LPGC WEB通信  Vol.29 2016.08.10発行 

【特別寄稿】
パナマ運河 拡張工事完了
アストモスエネルギー定期用船「Lycaste Peace」が商用通航の一番乗り

                                     アストモスエネルギー株式会社

パナマ運河の拡張工事
 パナマ運河は、1914年に開通した全長約80kmの閘門式運河で、アジアと米東海岸をつな
ぐ海上交通の要衝であり、年間通航船舶数は約14,000隻、通航総貨物量は約2億1000万トン
に達します。
 今般の拡張工事は2006年に実施した国民投票で決定され、2007年より工事を始め、52億
ドル超を投じて予定より2年遅れの今年6月に完成しました。
 パナマ運河の新レーン(以下「新パナマ運河」)完成により、通行できる船舶の全長は
294メートルから366メートルに、幅は32メートルから49メートルまで拡大しました。
 これにより、従来通航できなかった大型LPG運搬船(以下「VLGC」、全長約230メート
ル、幅約37メートル)も通行できるようになりました。従来、米国メキシコ湾岸積みの
VLGCは、アフリカ南端(喜望峰)を回って日本に向かうため、到着に45日程度の日数が掛
かりましたが、新パナマ運河を通過することで30日以下に短縮されます。

アストモスエネルギー定期用船「Lycaste Peace」が商用通航一番乗り
 現地時間の6月26日朝、新パナマ運河の太平洋側ココリ閘門の特設会場にて開通セレモニ
ーが行なわれ、翌27日の商用通航の第一船には、アストモスが日本郵船株式会社様から定期
用船しているVLGC「Lycaste Peace」が選ばれました。
26日の開通セレモニーには各国代表者、世界中の船会社及び荷主が招待され、アストモスエ
ネルギーの増田社長、一間常務も前日の閘門見学、プレゼンテーションと開通セレモニーに
出席し、会場周辺に集まった2万5千人以上のパナマ国民と共に新パナマ運河の開通を祝いま
した。




 開通セレモニーの中でフアン・カルロス・バレーラ・ロドリゲス パナマ共和国大統領が
演説し、「パナマと世界にとって歴史的な日だ」と拡張の意義を強調しました。
 また、パナマ運河庁ホルヘ・キハーノ長官は「今から100 年以上前、パナマ運河は2 つの
海をつなぎ、今日、我々は現在と未来をつないだ。これは新しい時代の始まりである。」と
語りました。



 開通セレモニー当日のパナマ市内はお祭りの様な雰囲気であり、旧市街に近い市内のフィ
ッシュマーケットでは、翌27日に商業船として初の通航が予定されている「Lycaste Peace
」を祝う横断幕も見られました。
 27日には、アストモスエネルギーの特約店の一団も見守る中、トラブルもなく商業運航第
一船であるLycaste Peaceが無事新パナマ運河を通過し、米国メキシコ湾岸での積荷役から
29日間の航海を終えて7月22日に東京湾での揚げ荷役を完了しました。






更なる安定供給に向けて
 アストモスエネルギーは現在、自社所有の6隻及び定期用船15隻を合わせ21隻のVLGCを
運用しています。世界のLPG海上貿易数量は年々増加していくことが見込まれ、当社も2017
年までに1,200万トン、2020年までに1,500万トン超のLPG取扱数量を目指しております。
 アストモスエネルギーは世界最大級の自社船団を活用し、米国はもちろんのこと、豪州や
東ティモールといったチョークポイントを通らないエリアからの調達や、アンゴラ、カナダ
等その他地域の開発も進め、日本のエネルギー供給の安定化に寄与して参ります。