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平成16年7月、総合資源エネルギー調査会(経済産業大臣の諮問機関)石油部会は、DMEをエネルギー・燃料政策全体の中で新エネルギー(燃料)として位置付け、長期的には一次エネルギー源の多様化に資するとし、現段階では価格が比較的高く、技術的な課題もあることから中長期的な取り組みが必要で、事業用・発電用及び工業用LPガス補完として需要を拡大し、価格低減を図ることが適当であるとの中間報告をとりまとめています。
そして、DMEをエネルギー(燃料)目的で天然ガスから製造するプロジェクトがオーストラリア、イラン、クウェート他で検討されており、将来は日本にも輸入される見通しとなっています。
DMEのエネルギー(燃料)としての導入には、次のような意義があり、将来の可能性があります。

(1)エネルギー原料が多様化されることになります。
DMEは、一酸化炭素と水素の合成ガスから製造されるため、天然ガス、石炭のみならず、バイオマス、産業廃棄物等によって合成ガスを作ることが出来るので様々な材料を原料とすることができることから、エネルギー原料の多様化に資することができます。
(2)採算面から開発が難しかった中小天然ガス田の開発が可能となります。
天然ガスの日本への開発・輸入は、輸送に際し天然ガスを−162℃の極低温に冷却したLNGに加工するため、加工・輸送のために大規模な設備投資が必要となります。
このため、スケールメリットのある大規模天然ガス田でないと採算が採れません。
一方、DMEは簡単に液化できることから、日本までの輸送のための必要設備投資はLNGに比べはるかに小さく、加工・輸送コストが安価であり、LNGでは採算性が低い中小天然ガス田の開発が可能になり、エネルギー供給地の多様化・安定供給に資することとなります。
(3)クリーンなエネルギーとしての新たな需要が見込まれます。
DMEは、LPガスに類似した物性を持っており、供給・輸送の小回りが利き、輸送コストが安価であり、我が国の地勢に適した新しい分散型の液化ガス燃料となり、LPガス補完燃料としての可能性があります。
また、都市ガス用燃料や発電用燃料としての可能性があります。
さらに、DMEはセタン化が高く、PM(粒子状物質)を排出せず、硫黄分を含まないため、理想的なディーゼル燃料として、また、改質時の反応温度が天然ガスやガソリンなどに比べて低く反応条件がマイルドなため、改質装置が小さくなり、運転性能も良好であるとみられ、将来の燃料電池自動車や家庭・業務用の燃料電池用燃料として有望です。
(4)LPガスの国際的な需給緩和や価格安定に寄与します。
LPガスは原油や天然ガスの随伴により生産される副産物であり、一定比率しか生産されないため需要に対して弾力性は高いと言えません。更に、日本はその殆どを中東地域に依存し、他燃料と比べて価格が高く、乱高下していますが、その様な中でも安定供給の確保が求められています。
これに対し、DMEは、天然ガスや石炭等から需要に合わせて生産できることから、LPガスの需給緩和、価格競争力の改善、産ガス国に対する交渉力向上に資することが期待できます。
更に、DMEは、LPガスと同程度の圧力をかけることによって液体としてハンドリングできるので、小回りの利く小口輸送にも適応し、その流通では設備、施設面でLPガスと完全に共有できる可能性があります。
このため、DMEの海外から国内までの流通をLPガス業界がLPガス設備・ノウハウを生かすことで担い手の主体となることができる可能性があります。