LPGC WEB通信  Vol.28  2016.07.11発行 

IHSアジアLPGセミナ―参加報告



 
会場となったグランド・ハイヤット・シンガポール

 第20回「IHSアジアLPGセミナー」はシンガポールのグランド・ハイヤット・シン
ガポールで、6月13日~15日の3日間にわたって開催されました。

 この20年間、IHSアジアLPGセミナーは、アジア地域および世界中から一流のLPG意思
決定者の集りで、深いマーケット分析と今日LPG/NGLが直面する最も重要な課題を対象と
します。

 また、このセミナーは現在のLPガス業界が直面している主要な問題について、関係国・
関係者が集まって講演や議論をする場として、非常に貴重なネットワーキングの機会となっ
ています。

 今月号では、同セミナー開催の主要テーマ、講演内容等についてご報告いたします。



 主要テーマ
 今回の主要テーマは次のとおりです。
1.原油の低価格が米国LPG輸出とアジアの家庭・業務用需要に与える影響。
2.いつまで原油の低価格は続くか、国際経済の展望はいかに。
3.国際的LPG需要は増加する世界LPG生産を十分消費するか。
4.パナマ運河の拡張工事完工と低価格の運賃、原油価格が中東とアジアの基準LPG価格に
  与える影響は。
5.エチレンクラッカーのLPG需要は中国のPDHと米国のエチレン輸出によって影響を受け
  るか。

 講演
6月14日(火)
歓迎と導入

ウオルト・ハート,副社長 NGL調査・コンサルタント IHS


1.アジア・太平洋州景気展望と主要リスク:2016-2020

ラジヴ・ビスワス,上席ダイレクター兼アジア・太平洋州チーフ・エコノミスト IHS
【プロフィール】
シニア・ダイレクター兼アジア・パシフィック・チーフ・エコノミスト。IHSに入るまではエコノミスト・グ
ループの東南アジア担当ダイレクターであった。その前はUBSで国際公共政策とグループ・エコノミック・リ
サーチのダイレクター兼シニアエコノミスト、アジア・パシフィックのカントリー・リスク担当イグゼキュテ
ィブ・ダイレクターを歴任した。日本政府のための貿易・投資問題に助言していた経験ももつ。100を超え
る論文を執筆した。ロンドンスクールエコノミックスで学士、ロンドン大学で修士・博士号を得ている。


【講演内容】
1.新興アジアの消費の成長は国際的成長のエンジンである。
2.ASEANと南アジアでは新しい製造成長ハブが浮上している。
3.インドは最速成長のBRICS経済となり地域成長のエンジンである。
4.中国の「1帯1路」戦略と新多国間開発銀行(AIB,NDB、絹の道ファンド)は主
  要地域成長の触媒となろう。
5.高齢化の人口統計は日本と韓国の潜在的成長率を劇的に低下させる。
6.アジアの大都市の一層の都市化と成長はアジアの政府とビジネスに好機と課題を創出す
  る。



2.世界の石油マーケット:将来待ち受けていること

ヴィクター・シャム,副社長 アジア・太平洋州 IHS
【プロフィール】
Dr.ヴィクター・シャムはIHSのVP。アジアの石油マーケットとダウンストリームのエネルギーコンサルティ
ング・プラクティスを指揮している。プリントとTVメディアは頻繁に石油産業について彼の見解を求めて
インタビューをかける。経験は戦略、成長、合併、操業について上席マネジメントチームと協業することを
含む。中国、インド、韓国、日本、東南アジアで現場でのプロジェクトの幅広い経験がある。30年のコンサ
ルティングと石油産業でコマーシャルとマネジメントの経験がある。元々は、香港から1999年ヒューストン
経由でシンガポールへ移住した。その時以来、アジアのエネルギー分野にいるフォーチュン500企業、国営
石油、政府機関に勤める数多くの顧客契約を率いてきた。Dr.シャムはシカゴ大学でMBAを、ノースウ
ェスターン大学で化学工学の博士号を取得している。

【講演内容】

1.国際石油マーケットは供給過剰から第3四半期のほぼ釣り合う状態に移行する態勢にあ
  る。
2.下落する価格リスクはあるもののマーケットのサウジとイランの間に限らず競合は著し
  く顕著な鍵となる。
3.だが、全体的には価格上昇リスクのほうが今は下落リスクよりも顕著である。


3.世界軽質NGLマーケット概観

ウオルト・ハート,副社長 NGL調査・コンサルタント IHS
【プロフィール】
IHS天然ガス液(NGL)調査・コンサルタントのVP。ヒューストン・オフィスを本拠とし2006年パーヴ
ィン&ガーツに入社。IHSは2011年にパーヴィン&ガーツを買収した。独自の分野はビジネス分析・戦略、市
場研究、予測、査定、法的支援である。主としてNGLとライトナフサの分野で就業しているが、石油化学、
代替燃料、バイオ燃料でも顕著な経験をもつ。世界的マルティ・クライエント研究を部分執筆し、ワークショ
ップの講師、セミナーを開催、トレーニングコースを開設する。パーヴィン&ガーツに入社前は、ユニオン・
カーバイドとダウ・ケミカルで14年、オーエンズ・コーニング・ファイバーグラスで2年働いた。プロセス・
エンジニアリング、テクニカル・セールス、R&D、金融と戦略計画に在席した。学部レベルで教えている。
1986年ノートルダム大学よりケミカル・エンジニアリング学士。チャールストン大学よりMBA。ウェスト・
ヴァージニア大学よりケミカル・エンジニアリング博士号を受ける。公認プロフェッショナル・エンジニアで
ガス処理協会と米国化学工業会のメンバーである。


【講演内容】
1.国際的なLPGトレードパターンは米国の余剰に適合している。米国LPG最終的な増
  産はますますアジアに輸出される。
2.アジアのLPG需要は国際的なLPG需給バランスと価格を維持する鍵である。
3.鍵となるリスク・ファクターには、中国経済の強さ、進行中のインドのLPG補助への
  支持、中国の家庭業務用消費の増加が含まれる。
4.米国のLPG生産は米国の原油や天然ガスの生産を凌いでいる。将来のLPG生産カー
  ブは原油価格と掘削され完全には掘り尽されていないガス井の貯蔵量の枯渇にかかって
  ている。
5.米国のエタン輸出は国際エタンマーケットの制限された部分となろう。



4.VLGC船隊展望

マーチン・アッカーマン,CEO BWLPG
【プロフィール】
マーチン・アッカーマンは1977年生まれ(39歳)、BWLPGのCEOである。海運業界では10年以上国際マネ
ジメントの経験をもつ。BW LPGに入社前はエヴァーガスA/SのCEOとアイツェンガスとビーガスの専務で
あり、アイツェンガスの昔の船団の若返りを指揮した。アッカーマンは前にサイガス・コーサンA/Sに2003
年からと2005年に在社し、ローリツェンコーサンA/Sには1998-2003年在社した。彼はINSEAD、中国欧州
国際ビジネススクール、オクスフォード・プリンストン・プログラムおよびコペンハーゲン・ビジネス・ス
クールより管理職資格を得ている。アッカーマンは公認シップブローカーの会員である。


【講演内容】
1.VLGCのレートは縮まるLPG価格の開きと高いフリート成長で下落する。
2.フリート成長はここ数年で平均値に戻ることになる。
3.LPGの基本牽引役であるトン・マイル需要は完全なままである。
4.運搬される数量と距離は両方とも向上している。
5.米国のLPG生産は成長を続けているが、国内消費は下降することもありえる。


5.加圧型LPG船マーケット

ウェイン・メネゼス,リサーチ・ビジネス・デヴェロップメント長 エピック・ガス
【プロフィール】
ウェインは石油ガス出荷業界で26年の経験があり、エピックでは2005年から働いている。キャリアをモービル
・シッピングのデッキ・オフィサーで始め、2002年に陸に上がってPSAシンガポールで港湾パイロットの職を
得た。この2-3年ウェインは圧縮LPGマーケットと小型船LPGトレードのダイナミックスの調査分析に焦点を当
てている。修士海事資格をワーサシュ海事大学で取得し、公認シップブローカー協会の会員である。ウェインは
統計学の学士と金融で修士を得ている。


【講演内容】
1.エピックガスは加圧ガス船の世界最大の傭船者で第2位のオーナーである。完全加圧ガス
  船の43隻のフリートがある。
2.3000+cbmは国際的に約300隻を数え、8隻が今までに投入、6隻が予定。2017年に
  7隻、2018年には2隻が加わる。
3.フレートは安定している。
4.3,000cbm-5,000cbm最大部門で大半は東にいる、7,000cbm-8,000cbm大
  半がスエズの西にいるが、東も数を増やしている 9,000cbm-10,000cbm大西洋の
  両岸で7トレード 11,000cbm17隻が活動、3隻はエピック配下、2016/17年には3
  隻が2016/17に加入。
5.アメリカのLPGの加圧船輸送は急激に量を伸ばしており、エピックもシェアを増やしてい
  る。
6.●バージン諸島の電力発電用にプロパンを供給、●北アジアは安定したマーケットだが
  低水準 ●東南アジアVLGCから加圧船の瀬取りが増えている。エピックガスは2015年
  に60回実施した。これは前年の3倍になる。●インド新造船がLPGと石化原料に使用さ
  れた。●北西ヨーロッパ ライン川の水位低下と製油所の定修・故障でブタンの運搬量
  が増えた。●モロッコのブタンは堅調。西地中海と北アフリカ向が維持し伸びている。
  ●黒海と東地中海2桁の伸びを示すマーケットあり。



6.米国LPG輸出:アジア向けLPG供給の増大

マクギル・ジェイムス,
マネジャー NGLマーケット・オペレーション フィリップス66

【プロフィール】
マクギル・ジェイムスはフィリップス66でNGLマーケット・オリジネーションのマネジャーであり、分留の粗
製品のバリューチェーン全体のターム製品契約とLPG国際配送純正品セールスの責任者である。LPG産業では要
職を各所で務めLPGトレードで17年の経験をもつ。マクギルは2008年よりコノコフィリップスで海上輸送のマ
ネジャーであった。以前、ジェイムスはシップブローカーのクラークソンのためヒューストンを基盤に国際トレ
ードデスクを指揮していた。2002-2006年まで、ジェイムスは1998年国際LPGブローカーのノルディコ・エナ
ジーの業務を助けた時に得た経験で、独立してLPGのブローカーを行った。ジェイムスは連合アイリッシュバン
クの商業貸付でキャリアを開始し、メリルリンチで金融コンサルタントをした。その後、メリランド、ボルティ
モアのマーカンタイル・バンクでトラスト部門に入所し法律事務を完了した。NYのホーバートカレジ卒、ポリテ
ィカルサイエンスと美術史を学んだ。メリーランド法律大学で証券規則集中の学士号をもつ。


【講演内容】
1.C2 C3 iC4 nC4 C5+の加重平均価格$5.13/MMBtuマイナス天然ガス$2.41/MMBtu
  で分留価格差$2.73/MMBtu。
2.エタンのリジェクションは米国ガルフのマーケットでは減少している。
3.粗製品の割合 エタン35% プロパン34% ノルマルブタン9% イソブタン9% 天然
  ガソリン12%(2016年1月) エタンのリジェクションによって42%が34%まで減って
  いる。
4.需要の推移 2011年:2020年 
        石化31%(0.45MMBD):31%(0.75MMBD)
        製油所26%(0.35MMBD):18%(0.45MMBD)
        家庭業務用32%(0.45MMBD):20%(0.45MMBD) 
        輸出11%(0.15MMBD):31%(0.75MMBD)
5.在庫2016年1月では100MMBDを突破した。原油低価格でもシェール由来NGLの生産
  は維持されている。
6.スウィーニー分留装置 100MBD フリーポートLPG輸出港 150MBD(2016年
  下半期稼働)モントベルビューからストラトン・リッジまでのP/L クレメンスの塩岩
  ドーム サンドヒルP/Lへの隣接が強み。
7.フリーポート(HSCとの比較)●霧:(~480時間)24時間以内 ●遅れ:(~2日)半
  日 ●滞船料:($10万+) ~$2万5千 ●日中要注意:(LOA 喫水 特定製品)
  LOA(VLGC影響なし) ●衝突事故: (報告2例) 無し



7.オーストラリア及び周辺のLPGマーケット展望

アンソニー・ギルバート,ミッドストリーム部長 Elgas
【プロフィール】
オーストラリア、ニュージーランド全土のエルガスとBOCのLPGビジネスのLPG供給、バルク配送、主要基地
操業の責任者。エルガスはオーストラリアのリーディングLPG流通業者でオーストラリア主要輸入基地とシドニー
の6.5万トン洞穴備蓄のオペレーター。LPGの広い経験をもち、BOC、エルガス、シェルの供給、流通地位に。
現職の前は4年シンガポールで、シェルガスLPGアジアパシフィックのLPG供給チェーンマネジャーをした。シ
ドニー大学から経済学士、オーストラリア経営大学院からMBAを取得。


【講演内容】
1.2020年に向けてLNG輸出は進行中のプロジェクトガス田より急進する。
  ●2020年までに当地区主要LNG輸出業者 ●2020年前にスタートする新規オースト
  ラリアプロジェクトはない。●PNG/インドネシアプロジェクトはより早く進展する。
  (経済的にも恵まれている)
2.イクシスとプレリュードで2020年に向けてLPG輸出は倍増する。当地域向け十二分な
  LPG供給
3.需要カーブ、主要なLPGの課題
(1)オーストラリアのオートガスの急激な減少 ●再生の見込みは見えない 長期的に大
  型車両にはディーゼルブレンドを使用
(2)オーストラリアの家庭業務用は挑戦を受けている ●エネルギー効率 代替燃料(C
  NG マイクロLNG)/再生可能エネルギー ●LPG産業は適応に遅れ壊滅的な変化
  に晒される
(3)太平洋諸島とPNG かなりのLPG成長可能性 ●相当な健康・環境・社会・経済
  的利益 ●必要なマーケット開発とサプライ・チェーンにおける投資



8.アジア地区LPG概観

ヤンユ・ヘ,ダイレクター アジア太平洋・中東NGL IHS
【プロフィール】
アジアパシフィックと中東のNGLマーケットを主導する。各地マーケットと各種専門分野を網羅するエネル
ギー産業に14年の経験をもつ。I H S入社前はボストン・コンサルティング・グループで5年間北米のアッ
プストリームとミッドストリーム・エネルギー・リサーチで要職に就き非在来原油とNGLを担当する。また
4年間、ダイレクト・エネジーにてリスク・マネジメント、マーケット・ファンダメンタル調査、天然ガスト
レーディング戦略の責任者であった。清華大学で学士・修士、セントルイスのワシントン大学でPhDを取得
した。


【講演内容】
1.アジアのLPG生産は製油所の拡張によって推進され続ける。
2.LPGの需要はアジアマーケットのなかでは国によって多様性が大きい。
3.家庭業務用部門は基礎的LPG需要を牽引し、成長の可能性も依然として高い。
4.石化は、主として中国と韓国におけるLPG分解とPDH進行により、需要の最も早い
  成長拠点である。
5.中東はアジアLPG輸入の支柱であり続けるが、米国はますます同地区の重要な供給者
  となる。



9.サウジCPは依然としてアジアLPG基準価格のままであるか

デーヴィッド・ワン,マーケット・エディター アジアNGLs IHS OPIS
【プロフィール】
デイヴィッドは2012年末にOPISに入社した。極東を中心に3年間アジアのLPGマーケットを対象に日々取り
組んでいた。一方、中東とアービトラージマーケットも見ていた。石化産業でエンジニアとして1年働いたこと
もある。それまで若い子供のスポーツ・プログラム記者だった。また日本の化学会社のために、精製維持の技術
者として働いた。化学工学の学士号をもっている。


【講演内容】
1.コントラクト・プライス(CP)は長契下でサウジアラビアのヤンブー、ラスタヌラ、
  ジュマイアから出荷されるプロパンとブタンの価格を支配してきた。
2.20年以上毎月CPを設定し、それをFOB価格としてきた。
3.輸入者、トレーダー、それに他の生産者も同様にシステムの中にCPの使用に合わせて
  きたのも、長期間存在してきたからだ。 
4.透明性のなさや、極東向けの数量低下、取引の強い願望が弱みとしてある。
5.CPに代わる指標としてはFar East Index (FEI) Means of Platt's Japan Naphtha
  Quotes (MOPJ) Mont Belvieu (MB) 他Flat Priceがある。
6.しかしサウジCPは産業界によって採用される限りは指標としてあり続けるだろう。そ
  れにサウジがCPを放棄する理由がない。
7.それゆえ他の選択肢(MB、FEI,MOPJ等)は適用される場面にかかって来る。


10.インドのLPGマーケット

スヤシュ・グプタ,事務局長 インドオートLPG連盟
欠席のためウオルト・ハートがプレゼン
【プロフィール】
1993年以降インドLPガス産業に深く関わり、現在はインドオートLPG連盟(IAC)の事務局長。大学では経営
管理学を専攻。インドの研究開発機関(RDS)や米国DOEなどに勤務。WLPGAのグローバル・オートガス産
業ネットワークの中心メンバーの一人でもある。同時に、IACを代表してインド陸上輸送及び高速道路省の
Apexコミッティーにも参加し、排出規制と自動車車両規則に関する常任委員会のメンバーとなっている。


【講演内容】
<全般>
1.インドは1950年代にバーマ・シェルによってマーケティングが開始された。
2.LPG需要は1980年代拾い上げるよう開始され、需要わずか40万トンであった。
3.現在は世界の5大ユーザーの1つとなり19百万/年を消費している。
4.2015/16 消費量19.55MMT 国内生産10.6MMT 輸入8.9MMT
5.165百万世帯がLPGを使用している。2018年までにはさらに10百万世帯が使用するよ
  うになる。マーケットには2億本のシリンダーが存在し4百万本以上のシリンダーが毎日
  家庭に配送される。
6.Aadhaarという特定の世帯に補助金が確実に届く制度のもと配送が行われている。
<オートガス>
1.LPGスタンドは全国500都市に1,050以上ある。250万台以上のオートガス車がある。
2.オートガスステーションは国営石油会社が59%、私企業が41%のシェアをもつ。
3.2015年度オートガスの消費は35万トンで対前年17%アップした。



11.ドリアンLPG:現代VLGC企業の変革

アレクサンダー・ハッドジパテラス,
上級副社長 ビジネスデヴェロプメント ドリアン・LPG・マネジメント社


【プロフィール】
2013年7月よりハジパテラスの重点分野はビジネス・デヴェロプメントとコマーシャル戦略であり、拠点に
しているギリシャのピレウスでドリアン用船管理にも力を貸している。
2006年にイーグル・オーシャンに入社して日本の住友ドックと韓国の現代重工でアフラマックスとVLGC
新造計画を監督し、ロンドンのハイベリー・シッピング・サービスからアフラマックスのスポット用船にも
加わった。オイルメジャーと親しく働き将来のタイムチャーターと新造船事業開発機会の同意を取り付けた。
イーグル・オーシャンに入社前は、サンフランシスコに拠点のあるデジタル・コンサルタントで広告代理店
のレイザーフィッシュでビジネス・デヴェロプメント・マネジャーとして働いた。ハジパテラスはジョージ
タウン大学で歴史学の学士号を得ている。


【講演内容】
1.ドリアンは、船員を早期に雇用しITを活用して顧客アプリケーションを開発すること
  で、18か月の間にVLGCを3隻から22隻に拡大したリスクに取り組んでいる。
2.新造船のデザインと製造に統合技術と商業的アプローチをもつことで新造船のリスクを
  管理している。
3.アジアの強い需要、堅実な利用や米国からの堅調な輸出カーブといったLPG海上輸送
  マーケットには希望の兆しがある。
4.パナマ運河の提示LPG通航料




12.発展途上マーケッツで高まるLPG需要

デーヴィッド・タイラー,プロジェクト&ビジネス慣行ダイレクター WLPGA
【プロフィール】
アジアでLPGビジネスを営んだ後、1996年シェルを辞めて自身のLPGコンサルタントビジネスを立ち上げた。
ダウンストリームLPG部門に焦点を置いた世界中のプロジェクトを引き受けてきた。顧客は欧州銀行と国連基金
を含む。デイヴィッドは2009年にWLPGAのダイレクターに就任し、アジア太平洋州の会員コンタクトポイント
であり、主要計画に責任をもっている。彼は勅許エンジニアでマネジメントの修士号をもつ。既婚で3人の子持ち
でオーストラリアに住む。機械工学で優等学位、経営学修士を取得。25年に亘りシェルインターナショナルに勤
務し英国、サウジ、インドネシア、中国、豪州と豊富な勤務経験を持つ。内15年は独立コンサルタント。2009年
3月よりWLPGA勤務。英国人。


【講演内容】
新興LPGマーケットには
1.豊富は製品
2.低価格
3.従わざるをえない提案
4.大きな利益
5.顧客の待機
6.何が必要とされているか●点を結ぶインフラ●教育(www.cooking-for-life.org)
  ●従わざるをえない顧客向け提案●LPG推進者 である。



13.極東マーケットと現在のダイナミックスを歴史的に眺める

マイク・ヒッキー,ダイレクター ギブソン・ガス
【プロフィール】
マイク・ヒッキーはギブソンガス(シンガポール)専務である。ギブソンシップブローカーの新事務所はシンガ
ポールのダウンタウンにある。マイクは成功裏に設立された香港事務所より移ってきた。ロンドン事務所より移
って来たポール・ウェルディンによって入社した。


【講演内容】
1.米国シェールは進んでいない中東のプロジェクトの第2の波に取って代わった。(金融
  危機にもよる)
2.米国最大の輸出業者(国別の)は中東輸出水準2018/2020に匹敵する。
3.中国の輸入は今年14.5/15百万トンと倍増しそうだ(2014年輸入量は7.1百万トンだっ
  た)
4.2016-2018年のVLGCフリートは今のところ85隻新造船が投入される予定である。
  (これは2010/2011時点の倍である)



14.東アフリカのLPGマーケット

スタン・ドロチョン,ダイレクター IHS
【プロフィール】
パリのエネルギー・アフリカ・プラクティスのダイレクター。アフリカと競合戦略分析に焦点をあてコンサル
ティング活動をしている。アフリカで操業する石油会社とナンビア、ウガンダ、マリ、ケニヤ、ボツワナ、モ
ザンビーク、ガーナ、南アの政府関係者にワークショップを実施している。IEAのワールドエナジーアウトルッ
クのアフリカ担当解説者である。I HS入社前はモーリタニアのUNデベロップメント。プログラムの戦略アド
バイザーの補佐であった。フランスのEDHECビジネススクールより修士、インドのグルガオン・マネジメント
・デベロプメント・インスティチュートでも学んだ


【講演内容】
1.東アフリカでは政治的安定が基本的に高まっている。
2.サブサハラではLPGを含む現代的な燃料を手に入れる必要がある。
3.島部、海岸沿い東アフリカ、内陸東アフリカでは炭と薪が家庭の熱源である。
4.LPGは5億の民がマーケットを形成し力強い伸びを示す。2000-2015年のLPG消費の
  伸び率は平均6.5%である。
5.この地域は輸入によって賄われている。供給手段と貯蔵など輸入インフラの不足がボト
  ルネックである。
6.規模の小ささと制限のあるインフラは参入と供給の高価格、高コストを意味する。



15.地中海のLPG貯蔵とエジプトの新時代

ワエル・セラム,
コマーシャル・チーム・リーダー ユナイテッド・ガス・デリバティブズ

【プロフィール】
ウェル・セリムはユナイテッド・ガス・デリヴァティヴズのコマーシャル・ティーム・リーダーである。1999
年にコマース・経営学士を取得した。同年、直接アフリカと中東で有名な精製業者と考えられるミドル・イース
ト・オイル・リファイナリー・カンパニー(MIDOR)の一員でオイル・ガス部門に入社した。会長技術事務所の
プロジェクト・コーディネーター補佐に就いた。2001年海外貿易副部長補佐を拝命する海外貿易部へ移動し、
ガソリン95、ジェット燃料を始めとする数種の石油製品のマーケティングプラン作成の責任者であった。定期的
な入札のコーディネートと書類準備をし海外のマーケティング企業との橋渡しをした。2005年にはウェルは米国
のインターナショナル・アドバタイジング・アソシエーション(IAA)カイロのアメリカ大学を通してマーケ
ット・コミュニケーション学位を授与された。彼のカイロのアメリカ大学を代表する世界的なコンペに参加して、
第2位のグローバル・ランナーになった。第1位は中東/アフリカの地域勝利者であった。2006年にウェルはエ
ジプトで最も重要なガスデリヴァティヴズ企業であるユナイテッド・ガス・ユナイテッド・ガス・デリヴァティ
ヴズ(UGDC)に入社した。そこでコマーシャル・アナリストの地位についた。2012年マーケティングでMB
Aを受けた。ウェルは現在UGDCのコマーシャル・ティーム・リーダーで、UGDCコマーシャル・ティーム
を率いる責任者である。同時にビジネス・デヴェロプメント・チームの1人である。


【講演内容】
1.地中海の供給はこの数年伸びる。需要は北では縮小するが南では拡大する。
2.地中海の貯蔵は十分であるが、ピークに対応する余分の容量はない。ほとんど加圧タン
  クのようである。
3.エジプトの貯蔵は膨大な需要に比べるとタイトである。Sokhna港にロジスティックハ
  ブにするというプロジェクトがある。プロジェクト名はASPHでLPG冷凍タンク3
  基と受入れ設備をつくるというもの。
4.DamiettaターミナルはUGDCが所有するものでエジプトのマーケットの戦略的位置にあ
  りマーケットへの入り口である。
5.Damiettaには18,000トンの冷凍タンクを備え、207エーカーの敷地に、全長230メート
  ル、喫水13.5メートルの45,000トンまでのVLGCが着桟できる桟橋がある。
6.Zohrに地中海で最大のガス田が発見され30tcfの埋蔵量があると考えられている。エ
  ジプト海岸沖120マイル(190Km)深さ4,757フィート(1,450m)である。
7.Zohrがエジプトをガス輸出国にするかもしれない。ENIは2017年末1bcfを生産する
  ことにしている。生産のピークは2019年で2.5bgfdから3bdfdの間と見ている。




講演会場風景

6月14日(火)
歓迎と導入

ヴィクター・シャム,副社長 アジア・太平洋州 IHS


16.アジアの化学向けNGL需要:過去と将来

トニー・ポッター,VP-ケミカル・インサイト APAC IHS
【プロフィール】
化学インサイト担当VPとしてシンガポールと日本のチームとアジアパシフィックの化学について調査と分析業
務を主導する。ヨーロッパ、中東、アジアの化学産業に30年のキャリアをもつ。英国エクソン化学で1983
に就業しブリュセルのエクソンヨーロッパ本社で要職を歴任。I H S入社前に一時自分のコンサルタント会社を
もったこともある。英国インペリアルカレッジで化学工学士を得た。

【講演内容】
1.国際エネルギーと経済のパラダイムは新規投資決定を変え、影響を与える。
2.石油低価格はエチレンのタイトな供給と同時に起こる。
3.北東アジアのナフサクラッカーは高いマージンを享受する。
4.原油低価格はエタンベースのマージンを押し下げるが、産業のタイトはナフサのマージ
  をもたらす。
5.北米がエタンベースのかなりの生産量を開始し、中国が石炭/メタノール建設を完了する
  と国際的な操業度は緩和される。延期された投資決定は、需要の伸びが加速すると、
  2020年過ぎまでエチレン供給制限に繫がる。
6.プロピレンはアジアのPDH生産コストが下がると生産過剰となる。
7.ブタンの脱水素装置は米国プロジェクトが延期されると利用不足になる。



17.中国のLPGマーケット

ベンジャミン・ヤオ,ダイレクター 広東油気商会
【プロフィール】
インフォメーション担当ダイレクター。LPG、LNG、ガソリン、ディーゼル軽油、燃料油、ガス、産業用ガスの
OGA調査に参画。国際会議での講演に加えフィニックスTVや日経の産業動向についての取材に応じている。


【講演内容】
1.中国LPGマーケットは力強い 2015年実績 国内生産29.3百万トン 輸入12.1百万
  トン 消費40百万トン 輸出1.4百万トン
2.PDHプロジェクト 2015年下半期 能力3.45百万トン プロパン需要 4.14百万ト
  ン 2016年には追加で 能力1.16百万トン プロパン需要1.392百万トンである。
3.これから2年は中国の景気後退でLPG消費が受ける影響は少ない。
4.PDHプロジェクトはプロパン輸入増量に貢献し続ける。
5.国内のLNG価格は2018年まではLPGと競合するものではない。
6.輸入LPGマーケットの拡大はスピードを緩めている。


18.国際石油マーケット展望とLPG需要への示唆

マシュー・パリー,シニア・オイル・アナリスト IEA
【プロフィール】
シニア石油アナリスト。IEAの石油需要予測部門を率いる、ここには5年いる。以前はKBC(前はPEL’s)
のチーフ需要アナリストであった。ムーディズ、英国エネルギー省にてエコノミストとして上席にいた。マット
は20年近く先物市場の経験を持ち、石油需要とマクロエコノミック分析と計量経済が専門。ブリストル大学経
済学修士。


【講演内容】
1.国際的石油供給のカーブは急落し低価格は大損失をもたらした。●イランは予測期間で
  OPECの利益をリードした。●短期間の落ち込みにもかかわらず、米国の生産は空前
  の高水準である。
2.国際的な石油需要はこの10年の末に向け象徴的な100mb/dの大台を超える。
3.容易に活用できる資源の入手可能性は短期間で価格の急回復の範囲を制限することにな
  る。
4.現在見られている歴史的な投資カットは、近い将来の石油安全保障の驚きの可能性を高
  める。



19.海上LPG貿易の傾向

スコット・グレイ,シニア・ダイレクター海上輸送 IHS
【プロフィール】
ヒューストンのダウンタウンを拠点とする。以前はウオーターボーン・エナジーのパートナー、21年間LPG
海上輸送を専門とした。海上輸送LPGレポートの主任リサーチャー、編集人、発行人として国際LPG市場の
広範で長期的視野を持ち5月にIHSに一員となった。1992年5月にウオーターボーン・エナジー入社までIC
IS-LORで6年間石化マーケットに従事した。サウスウェストテキサス州立大に通学した。


【講演内容】
1.国際的な引き取り数量は増えている。
2.米国の輸出は過去数年劇的に向上した。
3.ラテンアメリカとヨーロッパ、地中海への配送カーブは緩やかになっている。
4.アジアは需要カーブの焦点であり続けるだろう、特に中国、インド、東南アジア。
5.中国のPDHと家庭業務用は主な牽引役となろう。
6.もしPDHと家庭業務用の需要が増え続けるなら、米国の輸出は弱まることなく続く。
7.フレートは短期間揺れるが、長期間ではゆっくり向上しよう。
8.米国のターミナルフィーは圧力をかけられたままになろう。
最終結論:中国は今のところ焦点であり、今後もそうであり続けよう。PDHと家庭業務用
は少なくとも短期の国際マーケットを決定する。しかしおそらくガルフコーストの形勢に最
も大きいな影響を与える。



20.日本のLPGマーケット展望

東 洋子,チーフ・トレーディング・マネジャー アストモスエネルギー
【プロフィール】
大阪大学卒。2007年4月よりアストモスエネルギー海外部。元々はVLGC用船、国内備蓄管理、リスクマネジ
メントチームに所属していたが、2012年海外部に異動。2014年アストモス・シンガポール支店へ赴任、現在に至
る。主要業務は日々のトレーディング、東南アジアと中国のビジネスである。


【講演内容】
1.日本のLPG供給は2015年14,105千トンで輸入は10,696千トンであった。輸入先の多様
  化で評価されている。
2.需要はここ何年か右下がりで、2014年は15,033千トンであった。東北大震災より日本の
  エネルギー政策上安定供給上、不可欠のエネルギーとされている。
3.電気と都市ガスの自由化が進むのでLPGも競争が激化する。
4.長期的にみれば産業用LPG需要アップと燃転で2030年には19,700千トンにさせる計画が
  ある。
5.アストモスは2006年に創立され現在船舶数21隻10百万トンの取り扱い数量である。これ
  を船舶数30隻15百万トンまで伸ばす計画がある。



21.米国エタン輸出の見通し

ジョー・ファスロ,
国際NGLマーケティング・供給担当シニアコマーシャル・リプレゼンタティヴ
エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ
【プロフィール】
ファスロは現在、米国ガルフコーストからの全NGL船荷長期、スポット実行責任者である。ファスロはモントベル
ビュー、コンウェイと国際NGLマーケットを維持するNGLマーケティング、供給のコマーシャル分析者として
2011年にエンタープライズ・プロダクツ社に入社した。ジョセフは2008年にマイアミ大学を卒業しビジネス・
アドミレーションの国際金融とマーケティング専攻で学士号を得た。卒業するとファスロはニューヨークのクレデ
ィ・スイス・プライム・サービシーズでキャリアを開始した。彼はそこで実践中心のヘッジファンドとプライムブ
ローカーの顧客のため材料専門家として行動した。


【講演内容】
1.エンタープライズは統合ミッドストリームの最大の1つであり、成長しているプロジェ
  クトと合併吸収により成功の歴史を作り、2016年第1四半期には50,000マイルP/Lで
  製品を輸送している。11.9Bcfdの天然ガス、5.2MMBPDの液体、456KBPD
  のNGLを出荷港に送る。
2.LPG輸出能力は27.5MBPHと世界最大である。エタンは2016年第3四半期完成のモーガ
  ンズポイント200MBPD(エタンとしては最大級)から出荷される。
3.米国の原油の生産9,000+MBD(2016年1月)、天然ガスの生産75Bcfd(2015年11
  月)。
4.米国は競合価格で資源を提供する。原油は$45/Bbl以上が生産増加分岐点。天然ガス
  は$3.5/MMBtu以下でも豊富にある。
5.NGLsは、プロパンとブタンの価格が$0.5/Gal(13.6円/L)近辺でも3,750MBD
  (2015年11月)の生産がある。2020年以降LPGは1,250MBPDの輸出余力を持つ。
6.エタンは全米からガルフに集積され需要は全地域からの供給を必要とする。
  1.2MMBPD+0.7-0.9MMBPD(新規需要)



22.NGL価格展望

キーファー・ダグラス,ダイレクター IHS
【プロフィール】
ワシントンDCを拠点とする。2007年PFCエナジーの国際ガスグループに加わった。2013年6月、
IHSがPFCエナジーを買収してからはIHSのNGLリサーチ・コンサルティング・グループに所属
する。アジア向け伸びるNGL供給、需要と価格分析を担っている。コンサルティング・プロジェクトと
IHS長期NGL需給分析にも貢献している。PFCエナジーの前には北京で4年間コンサルティング会
社に勤務。ブラウン大学より東アジア学士、タフト大学フレッチャー校より法律・外交学修士を取得した。
修士論文は「中国エネルギー需要拡大への経済的・地政学的影響」。


【講演内容】
何がマーケット(予測)に影響を与えるか
1.原油価格(1)現在の反発が維持されるなら、米国の生産成長はスピードアップする。
2.米国のプロパン在庫(1)米国の在庫水準が元に戻るなら、新規輸出ターミナルと増設
  されたクラッカーの需要が、冬までには在庫を供給レベルの平均的日数に近づけるよう
  導くだろう。(2)在庫が低くなりすぎれば、プロパン価格は最終的には上がり、輸出
  とクラッキングの需要を阻むだろう。
3.アジアの需要(1)中国とインドが、主要価格下落の要求を防ぐよう、ある限度まで十
  分な生産増加から撤退すると、よりプライス・センシティヴなクラッキングを刺激する。
  (2)需要成長がゆっくりなら米国生産にマッチする。

結論:強気の材料が2016/17年の弱気をわずかでも上回まわると、ゆっくりした供給成長
   が維持され、ありえそうな高いプレミアム需要が(対2015年)米国の比率を原油高
   へと導き、プライス・センシティヴの石化の需要を追い出す。



 開催会場
Grand Hyatt Singapore
10 Scotts Road,
Singapore,
Republic of Singapore,
228211
+65 6738 1234



(調査研究部/岩田 稔)