LPGC WEB通信  Vol.40  2017.07.10発行 

平成29年度第一回理事会及び定時評議員会等の開催報告

 一般財団法人エルピーガス振興センターの「平成29年度第一回理事会」が、去る6月6日
に開催されました。12時00分から理事会が開催され、平成28年度事業報告及び決算報告
及び公益目的支出計画実施報告の件、理事選任の件、監事選任の件及び定時評議員会招集の件
の議案を審議し、全会一致で承認をいただきました。
 また、6月23日に「平成29年度定時評議員会」が開催され、増田理事長の挨拶後、下記
3議案の審議を行い、全ての議案は全会一致で承認され、滞りなく終了致しました。

第1号議案   平成28年度貸借対照表及び損益計算書(正味財産増減計算書)の件
        ・・・・平成28年度事業の実施結果を総括して収支決算をまとめた結果、
            当期末(平成29年3月31日現在)の正味財産期末残高は
            203,904千円となり、前期末より32,682千円の減少となりまし
            た。


第2号議案   理事選任の件
        ・・・・今回は理事の改選期にあたり、新しく理事が選任されました。


第3号議案   監事選任の件
        ・・・・今回は監事の改選期にあたり、新しく監事が選任されました。


平成29年7月3日の理事会(書面決議)で新しい理事長、専務理事が選定されました。
 理事長・・・増田 宰
 専務理事・・嘉村 潤


新役員(平成29年7月3日)
  こちら(新役員リスト:PDFファイル)をご参照下さい。



個別事業報告

(1)調査研究事業

 1)石油ガス流通・販売業経営実態調査
  LPガス業界の取引の適正化を図るとともに、料金構造の改善や消費者への情報提供のあ
 り方、災害時の活用方法について検討するための基礎資料の一助とするため、下記の調査を
 実施した。
  LPガス販売事業者の経営環境や小売販売状況の実態の把握に加え、地域におけるLPガ
 スの拠点である充填所事業者の取引の実態、コスト構造について、LPガス販売事業者
 (10,000事業者)及びLPガス充てん所事業者(200事業者)を対象に、アンケート調査
 (回収率:LPガス販売事業者40.4%、LPガス充填所事業者56.5%)及びヒアリングを
 実施した。
  また、災害時にその機能を維持する必要のある施設における燃料備蓄の状況を調べるため
 、病院、学校、自治体(5,000者)を対象に、災害時に活用を予定しているエネルギー、備
 蓄燃料の種類や非常用発電機の有無、災害時の活用法等について、アンケート調査やヒアリ
 ングを行い、分析結果の取りまとめを行った。


2)石油ガス地域流通事業モデル実証事業
  LPガスの流通構造の改善や過疎地域への安定的な供給に資するFRP容器の普及を図る
 ため、消費者が実際にFRP容器を使用する上での安全上の問題点等の抽出及びその対応策
 の検討等をすべく、安全調査(アンケート回収:347件)を実施、集計・分析等を行った。
  分析結果から①FRP容器等の安全性②ガス漏れ等の対処法③FRP容器等の普及課題④
 販売事業者等の緊急時対応等に関する問題点をまとめた。
  また、LPガス販売事業者等による緊急時対応等の保安管理体制の検討等に必要となる情
 報収集(ヒアリング調査実施:25社)を行った。
  併せて「エリアを特定出来ない質量販売」の情報収集のため、関係する諸団体との意見交
 換を行い、実証結果からの課題と今後の取組みの方向性をまとめた。

3)石油ガス地域販売業実態調査
  消費者等からLPガス料金が不透明であるとの指摘を受け、資源エネルギー庁では、平成
 29年2月に「取引適正化ガイドライン」を策定し公表。このガイドラインではLPガス販
 売事業者に対し、自社の標準的な料金メニュー等を一般に広く公表することを求めている。
 こうした状況から、全国のLPガス販売事業者を対象に、標準的な料金メニューの公表状況
 等に関するアンケート調査を実施した。
  調査票配布数に対する回収率、有効回答率は、それぞれ65.8%、64.6%と高比率で得られ
 た。また、ホームページと店頭で標準料金を公表している事業者数の合計値の有効回答した
 事業者数に占める割合が44.7%に達した。

(2)普及啓発事業
 1)石油ガス流通合理化調査
  LPガスの取引の適正化を図るため、生活現場における消費者の問題意識の把握に努め、
 適時適切な情報の提供と安全安心な利用の推進について周知と啓発を行った。

 ①石油ガス講習会の実施
  全国各地の消費者団体、地方自治体、事業者団体等へ開催案内を送付し、各団体の要請に
 よりLPガス講習会を計26回実施した。
  テーマとしては、「LPガスでハッピーライフ」「災害に強いLPガス」「知って納得・
 使って安心」等、LPガスの基礎知識、その強みについての要望が多く寄せられたが、とり
 わけ消費者団体より要請を受けた「都市ガス料金自由化を踏まえたエネルギーのあり方と
 LPガスの役割」に関する講習会では、幅広いエネルギー政策に見識を有する有識者を講師
 に招き、消費者目線での疑問に応える工夫をして講習会を実施した。
  また、LPガス販売事業者からは、料金透明化及び取引適正化に関するテーマの要望が多
 かったため、国から示された料金透明化・取引適正化の取り組みの方向性等に沿って、LP
 ガス販売事業者に対し、国の政策の周知を行った。

 ②情報普及活動の実施
  啓発のための各種刊行物を作成、配布するとともに、ホームページに掲載し、広く情報発
 信を行った。
  ・「LPガスのある暮らし」かしこい消費者編 災害時の行動、平常時の安心・安全の確
   保、料金・契約関係等、いつでもどこでも見ることができる役に立つハンドブックタイ
   プの冊子を作成し配布した。
   平成29年1月 35万部発行
   全国約4,300箇所の消費者団体、地方自治体等へ送付
  ・「LPガスガイド」 平成29年3月 ホームページに掲載

 ③石油ガス懇談会の実施
  事業者・消費者・行政等で全国9経済産業局管内(関東2ヵ所、九州・沖縄の合同開催、
 計9ヵ所で実施)において、石油ガス懇談会を実施した。
  エネルギー自由化の流れの中で、LPガス料金透明化及び取引適正化を更に推進すべく、
 平成28年2月~4月に開催された「液化石油ガス流通ワーキンググループ」の審議結果と
 して、平成28年5月にその報告書がまとめられ、具体的な取り組みについて方向性が示さ
 れたことから、これらを主たるテーマとして取り上げ、関係者間の活発な意見交換のもと、
 相互の理解増進を図った。
  特に本年度は、消費者委員から、地域を支える頼れる存在としてのLPガス事業という視
 点を置きつつ、LPガス販売事業者による料金透明化、取引適正化に関する意見、災害対応
 への期待、広報活動のあり方等の意見の表明を先に行う形で懇談を進めたことから、例年以
 上に活発な意見交換を促すことができた。

(3)国際協力事業
 1)産油・産ガス国産業協力等事業
 ①LPガス国際セミナーの開催
  LPガスに携わる産ガス国、消費国、調査機関、海運関係等の国内外14の関係企業・機
 関より講演者を招へいし「LPガス国際セミナー2017」を平成29年3月7日~8日の
 両日に亘り、会場を日経ホール(大手町)に変更し、国内外から590名の参加の下、開催
 した。
  今年度は「成長を続けるLPガス市場~新たな可能性と未来への挑戦」をテーマとし、国
 内外のLPガス関係者による発表と活発な質疑が行われた。基調講演で「北米と中東の輸出
 が増大、中でも米国輸出の増加が世界のLPガス海上貿易の流れを劇的に変え、今後10年
 間は北東アジアの輸入の大半は北米産となる一方、中東産は今後も東南アジアとインドの輸
 入の独占を続ける。需要面では中国とインドの家庭用と石化原料用の消費が拡大を続け、増
 大する供給を吸収する」との需給の現状が説明された。各講演者からの発表は、基調講演で
 示された動向を裏付けるとともに様々な観点が披露され、参加者から大きな関心が示された
 。日本側からも、輸入元多様化による供給の安定と輸入価格の低減、小売価格低廉化による
 家庭業務用需要の創出、コジェネ活用等による産業用需要の拡大、LPガス産業基盤強化の
 ための維持管理コストの低減、需要拡大が見込まれる東南アジア諸国における官民それぞれ
 のレベルでの支援の重要性等が説明された。また、新規需要開拓として、LPガスを大型船
 舶エンジン燃料に活用する構想が発表された。
  今回の内外のセミナー参加者からは、講演者と講演内容、会場運営等について高い評価を
 受け、満足度が前年度から10%以上向上92.9%となり、引き続き有益な情報交換の場とし
 て確立していることが確認された。


 ②事前調整活動の実施
  平成28年6月、IHSマーキット社が主催するアジアLPGセミナー(シンガポール)
 に参加した。
  参加者は約80名で、国際的な需給動向が主な内容であった。主催者及び各国参加者との
 対話を通じ、当センターが主催する「LPガス国際セミナー2017」の講演候補者を探索
 するとともに、同セミナーの参加を募った。
  また、平成28年11月にイタリアで開催された世界LPガス協会主催の国際LPGフォ
 ーラムにも参加した。アジア・大洋州、欧州、米国、中東、アフリカ諸国等から77カ国、
 1,500名以上の参加があり、フォーラムに併設されたブース展示会場には114ブース
 が出展し、日本からは1社が出展していた。
  同フォーラムでは、LPガスに関する上流分野動向、各国消費動向、最新技術情報、新規
 需要開拓等の分野別テーマにそった発表と熱心な質疑応答があり、世界の最新情勢に触れる
 ことができた。主催者及び各国参加者との対話を実施し、「LPガス国際セミナー2017
 」の講演候補者に対する招へい活動を行った。


 2)国際協力事業
  平成28年4月、香港特別行政区から日本のLPガス産業に関する技術的な調査のための
 調査団が来日、高圧ガス保安協会やLPガス関係団体、ターミナル基地、備蓄基地、充填所
 、オートガススタンドの視察について関係先と調整、訪問の随行を行った。
  国内の事業者等から海外のLPガス品質並びにガス機器等に関する問い合わせがあり、内
 外の関連団体の協力を得て回答した。

(4)技術開発事業
 バイオマス混合LPガス有効利用システム開発調査
  LPガスを混合することによるバイオマスエネルギーの有効利用に関する国内外の動向を
 フォローした。

(5)広報活動
 1)研究成果発表会の開催
  第26回LPGC研究成果等発表会を平成28年10月24日、大手町サンケイプラザに
 おいて開催し、133名の参加を得た。
  埼玉大学教育学部副学長 教授 山本利一氏から「学校におけるエネルギー教育の現状と課
 題~LPガスの視点から捉えた「エネルギーの自由化」を題材とした授業実践報告~」と題
 する特別講演、また、東京工業大学科学技術創成研究院特任教授 金谷年展氏から「レジリ
 エンス(国土強靭化)時代~LPガスの重要性と可能性~」についてご講演を行っていただ
 いた。
  当センターからは、平成27年度の国際協力事業、調査研究事業の成果を中心にLPガス
 関係者に発表した。


 2)広報冊子の配布
  当センターの最新の組織体制や事業などの状況を紹介する広報冊子「LPGC2015-
 2016」を広く関係者に配布した。


 3)LPGC WEB通信の配信
  メールマガジン「LPGC WEB通信」を作成し、賛助会員及びLPガス関連団体等に
 毎月配信した。


 4)その他活動
  当センターの組織体制や事業などの状況についてホームページに掲載し、一般への情報公
 開を行った。
  また、LPガス関連団体の会合等に参加、情報収集に努めつつ、当センターの事業につい
 ての広報活動を行った。

(総務部/畑中 耕一)