LPGC WEB通信  Vol.34  2017.01.04発行 

中国地方液化石油ガス懇談会概要

前号までに報告した北関東(7/28)、南関東(8/22)、北海道(8/31)、東北
(9/14)、近畿(9/30)、中部(10/20)、四国(11/11)に続き、中国
地方(11/21広島)液化石油ガス懇談会を開催しましたので、概要を報告します。
(中国地方:鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)

 液化石油ガス懇談会の概要
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、
       事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、
       関係者相互間の理解を深めると共に、産業の健全な発展に資する。

(2)方法  平成28年度は全国を9ヵ所に区分し開催する。

(3)参加者 消費者委員…………(消費者団体等の幹部等)
       事業者委員…………(都道府県LPガス協会の幹部等)
       学識経験者…………(知見を有する大学教授等)
       自治体………………(都道府県、市町村等)
       経済産業省…………(経済産業省、地方経済産業局等)
       オブザーバー等……(業界関係者等)
       報道関係

 議事次第
(1)開会挨拶
     中国経済産業局 資源エネルギー環境部 部長 谷本 隆 氏(中国)

(2)基調説明
   ①「LPガスの料金透明化等に向けた取組」
      資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課 課長補佐 高野 史広 氏
   ②「液化石油ガスの保安を巡る状況」
      中国四国産業保安監督部 保安課 液化石油ガス監督官 森田 清樹 氏

(3)地方自治体からの意見・相談事例紹介について
      各県消費生活担当部署より、昨今の相談事例について紹介がありました。

(4)懇談
   ①料金透明化に関する意見交換
    まず消費者委員を代表し、広島県生活協同組合連合会より、同会でまとめた全国及
    び中国地方の調査報告書「わが家の電気・ガス料金調べ」をもとに、LPガスは実
    質的な競争環境にない中で、価格が高止まり傾向にあり、また基本料金の表示がな
    い事業者や、切替の際に前事業者から機器費用を請求される等、透明性に欠けるケ
    ースがあり、これでは自由に事業者を選択できる状況ではない、との意見がありま
    した。同会は全国及び中国地方5県のガス料金の絶対値についても、都市ガスと比
    較して(※)3割以上高い実態を示すとともに、基本料金・従量料金及び段階的料金体
    系が明示されている都市ガスの請求明細/領収書の実例と、LPガス事業者による総
    額表示のみの例や手書きによるものとを比較した上で、価格の透明性と選択性の担
    保を事業者委員に求め、行政による監視を要望しました。
    同会の母体の日本生活協同組合連合会は、同調査結果をもとに、去る10月18日、経
    済産業大臣に対し「家庭用LPガスの料金透明化等に関わる要望書」を提出し、年
    内の指針公表と定期的な遵守状況の調査、及び電気・ガス・灯油料金の消費者モニ
    ター調査制度の創設を要望しています。
    
    これに対しエネ庁は、料金問題は消費者にLPガス及びその事業者を選んでいただ
    く上で大きな要素で、仕組みに従ってきちんと料金の内訳を提示することがあるべ
    き姿であるとし、事業者においても全国LPガス協会の販売指針により懸命に呼び
    かけていただいているが、完全には浸透していないので、国としても求めていくべ
    く、事業者と連携を取りながら事業者の対応すべきことをしっかり示せる環境づく
    りを行っていく、との表明があり、料金透明化の「ガイドライン」化等への対応が
    示唆されました。
    
    事業者委員からは、多くの事業者は国の方針及び全国LPガス協会の販売指針に基
    づき、変動を含めた料金内容について透明性を高めようとしているが、100軒から
    100万軒の事業規模がある中で同様の対応は困難であり、また書面交付については
    更に徹底するが、多くは引っ越しの最中の手続きであること、(控えがあるので)
    事業者が交付はしているものの、所在が不明となることへの対策が課題となってい
    るとの意見がありました。更に、事業後継者が減少する中で、山間・島しょ部への
    供給事業をどの様に支えていくかも課題であり、消費者の知恵・力もお借りした
    い、と事業者のご苦労も窺われる意見がありました。

    また消費者委員より、14条書面について消費者の認識が薄いことに関し、「契約」
    の意味合いをよく周知されていないことと、消費者側もよく理解しようとしていな
    い実態があり、契約書を読むことは「選ぶ責任」として消費者が生活者として行う
    べき行為として、消費者団体としても啓発していくつもりである、との積極的な意
    見の表明もありました。

   ②その他意見交換
    消費者委員からは、「地域を支える頼れるLPガスへの期待」をテーマとして、消
    費者団体による啓蒙活動状況や、LPガスが選択される為に必要なこと、透明化以
    外での料金問題、契約・取引問題等が、事業者委員からは、「LPガスの地域密着
    型産業としての地域貢献への期待」をテーマとして、サービスと保安活動強化によ
    る信頼向上への取組状況、FRP容器(会場に展示)普及に向けた取組状況、LP
    ガス利用形態の多様化の推進状況、災害対応への具体化方法等について説明があ
    り、夫々意見交換されました。
    各テーマは、経済産業省/当センターの3カ年契約に基づき、継続性をもって設定し
    ています。

(5)総括コメント
                      甲南大学法科大学院 教授 土佐 和生氏
    今年開催された液化石油ガス流通ワーキンググループにおいて、電力・都市ガスの
    自由化と、LPガスの価格・品質・付加価値サービスで地域創生に繋げるという本
    来目的の両面で、「選ぶ」「選ばれる」ことが要求される時代へと変わっているこ
    とを背景に、長年俎上に上がっていた料金透明化や配管の無断撤去及び残存価値を
    超えた機器費用請求等の諸問題について審議され、報告書に纏められたことは、非
    常に画期的である。
    そのような観点から、以下夫々に申し上げたい。
    
    消費者には、「選ぶ」ということを再認識してほしい。実質的な面で、エネルギー
    間競争を利用し、より良いサービスを、より安い価格で、より便利に提供する競い
    合いを引き出し、メリットを享受するようになってほしい。
    
    事業者には、消費者の自主的・合理的な選択を支えるに足る、十分な情報提供を行
    っていただきたい。そのことが、エネルギー間競争の中で、優位かつ社会的意味を
    伴ってLPガスが選ばれる基盤となる。

    政令市や中核市レベルの自治体では、独自の消費者保護の機能を有していると思う
    が、通常の市町村単位の基礎自治体では人材や財政のリソースが絞られる為、消費
    生活に関する分野は(専任ではなく)兼任が多いと思われることから、県レベルの
    役割が大きくなっている。
    県知事の権限が景表法や特商法において拡大され、消費者保護の機能が法制上も高
    まっており、県に期待される側面が大きくなっているので、基礎自治体に対するヘ
    ルプ・サポートを含め尽力願いたい。

 開催風景・中国地方液化石油ガス懇談会

中国経済産業局資源エネルギー環境部 谷本部長による開会挨拶
右は中国四国産業保安監督部保安課 森田監督官
左へ順に甲南大学法科大学院 土佐教授、エネ庁 高野課長補佐



調査結果を説明する広島県生協連の高田専務理事 及び熱心に意見された消費者委員


料金透明化への取組について説明された事業者委員


消費者、事業者、行政各委員に期待を込め総括コメントする土佐教授

 (広報室/野村晃久)