LPGC WEB通信  Vol.87  2021.08.10発行 

令和3年度LPガス懇談会がスタートしました!(北関東地方)

 経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「石油ガス流通・販売業経営実態調査」として、当センターが実施する「LPガス懇談会」を、去る7月21日にWEB会議上の「北関東地方LPガス懇談会」より開始し、対象の茨城、栃木、群馬、新潟、長野各県の消費者委員及び事業者委員、学識経験者委員、行政が出席しました。
本年度のテーマとして予め設定した、
①料金透明化・取引適正化の現状と対応
②災害対応の現状と課題
の各テーマについてそれぞれ資源エネルギー庁からのプレゼンテーションの後、テーマ毎に活発な意見交換が行われました。
本年度も、テーマに基づき自県を超えたエリア全域の共通課題に対し、他県の事例も参考としながら、従前にも増して議論が深まりました。
昨年度同様に新型コロナウイルスの感染防止策としてWEB会議による開催とし、資源エネルギー庁石油流通課および振興センター事務局のプレゼン内容を動画化し、事前に視聴頂きました。


LPガス懇談会について
(1)目的  LPガス取引適正化の観点から、LPガスの諸問題について、消費者団体、
       事業者団体、自治体、学識経験者等が一堂に会して意見交換・議論を行い、
       関係者相互間の理解を深めると共に、LPガス産業の健全な発展に資する。
(2)方法  全国9ヵ所の各経産局管内を対象にWEB会議にて開催する。
(3)参加者 消費者委員…………各都道府県消費者団体の幹部等
                調査・広報委員会消費者委員
       事業者委員…………各都道府県LPガス協会の幹部等
       学識経験者委員……知見を有する大学教授等
       自治体………………各都道府県のLPガス担当部署及び消費生活担当部署
       経済産業省…………経済産業省、地方経済産業局及び産業保安監督部


議事の概要
(1)開会挨拶
 関東経済産業局 資源エネルギー環境部 資源・燃料課長 新田 祐治
 経済産業局(以下「経産局」という。)に寄せられる消費者相談の大半はLPガス料金(以下「料金」という。)に関するもの。なかでも集合住宅に関するものが多い。消費者と事業者のコミュニケーション不足、事業者の説明不足によるトラブルが多い。これに関連して経産局では事業者への講習会の実施に努めている。また、LPガスは災害に対し「最後の砦」と言われる災害に強いエネルギーである。昨今自然災害が多発しておりLPガスの有効活用は極めて重要である。関連して経済産業省(以下「経産省」という。)では補助金制度も推進している。
本懇談会はLPガス事業者(以下「事業者」という。)と消費者の相互理解を目的とし、LPガスが消費者に「選ばれるエネルギー」となることを目指すものである。本懇談会のテーマを踏まえ忌憚ない意見交換をお願いしたい。経産局としても今後の管理行政に本懇談会の議論を反映させていきたい。


(2)懇談
司会・進行:青山学院大学 総合文化政策学部 内山 隆 教授

テーマⅠ.「LPガスの料金透明化・取引適正化の現状について」

 進行の内山教授から資源エネルギー庁(以下「エネ庁」という。)とエルピーガス振興センター(以下「振興センター」という。)の事前プレゼンに関し以下とりまとめがあった。
 今年度のエネ庁のプレゼンは料金問題の中でも集合住宅の料金に的が絞られている。問題点として①集合住宅の料金が入居後にしか分からず、入居者に選択の余地がないこと、②中小事業者は住宅オーナーの求める生活設備の無償貸与に資金力の面で対応できず淘汰される。対応策としてエネ庁と国交省で、6月1日付けで関連する事業者に対する料金透明化への対応要請が発出された。
 振興センターのプレゼンでは①事業者は一定の水準を境に大規模事業者と中小事業者の二極化が顕著、②事業者のホームページ(以下「HP」という。)活用が約2割と進んでいない、③三部料金制が進んでいない、④約6割の事業者が集合住宅の設備費用を負担するし、うち約7割が負担分を料金に転嫁していないという傾向が続いている。

 調査・広報委員会委員の夏目委員から以下の発言があった。
 消費者に料金の選択が今もってできないことが課題である。自分自身集合住宅に住んでいるが、住居を選ぶ際はどの住居にするかが優先でLPガスの料金は確認してなかった。意識の乏しい消費者であったことを反省している。この慣行は事業者にも消費者にもプラスになっていない。消費者が料金を知った上で契約するのが基本スタンスだ。今回国交省が動き出したことは大きなエポックである。まだ始まってばかりでこの動きがどう機能していくか推移を見守りたい。

 消費者委員からは以下の発言があった。
 賃貸住宅で一人暮らしの女性の料金が月額1万5千円、多い月では2万円くらいしていたという相談事例を聞いている。契約時に料金の目安でも提示していただければ事業者と消費者間のトラブル防止につながると思う。(茨城県 鈴木委員)。
 料金の透明化に関しては消費者の意識も低いと感ずる。料金が高いと感じても消費者側から事業者を変えるのは容易ではない。消費者団体に聞く限り料金に関して特段問題との話であり、未だ意識が低いという印象だ。(栃木県 菊池委員)。
 昨年業界新聞に相談案件を3件掲載したが、うち2件は集合住宅の料金トラブル事例である。今回この問題に国が動き出したことを知り大変うれしく、期待している。この問題解決に関しては、勝者はいない。賃貸住宅に住む学生の県外在住の親御さんからの料金への不満なども聞くなど、LPガス自体が「売れない商品」になる可能性もある。事業者も消費者もウイン・ウインになるよう改善を願いたい。(群馬県 飛澤委員)。
 消費生活センター、消費者協会に確認したところでは、集合住宅への入居時には料金が提示されているので問題はない、ということであった。今年は大雪だったが灯油、電気に比べLPガスは暖かく、集合住宅入居者からはLPガスを使って良かった、という声が聞かれている。(新潟県 木村委員)。
 賃貸住宅に住む学生を対象に調査したが、料金の説明はほとんど受けていないというのが実態だ。また料金が自由競争という認識もない。基本料金はやや高くなってきていると感ずる。今回の集合住宅の料金に関する行政の対応は高く評価したい。来年以降集合住宅の料金の入居前開示がきちんとできているか、アンケート調査を実施願いたい。振興センターのアンケート回収率が低い。調査結果と消費者が感ずる印象にズレがあるように思う。このズレの是正が必要ではないか。HPによる料金公表は、大手事業者は大変良くできているが、中小事業者の料金は店頭表示に留まり、まだ道半ばという感がある。他方、消費者側の料金問題への意識が低い点が気になるところ。(長野県 織田委員)。

 事業者委員からは以下の発言があった。
 集合住宅の料金透明化に関する行政の取組に関し、先ずは来年の今頃までにどれだけ実効性が上がっているかが課題である。今回の行政の取組みは会員に周知したが、問題は末端の住宅オーナー、大家との話し合いをどこまで進めていくかである。消費者の思いをどうくみ取っていくか、透明化が達成できなければ消費者の期待に応えられない。(茨城県 立原委員)。
料金の透明化は業界全体の課題であり、消費者とのトラブルは避けなくてはならない。消費者が入居時に料金を知り、事業者を選ぶ時代になったと認識し、消費者に選ばれる事業者にならなくてはならない。(栃木県 谷地委員)。
 事業者が設備の無償貸与に応じなければならない状況下、それを解決すべく行政が取組んでくれたことに感謝する。事業者は事業拡大のために無償貸与に応じているケースも多いが結果的に無償貸与に対応できる事業者だけが伸びているのも現実だ。こういった対応が当たり前という状況が改善され取引適正化につなげて行こうという機運になったことは素直に喜びたい。(群馬県 小林委員)
 集合住宅の取引適正化に関する行政の取組は一歩前進ととらえている。しかし現状無償貸与の度合がだんだんエスカレートして事業者を苦しめている。負担分が料金に転嫁される場合、三部料金制も透明化のためには必要かとも思う。事業者が色々な生活設備費用の負担を強いられた中で料金が高いという指摘を受けるのは問題である。(新潟県 菅井委員)。
 集合住宅への入居前に消費者が料金を把握することはトラブル回避の観点から意味がある。県会会員向けには料金情報の事前提供を周知、お願いしている。一方目先の状況だけで事業者に多くの負担を求める住宅オーナーがいることも事実である。無償貸与による高額な料金が結果として入居率の低下につながる。この点に関して県協会は住宅オーナーに周知のチラシを配布することも検討している。業界全体が信用を無くすような料金体系はさけなければならない。(長野県 塩原委員)。

 振興センター事務局(嘉村専務)からアンケート調査に関し以下発言があった。
 以前、全数ではなく約1万の事業者を対象にペーパーでのアンケート調査を実施していた。その際には約4割の回収率もあった。前年度は全事業者の25%という回収率で前々年度の2.5倍の回収率となったが更なる改善が必要と思っている。一方、国の事業として業界状況の把握のために進めている調査であり、懇談会といった場での発表の機会もあるわけで、事業者の皆様にも強制ではないが是非とも回答にご協力願いたい。また県協会等関係団体にもご支援をお願いしたい。今年度も9月からアンケ―トを実施する。IT環境にない事業者の皆様にはファックス、電話を利用した回答回収も検討し、回収率のアップに努めたい。

 内山教授から以下コメントがあった。
 集合住宅の取引適正化問題は以前から続いていた。6月に経産省、国交省から関連団体に要請が出されたことで、キックオフの状態である。この要請は非常に幅広く関連団体に出されたものなので、ある程度長期戦を考えなければならないだろう。関連して、もしこの要請が浸透しなかった場合、政令等で対応することになりうるものか、エネ庁に伺いたい。

 エネ庁(橋爪企画官)から以下回答、コメントがあった。
 この問題は平成28年頃から国交省と議論をはじめていた。料金を不動産契約の重要事項説明に加えられないか検討された。しかし不動産業者が決められないものは不動産契約の重要事項にはならず、料金説明の義務化は法解釈上読めないことから頓挫した経緯がある。また義務としてやれる、やれない、の議論をすると一歩も進まなくなった。昨年、北海道大学生協が学生向けアパートを斡旋する際、自主的に料金を入居前に説明していることを紹介されるに至り、消費者への料金説明は法律、義務云々ではなく、やる気があるかどうかにかかっていると感じたところ。
 よって義務化を進めるのではなく、協力依頼という要請により自主的やる気を喚起するべきと思うに至った。一方、不動産業界が受け入れないと前に進まないので国交省には協力を仰ぎ、半年以上かけて関係7団体への説得をお願いした。ただ、不動産業界には団体に加盟してない業者、オーナーがたくさんあり、法律や要請が届きづらいのも事実である。国交省は過去の様々な経験、事例を踏まえ、「義務化」することによる効果を評価しないようでもあり、今回の要請につながっている。したがってこの要請の浸透には長期戦となるかもしれないが、時間をかけて取り組んでいきたい。そしてこの取組みは、住宅オーナーに無償貸与を求められ困っている力関係上弱いLPガス事業者から働きかけるほうのメリットが多い。事業者は住宅オーナーにもこの取組みを積極的に知らしめるべきだ。塩原委員の発言にもあるように、最終的には住宅オーナーの不利益にもなりかねない商習慣を是正し、関係者が県協会も活動軸のひとつとして活用しつつ啓蒙していくことが必要である。

 エネ庁のコメントを踏まえ以下の発言があった。
 住宅オーナーには個人経営的なオーナーも多く、中には住宅へのガス供給は任せる代わりに価格を一方的に提示される、といったような相談事例もあった。住宅オーナーの意識の欠如が甚だしい事例である。一部住宅オーナーが進めてきた力関係を利用した市場秩序からかけ離れた条件提示に事業者が巻き込まれている。こういった住宅オーナーには専門家、LPガス業界等が正しく導いていただきたい。(群馬県 飛澤委員)。

 また、内山教授からは以下コメントがあった。
 この問題は時間をかけて啓蒙活動を続け、世の中にあるべき慣習として根付くような取組みが求められる。情報やそれを伝えるツールが増えており、それらを活用し囲い込むような啓蒙活動が望ましい。その際、HPを持たない事業者が大多数であること、二部、三部料金制の概念が浸透していない等が課題である。
関連してHPを持たない小規模事業者への対策に関し事業者の意見を聞きたい。

 内山教授の問題提起に関し茨城県立原委員から以下のコメントがあった。
 HPの開設が特に中小事業者で進んでいないのはアンケート調査結果のとおりである。ただ、ここ1~2年で少し様子が変わってきた。1年前はWeb会議もなかなかうまくできなかったが各位の努力で向上した。以前はWeb環境のない事業者には県協会のHPに紐付けしてサイトを提供しようとした。しかしそれによる料金提示となるとクリアしなくてはならない問題もありなかなか前に進まなかった。しかし、インターネット情報がより求められる時代になった以上、HPができないというのは通用せず、やらなくてはならない状況であり、関係各位と推進に取組んでいきたい。(茨城県 立原委員)。

 また、調査・広報委員会夏目委員から以下の発言があった。
 取引適正化に関しては5県の事業者委員から、課題はあっても前向きに取り組むとの意向が示され、消費者としては大変心強く思う。無償貸与の問題は長年の商慣行であるとのこと。法律ではなく商慣行とういことなら、時間をかけてでも関係者が一体となって解消する方向に進めばよい。コメの検査でも長年変えられない商慣行があったが、規制改革会議のWGから是正すべきと提言され最近になって是正された例がある。やはり関係者だけの解決は難しく、今回のような行政からの働きかけが重要だ。今後の進捗に期待している。

 次に3年前から全国展開されている総務省行政評価局のLPガス取引適正化調査による、経済産業局と自治体、事業者の連携の必要性に関し、関東経済産業局(資源・燃料課 中田係長)から以下のような発表があった。
ここ1年間あまり緊急事態宣言等の制約があり、ほとんど活動ができていないのが実態である。よって実績報告というより、今後の4点の活動計画について述べる。①自治体LPガス担当者との情報交換を実施し立入検査の状況、消費者からの相談事例の把握を行う。②LPガス取引に関する相談等の受付及び地方自治体担当者への情報共有を実施する。昨今ブローカーに関する相談が目立つ。③関東液化石油ガス協議会が主催する研修会での講演を実施する。④新型コロナウイルス感染状況が改善され次第、事業者への立入検査を実施する。
発表に対しエネ庁(橋爪企画官)から以下のコメントがあった。
令和2年度の懇談会資料による各県庁の料金問題に関する指導は14条書面、料金公表未対応、料金請求における算定方法や記載上の不備、等に関する指導がしっかり行われていると思う。大体5~6年で各県内の事業者への検査が一巡すると思うが、その間で注意が必要な事業者にはしっかり指導ができると考えている。立入検査の際には今般の取引適正化に関する要請への対応に関してもヒアリングしていただければ有難い。


テーマⅡ.「LPガスの災害対応能力について」
進行の内山教授からエネ庁の事前プレゼンと振興センターの災害バルク広報サイトに関する以下のとりまとめがあった。
エネ庁プレゼンでは、LPガスの分散型エネルギーとしての強みが震災時の事例等と併せて強調されていた。災害対応への具体的施策としてLPガス発電機等を備えた災害に強い中核充填所の整備、災害バルクの補助金制度の説明があった。他方、LPガスでの発電や空調が広く認識されておらず、PRや広報の必要性が指摘されている。振興センターの災害バルク広報には災害バルクの導入、活用事例が分かりやすく説明されている。

調査・広報委員会夏目委員の所属団体(全国地域婦人団体連絡協議会)が令和2年度にLPガス安全委員会の事業としてLPガス事業者等と共同で実施した防災学習会について以下のとおり発表があった。
本学習会は15年間継続実施している。令和2年度はコロナ下で人集めが難しく、参加人数、開催地も限定的であった。もまた9地域が開催中止となった。その中でも、本学習会は非常に大切なものだというのが加盟団体の共通認識である。特に昨今自然災害はいつどこででも発生する恐れがある。当団体では災害対応に関し特に女性の視点からの対応に取組んでいるところ。災害対応は反復して学ぶことが必要であるとともに、災害対応のツールとして災害に強いLPガスの特性と関連器具の安全な使用方法を知ることが重要である。また。平時での安全・減災への準備も必要である。これらを本学習会のメニューとして取り入れて、地元自治体の防災担当者、開催地のLPガス協会、事業者、日本ガス機器工業会の参加や講師派遣を求めている。地元の防災マップ、自治体の災害対策、地元の自主防災組織がどう機能しているか、またこれらの中に婦人の働きがとう組み込まれているか、等を知ることが防災学習会の中味である。令和3年度も30カ所を超える場所で実施が計画され、継続的に防災、減災に取組んでいく。

 災害対応に関し事業者委員から以下の発言があった。
 災害対応のために、学校に防災用のLPガス設備を導入できるよう働きかけている。しかし残念ながら昨年はEHPが導入された。今後改めてLPガス設備の導入が実現できるよう努めたい。県では年に1回地域を変えながら防災訓練を実施している。(栃木県 谷地委員)。
 県協会では中核充填所及び県の総合防災訓練に参加している。また、自治体とは全て防災協定を結んでいる。昨年はみどり市の小中学校に市の予算からLPガスによるGHP、発電機の導入が実現した。高崎市でも相談に乗ってもらえる段階まで進んだが、行政は個別導入には難色を示しており今のところハードルは高い。引き続き避難所には必要不可欠なものとして各方面へのアプローチを強化したい。(群馬県 小林委員)。
 中核充填所と県協会支部を合体した防災訓練を実施している。また県の防災訓練にも県協会として参加している。災害時に道路が寸断された時の対応が課題である。(新潟県 菅井委員)。
 県主催の防災訓練とは別に高圧ガス関連団体による防災訓練を年1回実施している。地域を4カ所に分け啓蒙も兼ねて持ち回りで実施しているところ。教育委員会には避難所となる学校へのLPガス災害対応設備の導入を継続的に要請している。首長の意識が不十分なこと、イニシャルコストが高いこと等から実現にはなかなか至らないが、飯田市ではGHPが導入されるという成果もあった。首長、議員等の意識を変えていく必要もあり、地道に継続的な努力を続けていく必要がある。(長野県 塩原委員)。
 災害対応LPガス設備の導入には地道な継続的働きかけが必要だ。地域の防災担当者を集め防災機器設備の説明会を実施している。また、地域の防災訓練を実施、参加している。(茨城県 立原委員)。

 災害対応、その他に関し消費者委員から以下の発言があった。
 3年前から学校の教室にGHPを導入する働きかけを進めている。今後県協会とも連携して各方面に働きかけていきたい。(新潟県 木村委員)。
 LPガス業界が事業規模において二極化しているようだが、大規模事業者と中小の公平感、即ち消費者へ提示する料金格差がないか、業界全体としての小規模事業者のかさ上げ等をどう考えているのか。防災については消費者と事業者が一緒になって取り組むことが必要だ。防災学習会の話を聞いたが開催地に長野県がないのは残念だ。(長野県 織田委員)。
 織田委員の質問に関し長野県事業者塩原委員から以下のコメントがあった。ご指摘のとおり大規模事業者と中小事業者の差は現実的に存在する。とくにHPの有無の差は大きい。得意先
300軒未満の事業者が約3割あるなかで、県協会としてHPアップ推進をすすめた経緯がある。しかし小規模事業者の中には得意先は全て把握しておりHPアップの必要はないとの声もあった。費用対効果でHPに後ろ向きの事業者もある。業界としては消費者に等しく公平なサービス、情報提供できるよう努めなくてはならない。
 ペーパーレスの時代になってインターネットで料金確認ができない高齢の消費者が少なくない。料金値上げの際にこのような状態で消費者を置いていいのか、適正な料金確認ができるような体制を検討願いたい。(群馬県 飛澤委員)。

 最後に内山教授から以下のまとめがあった。
 懇談会を通して、「持続性」とか「継続的」といった言葉が多く聞かれた。時間をかけて長く努力していくにはパワーやリソースの確保が重要だと感じている。また、小規模事業者のウェブサイトの問題、高齢者がインターネットにアクセスできない問題等が指摘された。即ちデジタルディバイドの問題がここにきて改めて顕在化してきているとの危惧を感じたところである。今般のように「周知」というような働きかけをするには、デジタルディバイドの解消を考えなくてはならない。今や気候変動から「気候危機」と呼ばれる時代になり災害はどこでも起こりうる。危機意識をいっそう強く持ち災害対応に取組んでいかなくてはならない。

              
(広報室/中村)