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第7号  August 2000

 

 

 

LPガス供給問題研究会が発足しました

 

7月18日、第一回目のLPガス供給問題研究会が開催されました。研究会メンバーは輸入元売、卸売の各業界代表者、マスコミ、学識経験者の12名による委員で構成され、委員長は財団法人日本エネルギー経済研究所の十市常務理事です。なお事務局については、資源エネルギー庁石油部流通課液化石油ガス産業室、財団法人日本エネルギー経済研究所、日本LPガス協会・LPガス輸入協議会、エルピーガス振興センターの4者が共同事務局として運営することとしています。

 

研究会発足の趣旨

この研究会は、LPガスの供給安定性の評価を行った上で、セキュリティ向上のための課題について有識者からのレクチャーを聴きつつ検討を行い、問題点と課題を整理するために設置されました。
研究会は7月から6回にわたって開催され、各回2〜3名のプレゼンテーターの説明、問題提起の後、自由討議を行い、報告書としてまとめる予定としています。

 

研究会の具体的検討課題

 
LPガスの供給安定性の評価
中東依存度が8割以上という供給基盤の脆弱性があり、民生需要が6割を占め、代替のきかない状態において、国際市場の動向を踏まえての現状での評価
供給安定性の向上策
供給多様化を進めることが必要であり、そのためには、アジア・環太平洋の開発プロジェクト関与が重要である。また、スエズ以西からの調達及び天然ガス田由来のLPガスの増加等、必要性の検討
LPガス国際市場(特にサウジアラビアのターム契約価格(CP))の透明性の確保
現在の8〜9割のターム比率引き下げ→スポット割合の引き上げによる国際市場の流動化
CPリンク以外の値決め価格の検討
技術開発による供給安定性の向上

 

第一回研究会開催内容

通商産業省資源エネルギー庁石油部流通課液化石油ガス産業室 滝本室長から開会挨拶及び研究会設置の趣旨説明があり、3名によるプレゼンテーションが行われた後、活発な自由討議が行われました。

プレゼンテーション内容:
1.「我が国LPガス産業の供給面における政策課題」
  滝本 徹(通商産業省資源エネルギー庁石油部流通課液化石油ガス産業室長)
2.「供給安定性と原油動向、LPガスの供給安定性の評価」
  小川 芳樹(財団法人日本エネルギー経済研究所 第二研究部長)
3.「LPガス資源論」
  兼子 弘(東京ガス株式会社 研究開発部研究企画グループ担当部長)

 

本件に関するご意見、お問い合わせ等がございましたら、総務部担当:岩崎宛ご連絡下さるようお願い致します。

 

 

 

ヒューストン大学 Foss博士来日講演が行われました

 

Foss博士は、このほど三和総合研究所の招請により来日し、通商産業省液化石油ガス産業室の要請により、米国における天然ガスマーケット事情に関する講演を行いました。講演内容は以下のとおりです。

ヒューストン大学 ビジネスカレッジ エネルギー研究所長
M.M.Foss博士 来日講演
日時 : 平成12年6月2日、14:00〜15:00
主催 : エルピーガス振興センター
場所 : エルピーガス振興センター 会議室

米国の場合、天然ガスは非常に重要なエネルギーと考えられており、その開発は国でのエネルギー全体の状況の中でどのような位置づけとなっているかを十分考慮しながら進められている。LPガスはどちらかというと天然ガスの隙間を埋めるような側面があり、大半は工業用に使用され、一部小さな町、農村部等パイプラインから遠く離れた地域において家庭用に使用されている。天然ガス事業は米国では非常に古く、今から100年くらい前から事業化された。1978年頃から天然ガスの競争力を高めるため政策の変更が行われたが、特に1992年に「オープンアクセス」というパイプラインの開放を行った。各州を越えてつながる非常に長いパイプラインの開放で、いわば天然ガスの有料高速道路のようなもので、1,000社を超える天然ガス生産事業者が自由に利用できるシステムである。このようなシステムに加え、天然ガスに対する電力消費量も伸び全体消費量は一段と増加し、今後もこの傾向は続くものと予測されている。
一方、天然ガスは国の経済発展に関して非常に重要なエネルギーであるため、その取引市場は完全自由競争というわけではない。即ちある部分規制が働いているのである。更に米国におけるLDC(ローカル・デイストリビューション・カンパニー)はオープンアクセスの先のシテイーゲートを越えた地域に位置するが、その領域では種々の規制の下にほぼ独占供給状態が続いており価格の硬直化が見られる点が問題となっている。一方、最近工業用や電力用天然ガスはオープンアクセスのパイプラインからLDCを通さずフィジカルパイプラインという設備を利用し直接購入するケースが出始め、一般家庭用の間に大きな価格差が生じるという問題が起こっている。
米国天然ガス市場は、オープンパイプラインのシステムによりある程度の部分までは非常に効率的なマーケットが出来上がったが、依然としてLDCの独占的市場価格の問題は解決されていない。今後公共事業的規制の枠から離れ、自由競争のメカニズムによる市場が望まれる状況にある。

 

本件に関するご意見、お問い合わせ等がございましたら、備蓄室担当:中村雅彦宛ご連絡下さるようお願い致します。

 

 

 

LPガス料金問題検討会最終報告書がまとまりました

 

通商産業省が昨年10月に取りまとめた「LPガス取引適正化・料金透明化に向けた措置」(アクションプラン)において、LPガスの料金制度のあり方についての基本的 考え方及び現状の問題に関して改善すべき点について検討するため、料金問題検討会の開催が提言されました。これを受けてLPガス事業者代表、消費者代表、学識経験者からなる「LPガス料金問題検討会」が本年2月から開催され、4回の審議を経て4月に中間報告がまとめられ、公表されました。この中間報告に対して、消費者、LPガス業界、行政機関、地方自治体等から多くの意見・要望が寄せられ、これらを踏まえ、7月に開催された第5回の検討会での審議を経て、最終報告がまとめられました。当振興センターは、液化石油ガス産業室とともに、事務局を務めました。

 

最終報告は
1.趣旨
2.LPガス料金に関する基本的考え方
3.LPガス料金について指摘される個別論点
4.LPガス料金透明化に向けての提案
5.終わりに
で構成され、「5.終わりに」において、“各地域のリーダー的企業である大手・中堅の販売事業者においては、本報告書に基づく具体的な改善措置を明確化するよう要請したい。そして、このような動きがLPガス業界全体に波及することを強く期待する。”と言及されています。通商産業省では、この提言内容について、関係者による積極的な取組みが行われるよう、LPガス事業者に対するヒアリング等により、実施状況を把握し、必要に応じて指導するとともに、LPガス料金に関する情報提供の拡充等に努めるとしています。

 

この最終報告の内容につきましては、関係各方面に送付するとともに、当振興センターのホームページに掲載しておりますので、ご参照下さい。また本件に関するご意見、お問い合わせ等がございましたら、総務部担当:桜井宛ご連絡下さるようお願い致します。

 

 

 

LPガス分野技術戦略策定委員会報告書がまとまりました

 

LPガス分野の技術開発戦略策定の目的は、わが国のエネルギー戦略の基本原則である3E(エネルギー安定供給(Energy Security)、経済成長(Economic Growth)、地球環境保全(Environmental Protection))を念頭に置きつつ、2030年を視野におき、資源・エネルギーシステムのうちクリーンエネルギーであるLPガスについて長期ビジョンを抱きつつ、その達成に向けた問題解決のための重要な政策ツールである技術政策について長期戦略を検討することになりました。

技術開発戦略策定にあたっては、液化石油ガス産業室とともにエルピーガス振興センターが事務局を努め、LPガス業界の方々をはじめ多くの方々のご協力を得て、3回の委員会、10回の分科会・ヒアリングを開催し検討を重ね、「LPガス分野の技術開発戦略」として取りまとめました。
この「LPガス分野の技術開発戦略」を基本として、今後のLPガス分野の技術開発が進展し、LPガス業界の発展に結びつくことが期待されます。

 

技術開発戦略策定は、下記のメンバー構成による委員会で検討いたしました。

委  員  長:
河合 正人
(日本LPガス団体協議会会長)
委員長代行:
後藤 新一
(機械技術研究所 エネルギー部 燃焼工学研究室長)
委      員:
宮本 登
(北海道大学 大学院 教授)
後藤 忠夫
(日本LPガス協会)
小林 眞一郎
(社団法人全国エルピーガス卸売協会)
今井 巌
(社団法人日本エルピーガス連合会)
嶋守 渡佐雄
(社団法人日本エルピーガス連合会)
園部 博
(社団法人日本エルピーガス連合会)
柳 也主男
(社団法人全国エルピーガススタンド協会)
大内 丈夫
(高圧ガス保安協会)
玉田 一実
(アタム技研株式会社)
西田 健次
(コスモ石油ガス株式会社)
田村 秀樹
(出光興産株式会社)
奈佐 隆
(岩谷産業株式会社)

この報告書の内容につきましては、当振興センターのホームページに掲載しておりますので、ご参照下さい。また、本件に関するご意見、お問い合わせ等がございましたら、技術開発部担当:醍醐宛ご連絡下さるようお願い致します。

 

 

 

プロジェクトニュース

 

販売情報管理システムの実証試験が始まりました

平成10年度から事業が開始された「石油ガス販売情報管理システム調査」は、平成12年度から2年間にわたる実証試験を開始しました。

この事業の目的は、流通合理化を更に進めるため、LPガス充てん所における代行充てん・共同利用等を行いやすくする情報管理システムのモデルを構築することです。
つまり充てん及び容器情報とLPガスの貸借等を一元的に管理できるサーバを設置することにより、予め登録した販売事業者はLPガスの代行充てん・共同利用等が可能となり、かつ、販売管理面での事務処理が容易になるということです。
今までも代行充てん・共同利用等は行われていますが、それぞれ情報管理システムに互換性がなく、代行充てん作業・事務処理に手間と時間がかかりすぎており、積極的には行われていません。そのためLPガス業界では個々の充てん所が配送拠点となり、その結果交錯配送等が発生し、コストの削減を阻害している状況です。この現状を打開するため情報管理システムの違いを乗り越えるシステムが必要となります。
このためエルピーガス振興センターでは通商産業省の委託を受け、「石油ガス販売情報管理システム調査」事業を行っています。
平成10年度には全国のLPガス充てん所におけるコンピューター利用実態調査を実施して現状把握を行い、平成11年度にはモデルシステム構築のための概念設計・テストラン・詳細設計を行いました。そして平成12年度は詳細設計に基づいたプログラムにより実証試験を行います。
実証試験に協力していただくのは広島ガスプロパン株式会社です。該社は平成8年10月に当振興センターを窓口として募集した、通商産業省補助事業「石油ガス流通設備近代化・高度化促進モデル事業所」として補助金を受け、充てん・配送・保安の一層の効率化を図るため、総合LPガス物流拠点「広島LPG物流センター」を建設しました。平成9年4月には事業の効率的運営を図るため、また広範囲な合理化を推進し、顧客へのよりよいサービスを提供することを目的とした「株式会社ファミリーガス広島」の設立等流通合理化に非常に前向きに取り組んでおられます。その広島ガスプロパン株式会社の設備を利用させていただきながら実証試験を行い、LPガス業界の流通コスト削減につながるシステムのモデル構築を仕上げたいと考えています。

進捗状況については、今後もこの紙面で報告していきたいと思います。また本件に関するご意見、お問い合わせ等がございましたら、総務部担当:中村哲典宛ご連絡下さるようお願い致します。

 

 

液化石油ガス国家備蓄基地第5計画地点の調査が始まりました

LPガス国家備蓄基地の第5計画地点として、この程、茨城県神栖町が正式候補となり(鹿島液化ガス共同備蓄の隣接)、石油公団からの委託を受け、財団法人エンジニアリング振興協会とエルピーガス振興センターの共同事業体が、立地地点としての技術的・経済的可能性について基本計画調査を開始いたしました。

 

LPガスの国家備蓄計画地点は、既に4ヶ所で調査が完了し、うち3ヶ所の立地が決定されており、神栖町は最後の計画地点となります。特に、神栖町は首都圏という大きな需要地で唯一の国備基地計画地点で、首都圏の消費者への安定供給面で大変重要な位置を占めることになります。これで、目標計画2010年度の国家備蓄150万トン体制に向けての舞台は整ったことになります。
本調査は、平成12年度の単年度で完了する予定で、目下、精力的な調査を進めているところです。本調査を受け、出来るだけ早い立地決定が待たれるところです。

本件に関するご意見、お問い合わせ等がございましたら、備蓄室担当:中村雅彦宛ご連絡下さるようお願い致します。

 

 

 

設備助成事業室からのお知らせ

−平成12年度 補助事業(助成制度)のご案内−

 

LPガスを利用した設備導入に係る、平成12年度の各種助成制度についてご案内します。

 

コージェネレーションシステムの導入について

対象はLPガスを燃料とするコージェネレーションシステムで、以下の要件を満足するものです。

 

1.

発電能力

ガスエンジン及びガスタービン方式の場合は、単機で250kW以上、システム全体で500kW以上
 

燃料電池方式の場合は、単機で200kW以上、全体で200kW以上
 

両方式とも、建物全ての電気設備を稼働した時の電力の110%以下

2.

省エネルギー効果が5%以上

3.

システムが供給する熱及び電力は民生用または業務用に使用されること

4.

コージェネレーションシステムのモデル施設として先進性があり、また波及効果が見込まれること

また、設備費及び工事費1ヶ所当たりの交付限度額は、ガスエンジンまたはガスタービン方式の場合、対象経費の二分の一または4500万円のいずれか低い額、燃料電池方式の場合、対象経費の二分の一または7500万円のいずれか低い額とします。

本年度におきましては、当該制度の補助金申請に基づき審査委員会にて審議の結果、ガスエンジン方式については、名古屋市内のスーパーストア 「(株)ユーストア」を補助対象事業者として選定し、8月8日に補助金の交付決定をいたしました。

 
(概要)  発電容量:300kW×2基 原動機:ガスエンジン(神鋼造機)
省エネルギー率:11.1%  供給設備:バルク貯槽(地下)2.9t×3基
交付金額:4500万円

 

本制度は平成11年度から5年間の継続事業で、来年度も引き続き募集を予定しております。当助成制度に関するご意見、お問い合わせ等がございましたら、設備助成事業室担当:小林、加藤宛ご連絡下さるようお願い致します。

 

 

 

家庭用バルク貯槽の補助制度について

バルク貯槽を自宅に設置する際に、その費用の一部を補助する制度です。

・LPガス消費者が家庭用に設置する場合で、LPガス消費者が所有するものに適用
・補助率は、バルク貯槽及び設置工事費の三分の一

なお、当補助制度の開始は9月の予定です。同時期に、改めてご案内を致します。

 

 

 

事務局だより

 

「クリーンカーとしてのLPG車の国際的動向」を発行

 

当振興センターでは日本自転車振興会から補助金を受け、「LPガス消費機器実態調査報告書」の制作に取り組んでいますが、平成11年度の調査では、「クリーンカーとしてのLPG車の国際的動向」と題し、世界で400万台以上普及しているLPG車の普及状況、技術動向について最新の資料を報告書としてまとめました。
本報告書には、クリーンカーとして乗用車、大型バスなどで200万台近くの普及をみているヨーロッパの現状やLPG燃料噴射システムの解説、各国の排ガス規制の比較など、従来日本では、詳細な資料が殆どなかった世界のLPG車の最新動向について、単なる調査報告書ではなく、図や写真などでクリーンカーとしてLPG車の普及状況がわかりやすくまとめられています。
本報告書は実費(1,300円送料込み)で配布致しております。

ご希望の方は、総務部担当:広端宛 FAX、Eメール、電話でお申し込みください。

 

平成11年度技術開発、調査研究報告書(概要版)賛助会員向けに発行

 

通商産業省からの受託事業について、平成11年度調査報告書がまとまりました。
各調査報告書につきましては、賛助会員向とした内容の要約版を作成中です。
近日中にお送りさせていただく予定です。

 

第10回研究開発成果発表会について

 

平成11年度にエルピーガス振興センターが実施した技術開発、調査研究事業に関する成果についての発表会の日程が決まりました。

日 時:平成12年11月28日(火)  10:00〜(予定)
場 所:発明会館 大ホール(虎の門)
詳細につきましては、後日改めてご案内を致します。

 

 

 

編  集  後  記

 

このレポートがお手元に届く頃には、秋風を感じる時期になっていると思いますが、今年は例年にない猛暑になりました。
レポートの中にもありますように、料金問題検討会、技術戦略策定委員会についての報告書がまとまりました。これをもとに関係方面において積極的な努力をされていることに、敬意を表したいと思います。
ところで、このような猛暑にもかかわらず、輸入価格は高価格の状態が続き、また産ガス国からの供給減少という事態も生じてきています。一方ではアジア諸国のLPガス 需要は今後も増加が予測されています。以前から論議されていましたこれらの問題に対処するため、日本LPガス協会では、「輸入協議会」を設置し、輸入ソースの多角化、新規供給ソースの開拓などを集中的に議論することになっています。
また、記事にもありますように、当振興センターも共同事務局の一つとなって、「LPガス供給問題研究会」を発足させました。それぞれに連携をとりつつ、現実的な解決策を模索できればと思っています。これらの議論の結果につきましては、逐次報告する予定ですが、さらに、この結果を実施に移さなくては意味がありません。そのためにも当振興センターでは、このような問題について積極的に調査・研究活動を実施したいと考えております。
またその他の諸問題におきましても、今後適時適切に対応できるようにしたいと考えておりますので、皆様方のご理解、ご協力をよろしくお願い致します。
本年度の各種プロジェクトにつきましては、本格的かつ積極的に活動を開始しております。
これから、まさに活動の季節、皆様方の一層のご活躍を期待しつつ、本レポートをご送付申し上げます。

 

 

 

 

皆様のご意見・ご感想、LPガス業界の素朴な疑問をお待ちしております。

TEL 03-3507-0041 (代表)
03-3507-0047 (設備助成事業室)
03-3507-0971 (備蓄室)
FAX 03-3507-0048
     
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