LPGC WEB通信  Vol.77  2020.10.12発行 

南関東地方LPガス懇談会の概要

 去る9月3日に南関東地方LPガス懇談会(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・静岡県)を開催しましたので、概要を報告します。
各地方の消費者委員及び事業者委員、学識経験者委員、行政の間で、本年度のテーマである、
① 料金透明化・取引適正化の現状と対応
②新型コロナウイルス感染拡大下の状況、対応
③災害対応の現状と課題
について、それぞれ資源エネルギー庁のプレゼンテーションに続き、自県を超えた意見交換が行われました。
 本年度の新たな試みの一つである、WEB会議による会議運営については、事後アンケートの結果からも概ね好評を得ています。


LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、
       事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、
       関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内を対象にWEB会議にて開催する。
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       経済産業省…………経済産業省、地方経済産業局及び産業保安監督部


議事の概要
(1)開会挨拶
 関東経済産業局 資源エネルギー環境部 近藤かおる 地域エネルギー振興企画官
 新型コロナウイルス感染(以下「コロナ感染」という。)禍において、LPガス事業者(以下「事業者」という。)の感染防止対策の徹底による事業継続、消費者の料金延滞等への柔軟な対応等に感謝する。本懇談会は消費者と事業者の相互理解を深め、LPガス産業の発展のための施策を考える重要な場である。また、今年はコロナ感染に対する各位の取組み、情報提供等、この場での忌憚ない意見交換をお願いしたい。また、国の補助金を活用した災害に強いLPガスの利用等議論いただきたい、と述べました。


(2)懇談
 司会・進行: 国際大学大学院 国際経営学研究科 橘川 武郎 教授

テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化の現状について」

 問題提起として神奈川県の消費者今井委員から以下の発表がありました。
 料金公表の実態を調べるため、7月に神奈川県の全事業者に対し電話で料金公表の聞き取り調査を実施した。結果料金公表率は48.2%で前年度の35.2%に比べアップしているものの、半分にも満たないのは残念である。回答できない理由は担当者不在等々色々あったが、なかには電話もかからない事業者があり保安上も問題である。アンケート調査では店頭、ホームページ(以下「HP」という。)合わせると80%を超える公表率であるが、消費者は店頭まで行かない。事業者のHP開設率も低い。結局電話での問合せが多くなるのでしっかり答えてもらいたい。神奈川県の48.2%という公表率が高いのか低いのか、他県でもぜひとも全数調査をお願いし、料金透明化につなげたい。
 消費者委員の問題提起に対し、神奈川県の事業者高橋委員から以下の発言があった。神奈川県消費者団体の全数調査には敬意を表するとともに、本来事業者側がやるべきところと思料するところ。県LPガス協会でも料金公表を改めて徹底するとともに、今年の全数調査に対し協力するべく書面でも全事業者に要請した。料金をはっきり提示することは商売の基本である。調査結果は公表率が半分にも満たず申し訳なく、真摯に受止める。神奈川は過当競争下であり料金公表が競争相手の売込み材料に使われるという懸念が公表しない理由のひとつかもしれない。今回の調査で実態が浮き彫りになり改めて課題があることがわかり、調査した消費者団体には重ねてお礼申し上げる。次年度の調査には一層の改善を目指す所存である。

 橘川教授からは、神奈川県の消費者は全国でももっとも料金透明化に取り組んでいると思うが、その地域の競争が一番激しいというところに問題の深刻さがある、との寸評がありました。
 その他、消費者委員側からは次のような意見や質疑がありました。
 最近のLPガスに関する消費者相談する数は減っている。集合住宅での生活機器コストは料金に上乗せされていないというアンケート調査結果もあるが、やはり戸建てに比べ高いという相談がある。事業者から生活機器費用を負担する見返りに契約を売込まれた、という住宅オーナーからの相談もある。料金公表は消費者への信頼を得るためぜひとも徹底してほしい(東京都 林委員)。LPガスに関連する相談は昨年1件、今年はゼロである。神奈川県での約700件の全数調査にかかる時間はどれほどか(埼玉県 清水委員)。神奈川県消費者の回答として、すぐ答えてくれる事業者なら1分もあればよい。答えない事業者なら2~3分はかかる。担当ベースでは50~70件担当すれば1週間くらいはかかっている。消費者には料金は保安とセットだと説明している。近場の事業者のほうが保安面で安心であり、遠くても安い方という発想はよくない(神奈川県 今井委員)。各社のHPをみると、従量料金部分が単純性と逓減性があり分かりづらい。料金が安すぎるのも不安があり必ずしも信頼できない。事業者は自信をもって自社の料金を公表してほしい(静岡県 菅ヶ谷委員)。

 橘川教授からは、エルピーガス振興センター(以下「振興センター」という。)のアンケート調査に対し、前年からアンケートがWeb調査となり、回収率が1割程度に落ちているが今後どのように対処していくのかとの質問がありました。また、集合住宅における生活機器費用を70%の事業者が負担していないという結果になっているが驚いている、とのコメントがありました。
 振興センター嘉村専務理事から、今年もWeb調査を実施するが今年は事前(8/31日)に全事業者に対しアンケート協力依頼のレターを資源エネルギー庁(以下「エネ庁」という。)名で発出し、回収率のアップを目指している。途中回答率の情況をみて再度お願いの書状を出す予定である、との回答がありました。

 料金透明化に関しては事業者委員から、ブローカーを使った一部の事業者が料金をダンピングして業界の秩序が乱れているのが実態であり、エネ庁に不当廉売の防止を要請する(東京都 尾崎委員)との発言がありました。これに対し橘川教授からは、消費者委員の発言は実態である。他方事業者が電話への問合せにきちんと答えるなど、料金透明化への業界として当然やるべき整備はしっかりやりきる必要があり、不当廉売への対応とは切り分けて進めていくべきである、とのコメントがありました。加えて事業者委員から、料金の高低ではなく顧客に料金を聞かれたらきちんと答えるのが事業者としてのあるべき姿勢であり、顧客への信頼につながる(神奈川県 髙橋委員)との意見がありました。
 また、生活機器コストの負担については橘川教授より、料金を三部制とし、生活機器コストの負担部分を明確にすべき、との指摘がありました。

 一昨年から全国展開されている総務省行政評価局のLPガス取引適正化調査による、経済産業局と自治体、事業者の連携の必要性に関し、関東経済産業局(資源エネルギー環境部 資源・燃料課 中田係長)から以下のような発表がありました。
① 昨年から料金問題に関し自治体との意見交換を開始、山梨県、埼玉県課と続いたコロ
ナ感染問題が沈静化され次第その他の県とも連携の機会を持ちたい。②消費者からの相談事例を自治体との共有、③関東液化ガス業務主任者研修会における料金透明化・取引適正化指針の説明講演3か所実施、④事業者に対し、液石法第14条、16条及び取引適正化指針に関する立入検査を実施(計14か所)。液石法14条書面関連の説明時間が不足しているケースが散見されている。料金表は各社各様多くの料金があり、これをどのようにして標準料金というものに落とし込んでいくかが課題である。

 エネ庁の橋爪企画官からは料金問題の議論を踏まえ以下のコメントがありました。
神奈川消費者団体の調査は業界の実態を知るうえで意味のあるものだ。また、神奈川県LPガス協会の事業者への調査協力要請も大変評価できるが、公表結果が48.2%というのは残念である。料金の透明化は消費者側からも強く求められていることは再認識した。


テーマⅡ.「新型コロナウイルス感染拡大下の状況、対応等」
 消費者委員から、コロナ感染下のなか、保安点検等事業者が屋内に入る場合どのような対応になっているか(東京 林委員)、との質問がありました。これに対し事業者委員から次のような回答がありました。多くの事業者は当然検温、消毒、マスク着用を徹底している。従業員に感染者が出た場合の風評被害が不安である。県LPガス協会独自に全事業者向けの感染防止対策ペーパーを共有し安定供給に努めている(埼玉県 齊木委員)。日頃から顧客とのコミュニケーションがよく、点検、検査等はほぼ予定通り実施されている(静岡県 森委員)。法令による点検、検査は延長措置を活用するなどして問題はない。他方face to faceによる営業ができず売上減の事業者もある。4~5月は首都圏1都3県の緊急事態宣言が解除されず、その地域のブローカーが大挙県内に来て訪問販売が繰り返され、県LPガス協会には苦情の電話もあった(山梨県 望月委員)。保安講習会の人数を絞って対応するなどして保安関係はおおむね順調である(東京都 尾崎委員)。県LPガス協会独自のマニュアルを共有するなどして、事業者から感染者が出ないよう努めている。1割くらいの顧客からは検査点検の先伸ばし要請を受けている(神奈川県 髙橋委員)。
 これらを受け、エネ庁橋爪企画官からは、事業者のコロナ感染への取組みを評価する一方、ブローカーの営業行為が問題視されている点を懸念し、行き過ぎた営業行為の実態に関し情報収集する意向が表明された。また橘川教授からは、コロナ感染下事業者は目に見えないところで安定供給に努めていることがうかがわれると評価するコメントがありました。



テーマⅢ.「LPガスの災害対応能力について」
 LPガスは災害に強いということは、LPガスの普及率が低い都会のエリアが危険とも言える、との橘川教授の導入があり東京都の事業者尾崎委員から以下発言がありました。災害対応としてはバルクよりボンベ、小型の発電機と8㎏のボンベといったコンパクトなタイプを推奨してきた。エルピーガス発電機は灯油と違って燃料が劣化しないので災害には最適である。普及拡大には住民の代表である議会議員の協力を得ることも一案である。高層マンション、医療機関への導入検討も必要だと思う。また、静岡県の事業者森委員からは防災対策として、①55か所の災害拠点事業所の設置、②地域防災訓練、地震防災訓練の実施、③県との災害援助協定の締結、④LPガス地域防災応援プロジェクト、について説明があった。
 また、振興センター嘉村専務理事からは同センターのサイトに災害バルクの導入実例等紹介し、導入状況を広報しているが、今後このサイトを一層充実させる意向であるとの発言がありました。
エネ庁橋爪企画官からは、今年度の災害バルク設置への補助金予算は約40億円だが既に予算枠を超える応募があり、注目度は高い。今後自治体の有する体育館の発電、空調用の導入に一層力を入れ、できるだけ長くこの補助金制度を続けていきたい、との意向表明がありました。

【その他の議論とまとめ】
 最後に自治体側の千葉県消費者センターの岸田次長から、訪問販売への相談を受けることがあるが対処・対策はどうか、という質問がありました。これに対しエネ庁橋爪企画官から、販売活動を外部ブローカーに委託している事業者があるが、そのブローカーの営業活動が特定商取引法の規定ギリギリ、あるいは行き過ぎたケースがあり問題になっていると聞いている。ブローカーに委託している事業者がその活動をきちんとグリップできているかどうかが問題で、エネ庁も県LPガス協会等から情報収集したい。また東京都の消費者林委員からは、悪質なブローカーの営業行為によって、LPガス業界全体に悪いイメージを持たれることが問題であるとの指摘がありました。

 橘川教授からは以下の通り総括がありました。
 料金透明化・取引適正化の課題では大きな方向として確実に改善の方向に向かっているものの、神奈川県の消費者団体の調査を見ると改善が不十分なことが今年も露呈された。店頭やHPでの公表料金が守られているかをチェックすること、さらに電話での料金問合せに確実に答える仕組みをつくることが重要である。そのためには、神奈川方式(全数調査)を全国展開するべきである。
 また、コロナ感染下で特定商取引法違反となりかねないような、ブローカーの営業活動が頻発しているようで、経済産業局や自治体の監視が必要である。
 LPガスの災害対応については、引き続き災害に強いというLPガスの特性を広めていく必要がある一方、弱点のひとつである水害時のボンベ流失対策をしっかり進めていく必要があると提言し、議論を締めくくりました。



(広報室/中村)