LPGC WEB通信  Vol.52  2018.07.10発行 

平成30年度第一回理事会及び定時評議員会等の開催報告

 一般財団法人エルピーガス振興センターの「平成30年度第一回理事会」が、去る6月5日
に開催されました。 理事会では、平成29年度事業報告及び決算報告及び公益目的支出計画
実施報告の件、理事選任の件及び定時評議員会招集の議案を審議し、全会一致で承認をいただ
きました。
 また、6月26日に「平成30年度定時評議員会」が開催され、増田理事長の挨拶後、下記
4議案の審議を行い、全ての議案は全会一致で承認され、滞りなく終了致しました。

第1号議案   平成29年度貸借対照表及び損益計算書(正味財産増減計算書)の件
        ・・・・平成29年度事業の実施結果を総括して収支決算をまとめた結果、当
            期末(平成30年3月31日現在)の正味財産期末残高は176,574千
            円となり、前期末より27,330千円の減少となりました。


第2号議案   理事選任の件
        ・・・・今回は理事の改選期ではありませんが会社や関連団体の人事異動に
            伴う変更で、6名の理事が新しく選任されました。


第3号議案   監事選任の件
        ・・・・今回は監事の改選期ではありませんが、監事より辞任の申し出があ
            り、新しく監事が選任されました。


第4号議案   評議員選任の件
        ・・・・今回は評議員の改選期ではありませんが、関連団体の役員体制に異
            動があり、それに伴う変更です。

平成30年7月5日の理事会(書面決議)で新しい理事長が選定されました。
 理事長・・・荒木 誠也



評議員、理事、監事名簿は以下のとおりです。(平成30年7月5日現在)


個別事業報告
(1)調査研究事業
1)石油ガス流通・販売業経営実態調査
 LPガス販売事業者の経営や小売販売状況の実態、LPガス価格の透明性確保や消費者への
情報提供の実態把握に加え、LPガス充填所事業者の取引実態、コスト構造について、LPガ
ス販売事業者(10,000事業者)及びLPガス充てん所事業者(200事業者)を対象に、アン
ケート調査(回収率:LPガス販売事業者30.7%、LPガス充填所事業者48.0%)を実施
し、特に、料金透明化・取引適正化に関連する事項に重点を置いて、LPガス販売事業者30
事業者へのヒアリングを実施した。
 また、災害時にその機能を維持する必要のある施設における燃料備蓄の状況を調べるため、
病院、自治体、介護事業者等(5,000者)を対象に、災害時に活用を予定しているエネル
ギー、備蓄燃料の種類や非常用発電機の有無、災害時の活用方法等について、アンケート調査
(回収率:41.7%)を行い、20者に対するヒアリングを実施した。

2)石油ガス地域流通事業モデル実証事業
 消費者が実際にFRP容器を使用する上での安全上の問題点等の抽出及びその対応策の検討
等をすべく、協力事業者7社(アストモスエネルギー㈱、イーエルジー㈱、伊丹産業㈱、
ENEOSグローブ㈱、久留米エル・ピー・ガス㈱、泉金物産㈱、富士瓦斯㈱)の協力を得
て、安全調査(アンケート回収:431件)を実施、集計・分析等を行った。改めて①FRP容
器等の使用方法や利用時に起きうる状況の周知の重要性、②安全性の高い器具等の普及を前提
に消費者責任の認識を広めることの重要性が明らかになった。
 また、FRP容器の先進国である欧州(ノルウェー、フランス、イタリア)や米国の最新の
普及実態、保安等の規制や使用期限、再検査、廃棄リサイクル等の調査を実施し、普及に必要
な取組の参考となる情報を収集した。
 さらに、上記安全調査と欧米諸国への海外調査結果について、幅広い方々が参加できる有識
者懇談会を開催し、意見等を聴取、実証事業から得られた課題と今後の取組みの方向性をとり
まとめた。

3)石油ガス地域販売業実態調査
 平成29年2月の資源エネルギー庁の「取引適正化ガイドライン」策定・公表を受けて、全国
のLPガス販売事業者に対して実施した、昨年度のLPガスの標準的な料金メニューの公表状
況等に関するアンケート調査のフォローアップ調査として、本年度も同様の調査を実施した。
 調査票配布数に対する回収率、有効回答率は、それぞれ66.8%、65.6%と高比率で得られ
た。また、ホームページや店頭の両方あるいはいずれかで標準料金を公表している事業者数の
合計値が、有効回答した事業者数に占める割合は、75.6%(昨年度44.7%)と、公表が大幅
に進展していることを確認した。


(2)普及啓発事業
1)石油ガス流通合理化調査
①石油ガス講習会の実施
 全国各地の消費者団体、事業者団体等へ開催案内を送付し、各団体の要請によりLPガス講
習会を25回実施した。要請元団体の依頼に応じ、LPガス関連の有用性や問題点について、
性状・特性・用途・供給等のLPガスの基礎知識はもとより、エネルギーとしての強みや、取
引に関わる知識、事業者の販売ルール等、消費者の認識が高くない実態も含め、ライフライン
エネルギーとして有効な情報の普及に努め、認知度・関心度をより高めるべく、テーマを特定
して対応した。
 特に、平成29年2月に資源エネルギー庁から省令改正やガイドライン等の措置が示されたこ
とで、事業者は、料金メニュー公表の促進や14条書面交付時の内容説明、料金変更時には事
前通知と内容説明が必要となる旨の措置の内容についても、要請元団体に説明し、消費者の料
金・取引に対する関心・認知度の向上に努めた。
 FRP容器については、災害時のみならず、オール電化世帯やバーベキュー等のレジャーへ
の活用の有用性等を訴え、毎回展示し、見て触れてもらった結果、普及への期待が大きいこと
も確認した。

②情報普及活動の実施
 啓発のための各種刊行物を作成、配布するとともに、ホームページに掲載し、広く情報発信
を行った。

「LPガスのある暮らし」
 テーマを「LPガス料金ってどうなの?にお答えします!」とし、消費者を対象として、本
年度制定された資源エネルギー庁の措置に伴い、料金透明化に特化した内容とした。
 ○発行部数717,000部(平成30年1月発行)
 ○送付先は、全国の消費者団体、地方公共団体(消費生活、地方防災活動等の所管部)都道
  府県LPガス協会等4,019ヵ所に送付。

・「LPガスガイド」 平成30年3月 ホームページに掲載
 一般消費者向けに、価格(最新の価格推移、地域格差に関する数値グラフ)、契約などの取
引関係、環境特性、LPガスの供給・流通事情、エネルギー自由化などの解説のビジュアル化
を図り、ダウンロードでの活用をしやすい内容とした。

③石油ガス懇談会の実施
 事業者・消費者・行政等で全国9経済産業局管内(関東2ヵ所、九州・沖縄の合同開催、計
9ヵ所で実施)において、石油ガス懇談会を実施した。
 本年度は、平成29年2月のLPガス料金の透明化、取引適正化に向けた液石法省令等の改
正、取引適正化ガイドラインの制定を受け、資源エネルギー庁より「LPガスが消費者から選
択されるエネルギーとなるために」と題して、その措置の内容等が説明され、関係者間の活発
な意見交換のもと、相互の理解の増進を図った。
 また、消費者委員から、LPガスのPR・啓蒙についての意見、事業者委員から、災害対応
や見守りサービスの実施状況、自治体から、液石法に基づく立ち入り検査状況や消費者からの
LPガス取引に関する相談事例について、意見が表明され、引き続き活発な意見交換を促すこ
とができた。

2)LPガス販売事業者の構造改善推進事業に対する補助事業
 LPガス販売事業者の構構造改善推進のため、系列を超えた波及効果が見込まれる事業等
に要する費用を助成する本事業は、ホームページ及び全国8ヶ所での公募説明会、都道府県
LPガス協会へのパンフレット送付等による周知を図り、6月に募集開始・締切、事前審査後、
審査委員会において、96件の交付決定を行った。
 交付決定後、取下げが5件発生、次点者からの繰上交付決定を5件行い、最終的に補助金交付
額は483百万円となった。
 本年度の事業内容としては、LPガスの見える化サービスを重点的に推進し、集中監視シス
テムを利用した新サービスや無線検針、近接検針といった単独での取組み、新料金システムの
構築等により、顧客重視、販売事業者の業務効率化への取組みが増加、経営基盤強化に寄与す
る取組の支援ができた。

3)石油ガス災害バルク等の設置に対する補助事業
 大規模災害時等で系統電力や都市ガスの供給が途絶した際に、病院、老人ホーム等や公的避
難所、一時避難所となり得るような施設等のライフラインの途絶を未然に阻止する体制を確保
するため、石油ガス災害バルク等の設置に要する経費に助成する本事業は、ホームページ
ジ及び全国8ヶ所での公募説明会、福祉関係の業界紙への広告等による周知を図り、6月から
1月にかけて8回の募集開始・締切を行い、事前審査後、審査委員会において、累計99件の交
付決定を行った。
 交付決定後、事業取りやめ・減額等が発生し、最終的に93件、補助金交付額は535百万円
となった。
 本年度より、全ての補助対象先でGHPも補助対象とし、補助上限額を15百万円に引き上
げるなど条件が向上し、さらに広報にも努めた結果、例年以上の申請数、申請額となり、災
害バルクの設置促進に貢献できた。


(3)国際協力事業
1)産油・産ガス国産業協力等事業
①LPガス国際セミナーの開催
 LPガスに携わる産ガス国、消費国、調査機関等の12の関係企業・機関より講演者を招聘
し、「LPガス国際セミナー2018」を平成30年3月6日~7日の両日に亘り、日経ホール
(大手町)において開催した。
 今年度は「LPGの新たな潮流に船出する~需給ともに多様化する時代の選択とその戦略」
をテーマとし、基調講演として、ポーテン&パートナーズ社から、世界のLPガス需給動向、
特に米国輸出の増加が世界のLPガス海上貿易の流れを劇的に変えたことによるLPガス市場
の変化に関する講演があり、経済産業省から日本のLPガス政策、日本LPガス協会から日本
のエネルギーを取り巻く環境変化と中長期の業界の取組みに関する講演が行われた。また、新
興市場における需要拡大として、世界LPガス協会から環境対応としてオートガス、調理用
途、発電用途等への期待表明があった。さらに、産ガス国としてサウジアラビアと米国、アジ
ア主要消費国として中国とインド、新興消費国としてバングラデシュを招聘、LPガス需給動
向等の講演及び意見交換を行った。この他、LPガス海運会社からLPガス大型タンカー市場
の動向、また新規需要創出事例として、韓国GEアビエーション社と三菱造船からLPガスを
燃料とする船舶の開発状況が発表された。
 講演内容については、参加者の満足度も92.9%(アンケート結果)に上り、参加者も621名
と同一会場を利用した昨年より31名増加、引き続き有益な情報交換の場であることが確認さ
れた。

②事前調整活動の実施
 本事業の事前調整活動として、世界LPガス協会が開催したマラケシュでのフォーラム(平
成29年10月4~5日、世界約50か国160団体・企業、展示会を含めた来場者約1,800名参
加)、IHS社のアジアLPGセミナー(平成29年7月12~13日、LPガス関係者約130名参
加)に参加し、昨年度に開催したLPガス国際セミナー2017で提起された課題等を踏まえ
て、世界各国の関係者と広く意見交換を行い、本年度の講演者候補の発掘と招聘活動を積極的
に展開した。


2)国際協力事業
 平成29年度から開始された(一財)海外協力人材育成協会(AOTS)が実施する「ミャン
マーにおけるLPガス安全法制度構築事業」(経済産業省委託事業)の企画・実施に参画、協
力先となるミャンマー石油化学公社(MPE)との打ち合わせを目的とした第1回専門家派遣
(平成29年6月7~10日)に、資源エネルギー庁、高圧ガス保安協会等とともに参加、その後
の事業進捗をフォローした。


(4)技術開発事業
バイオマス混合LPガス有効利用システム開発調査
 LPガスを混合することによるバイオマスエネルギーの有効利用に関する内外の動向を関係
団体の委員会等を通じてフォローした。


(5)広報活動
1)LPGC講演会の開催
 本年度、新しい試みとして第1回「LPGC講演会」を平成29年10月17日、日経カンファ
レンスルーム(大手町)において開催、149名の参加を得た。
 「国際エネルギー情勢の展望と課題:石油・ガスを中心に」と題し、(一財)日本エネル
ギー経済研究所 常務理事 小山 堅氏に特別講演をいただき、「LPガス料金の透明化、取
引適正化の現状と展望~選ばれるエネルギーとなるために~」というテーマで、パネルディス
カッションを企画、資源エネルギー庁資源・燃料部 石油流通課企画官 谷 浩氏、(一社)
日本ガス協会 業務部 経営支援室担当 理事 角田 憲司氏、(公社)神奈川LPガス協会
副会長 関口 剛氏の3名のパネラーによる議論を行い、参加者からの質疑も行った。

2)広報冊子の配布
 当センターの最新の組織体制や事業などの状況を紹介する広報冊子を作成し、広く関係者に
配布した。


3)LPGC WEB通信の配信
 メールマガジン「LPGC WEB通信」を作成し、賛助会員及びLPガス関連団体等に毎
月配信した。


4)その他活動
 当センターの組織体制や事業などの状況についてホームページに掲載し、一般への情報公開
を行った。
 また、LPガス関連団体の会議等に参加、情報収集に努めつつ、当センターの事業について
の広報活動を行った。
(総務部/畑中 耕一)