン大学トランスポートセンターでプライシング戦略、テ
キサスA&M大学でプロジェクト・マネジメントを学ぶ。パナマ運
河庁には1991年より勤務。2001年にはインターナショナル・トレ
ードアナリストとしてプラニングとビジネス発展のエグゼクティ
ベ・バイス・プレジデンシ―へ移籍。世界貿易が運河競合と液体
バルクトランスポーテーション代替輸送にどう影響するかを調査
・研究している。
【講演内容】
●パナマ運河の拡張工事完了・通航開始は、2016年第2四半期(6月)である。それまで種
 船舶をトライアルに通航させている。第2四半期(6月)までにすべてのコモディティが
 を通過して、いろいろなルートを通航できるようにしたい。
●通航量:1914-2015年1.05万隻、9,600百万LT。2015年メインルートは229.1百万ト
 ン米東海岸―アジア82.1Mトン36%)である。
●LPガス船通航:2007年149隻1,138千LT、2015年422隻4,152千LTである。
●拡張工事プロジェクトは96%完成。新規(既存):全長366m(294.1m)、全幅49m
 (32.3m)、喫水15.2m(12.04m)、ロック長427m(304.8m)となる。
●プールに水を出し入れする設備により、従来と比べて7%利用水量が減じる。好環境性を現
 した。
●拡張工事により、173,000㎥までのLNG船と米国からアジアへLNG/プロパンを運ぶL
 GCの通航マーケットとなる。
●通航料:VLGC 82,000㎥では、最初5,000㎥が$5.5、次20,000㎥が$2.35、
 次30,000㎥が$2.3、残る27,000㎥が$1.8、$27,500+47,000+69,000+48,600=
 $192,100 バラス時$153,680と算出。
●米国湾から韓国まででは、パナマ経由9,733nm、喜望峰回り15,393nmで 5,660nmの
 節、約15日間、タイムチャーター$52,000/日の節約となる。
●米国のシェール由来LPガス生産:米国ガス処理プロパンは高生産、製油所は横ばい、家庭
 務用は冬場の需要期が始まり、輸出は増加を続けている。
●米国の海上ターミナルは、ほとんどが東海岸に位置。NGLの分留業者はメキシコ湾岸が中
 になっている。LPガスの海上ターミナルの建設計画が予定され、ほとんどはパナマ運河に
 よリ、貨物をいろいろな市場へ出すチャンスがあるということになる。パナマ運河は物流
 チェーン一部でしかない。アービトラージ、需給といった要素が市場によって動くことに
 なる。アア向け輸出でパナマ運河は、物流チェーンの一部としてアジア市場への通行路と
 なる。
●LPガストレンドとパナマ運河の影響:
  1.米国東海岸でLPガス生産が伸長し価格が下がと、長期的には南米東海岸のLPガス生
    産が増える。
  2.南米西海岸の経済成長が続くと家庭務用需要が堅調となる。
  3.アジアは石化原料にナフサに代えてLPガスを使うようになるの南米東海岸、米国東
    海岸からアジア石化向け輸出が伸長する機会をもたらす。
  4.VLGCの腹が伸びると米国東海岸からアジアへのコストポジションが改善する。


14.タルガ・リソーシズ (米国)VP NGL国内・国際マーケティング
    ロブ・ドナルドソン 氏
   「米国シェール: 盛りは過ぎたか、一休みか?」





【略歴】1996年ワレン石油の西部地区輸送貨車のロジ管理でキャ
リアを開始した。ワレン石油とディネギでマーケティングに従事
する間、西部でブタンとより重い製品に重点を置く製油所のサービ
スに直接係わった。タルガでは国内プロパン販売を担当し、ノース
ダコタ・ウィリストンガス盆のバッドランドでガス処理と粗LNG
を支援する。
【講演内容】
●リグ数に対するNGL生産では、リグ数が2012年Q1 1,947が2015年Q4には753へ激減
 したものの、2015年Q4のNGL生産では、ブタン600千バーレル/日、エタン 1,200千バ
 ーレル/日、プロパン1,200千バーレル/日、全体3,000千バーレル/日と伸びている。エタ
 ンはガス処理のプラントで注入(リジェクション)され、残留ガスの中でメタン、天然ガ
 スと一緒に市場に行く。リグ稼働率は向上、リグは24井を採掘。水平横堀は生産を最適
 化。ガス多段階層採掘である。
●リグ数に対するプロパン生産では、2012年Q1~2015年Q4にリグが激減した中、 フィー
 ルド生産1,200千バーレル/日、製油所生産500千バーレル/日で、全体1,700千バーレル/日
 となっている。
●米国在庫:プロパンは2015年12月には1億バーレルを突破(800万トン)した。より大き
 い問題として、1.2016年のプロパン生産は 2.プロパンはどこから来るか 3.原油の
 価格の予想は、があげられる。自然の流れとして原油は価格が下がっているが、プロパンの
 生産は伸びている。WTIが40-45ドル/バレルまで油価が回復したら、かなりの成長がLPガ
 スの生産でも見られる。
●米国ガルフ地域、モントベルビューの分留能力は、ローンスターNGL、ガルフコースト分
 留(タルガ・デヴォン・フィリップス66)、オネオク、タルガシーダーベイヨウ分留、エ
 ンタープライズを合計すると2.2百万バーレル/日あり、これは2010年の190%増である。
 モント・ベルビューは北米最大のNGL貯蔵で分留のハブである。 2億バーレルの貯蔵量を
 有し、米国最大の精製・石化装置を提供する。
●ガレナパークマリーンターミナル輸出能力(輸入港であったのを輸出港に改造):フェー
 ズ1拡張は2013年9月に完了。フェーズ2拡張は段階的に2014年9月までに完了した。12
 インチのパイプライン、冷凍装置、新VLGC着棧可能ドックが2014年Q1&2で稼働。追加の
 脱エタン塔2014年Q3に完成。
●瞬間冷凍能力:フルレフ(完全冷凍)プロパン10,000Bbl/h(800mt/h)、フルレフ
 (完全冷凍)ブタン5,000Bbl/h(460mt/h)、セミレフ(完全冷凍半加圧)プロパ
 ン2,500Bbl/h(200mt/h)。
●タルガと他社向け有効能力:1.装置の稼働時間と効率 2.ドックスペースと滞船
 3.貯蔵と積載可能製品 タルガの有効能力6.5~7MMBbl/月(0.52~0.55MMT/月)
 70~80%は名目能力である。
●着桟船幅は37.2mに拡張された。
●ブタン積みレート5,000Bbl/h(460mt/h)を2016年2月に追加した。
●北米では何十年もかけてモントベルビューでの分留能力が高まってきた。NGLの生産は
 横ばいかも知れないが、タルガであれ他のオペレーターであれ市場に供給する能力はある。
 原油価格が戻ればかなりのチャンスとなり、さらに分留能力強化されることになる。北米
 からアジアなど様々な地域に貿易が可能になる。


総括質疑応答(回答者:敬称略)
Q1:NGLを分留すると40%がエタンになるが、そのエタンをどう処理するのか。(1)エ
  タンの輸出は考えていないのか。(2)以前話があったカリブ海諸島で発電所の燃料と
  して使うことは考えていないのか。
A1(ロブ・ドナルドソン氏):(1)タルガは現在、特にエタン輸出の許可をとってない
  ことから、輸出は考えていないが、状況によっては、モントベルビューに製品があって、
  ターミナル、パイプラインなどをつくって、北米の他のオペレーターがやっていること
  と同じようにやることはあり得る。
  (2)市場では、まだエタン発電を考えている最中で、輸出もされていなことから、エ
  タンを燃料としてカリブ海で使った例は現時点ではない。エタンを燃料として発電に使
  うことは依然ほどインセンティブになっていないことから、今後の議論ではないかと思
  う。

Q2:エタンのリジェクトに限界はないのか。
A2(ロブ・ドナルドソン氏):現在、米国ではエタンは日量50~60万バーレルがリジェ
  クションされている。この問題はオペレーション上の問題というより、採算が合うかど
  うかという判断になる。今後エタンが輸出、エタンのためのクラッキングが米国の石油
  化学でも行われてくると思う。そうするとエタンの追加供給となるが、今のところエタ
  ンのリジェクションについて何か制約があるわけではない。

Q3:ガソリン車をLPG車に変換するというアフターマーケットのビジネスは、日本にある
  のか。中古のガソリン車をLPガス車に改造することはなされているのか。
A3(田久保氏):小規模な工場では、客の要望に応じてやっているところは一部ある。自
  動車のディーラーと関係性をもってやっているところはまだない。

Q4:アジア諸国で、他のエネルギーとの関係でLPガスの競争力維持はどうやって図ってい
  けばよいのか。
A4-1(ジュンドゥ・フー氏):韓国の需要は、工業用と化学用は増えている。特に、今
  後、化学の需要は増える。価格的にナフサに対して競争力があることがその要因だ。
A4-2(ダニエル・プルバ氏):天然ガス(都市ガス)供給網があると、LPガスの今後の
  増加分が減ってしまうということになり得るが、この先5年はそうはならない。都市ガ
  スとの競合について、家庭向けではLPガスが価格優位である。

コメント(セシル・ヌリガット氏講演に対するコメント)
(1)昨年のこのセミナーにおける世界LPガス協会からの講演で、ディーゼル車がティラノ
   ザウルス状態で滅びゆく車というショッキングな内容を聞き、パリでもロンドンでも
   ディーゼル規制を始めている話があって、VWの排出ガスのデータ捏造という大事件
   も起こった。世界LPガス協会の慧眼に感服している。
(2)日本でLPガス車が減っている原因の一つにボンベの容器耐圧の検査がある。CNG車と
   同じ優遇策を受けられていない。
(3)日本LPガス協会会長より、LPガス車を56万台にする構想が出たが、業界を挙げて頑張
   っていきたいと考えている。
(4)充填のカップリングがヨーロッパでISO化するという話があり、日本の基準と若干違
   う。そのカップリング、アタッチメントの国際会議が東京で6月に開かれるのでよろ
   しくお願いしたい。

Q5:ロシアのLPガスを極東に輸出する際の価格建ては、CPベースなのか。
A5(アレクセイ・マルコフ氏):地域ごとに最も適切な価格ということにしており、流動
  性を持ったものにしている。中国向けの価格は検討中で、潜在的なバイヤーと話し合い
  をしている。常に透明性が高い、流動性のある、双方に分かりやすいインデックスを使
  うようにしている。

Q6:インドネシアのアルン基地とボンタン基地のタンクの現状、いつからLPガス輸入基地
  として使うのか。
A6(ダニエル・プルバ氏):アルン基地は、現在LNG輸入基地にしたが、LPガスの輸入タ
  ンクについては、今、技術的検討をしている。STS(瀬取り)を陸上の施設に切り替え
  たい。加圧型のタンクをつくり周辺のターミナルにも使えるようにする必要があり、1~
  2年のうちに使えるようになる。
  ボンタン基地は、今もLNG輸出のためのプラント生産が行われ、液化プラントもある。
  LPガスのタンクに輸入物を受け入れる体制にするための工事についても検討しており、
  3~4年かかる。
  スマトラ南部のものは100%フローティング貯蔵を置き換えることができないが、一部
  をアルンへ振り向けることが出来る。ボンタン基地のLPガス輸入に関しては、ジャワ島
  東部のシトゥボンドのSTSを置き換えるということで考えるだけでなく、むしろ追加的
  にタンクをつくって、インドネシア東部に向けたサプライ・チェーン、流通の最適化と
  いうことにする。ジャワ島東部のSTSの分については、置き換える形で陸上のLPガスの
  受け入れターミナルをつくろうとしている。

Q7:CNGは、韓国では脅威とはみなされていないのか。
A7(ジュンドゥ・フー氏):韓国において、CNGはバスのみで使用している。ソウル・オ
  リンピックを期にCNGに代えた。CNGのインフラ整備は、LPガスのスタンド整備以上に
  高価なので、タクシーでCNGを使うことは難しい。

Q8:タルガ社の講演資料の写真にあった分留装置の稼働率はどれくらいか。
A8(ロブ・ドナルドソン氏):現在、数字でいうことは難しいが、18か月前だと100%近
  かった。価格が回復、特に原油価格が回復すれば、生産量が増えて稼働率も上がるとい
  うことは、はっきりと言える。

Q8:今後のアジアでのLPガス需要は強いままか。様々なところから供給を受け入れるだけ
  の需要がアジアにあるのか。分野別の内訳、例えばポリプロピレンが多いような気がす
  るがどうか。
A8(マイケル・パナス氏):複雑な答えになる。需要・供給両方でいろいろな要素が絡み
  あうからである。かなりの小売り需要がアジアで伸びる。余剰の能力がグローバル・ト
  レードされることになる。そうするとこれを吸収するには、PDHの施設が必要であり、
  スチームクラッカーも75~80%が2020年までに稼働しないと無理である。プロパンと
  ブタンのダイナミックス、輸出入がどうなっていくのか、大きな影響がある。中国の需
  要(PDH施設)が伸びる。ブタンの需要が中国でどうなっていくか。インド、インドネ
  シアなど他の地域もある。
  まとめると、答えはイエスである。米国からの供給は増えていくというのが一つ、もう
  一つはアジア、特に中国、インド、インドネシアが輸入を増やして、需要の伸びに対応
  していくということ。それから、ブタンは米国からアジアに行く。そうするとスチーム
  クラッカーがブタンを今より多く消費することになろう。

Q9:マーケットの大きさとして牽引してきた日本の役割、世界のLPガス産業における今後
  の日本の役割に関しては、日本政府は、どのようなものを考え期待しているか。
A9(田久保氏):上流の部分では、日本の輸入大手、元売りの会社が日本のみの輸入では
  なく、アジア全体でのトレード力を増やすべく努力をする。ハウスホールドの部分で需
  要が伸びているアジアの国々に対して、日本の非常に安全性に優れた機器や技術、知識
  を移転してあげることが非常に重要な役割なのではないかと思っている。アジアの国々
  の方々と政府レベルで付き合い、どういう需要があるのかを踏まえて、政府としても後
  押しをしていきたい。

Q10:2019~2020年のロシアから極東への輸出について、VLGCまたはLGCを考えている
  のか。造船としては1~2隻ではペイできないと思うが検討済か。
A10(アレクセイ・マルコフ氏):VLGCを考えている。代替的な策としてLGCも考えて
  いる。何隻つくるかの答えはまだ出ていない。ターミナルの最終的な設計が決まってス
  テークホルダーとの間で契約ができたところで考えることになる。耐氷性でどのくらい
  の条件が必要になるのかを考慮するが、オポチュニティーは豊富にある。


(調査研究部/岩田 稔)